【土着倭寇と免罪符】韓国社会から“反日”が消えない仕組み

 

もしも日本の書店で、韓国人作家が書いた小説を「朝鮮人小説」と表現していたら?
これは言い逃れ困難な人種差別・ヘイト行為だから、メディアに取り上げられてネットで炎上し、書店は各方面からぶっ叩かれて下手したらぶっつぶれる。

さいきん韓国でそんな書店が現れて物議をかもした。

朝鮮日報の記事(2020/10/21)

韓国の大田市儒城区にある書店で、日本の小説がある書架に「倭寇(わこう)小説」という表示が付けられ、これを巡って「嫌日」論争が起きている。

ハルキは倭寇? 書店の日本小説コーナーに「倭寇小説」の表示 /大田

 

日本で倭寇というと歴史の授業でならった「日本人海賊」を連想すると思うけど、いまの韓国社会でいう倭寇はそれと違う。
韓国の倭寇は歴史的には「13-16世紀ごろ、韓国沿岸を舞台に略奪を行っていた日本の海賊」という意味で、これは日本と同じだけど、いまでは一般的に「日本をさげすんで呼ぶ際に使われる」と上の記事にある。
つまりこれは日本を侮辱するときに使う差別的な言葉だから、英語の「ジャップ」に近い。
日本寄りの言動をする親日的な韓国人(=裏切り者)を韓国では「土着倭寇」とレッテルを貼って攻撃することがある。
「土着倭寇」には売国奴、民族反逆者、歴史わい曲、帝国主義といったネガティブな意味が満載されているから、こんなヒドイ言葉を正確に日本語に訳すのはむずかしい。

ちなみに倭寇は前期と後期に分かれていて、前期倭寇は日本人に韓国人(高麗人)が混じっていた。
後期倭寇は中国人が主体で(リーダーの王直は特に有名)、一部に日本人がいた程度だから「倭寇=日本人海賊」という認識は間違いだ。

 

話を戻すと韓国の書店ではふつう、村上春樹さん、よしもとばななさん、東野圭吾さんらの小説が並べられたコーナーは「日本小説」と分類するところ、ある書店が「倭寇小説」と表示したとネットで広がり、いまはこんな批判的な意見が多いという。

「合成だろうと…自分の目を疑った」
「それほど日本が嫌いなら、そもそも日本の本を扱っちゃいけないのでは」
「国際化時代に、他国をさげすむ表現は深刻な人種差別」
「日本で韓国小説を朝鮮人小説、葉銭(小銭。韓国人が自虐的に自らをこう表現することもある)小説と呼んだら、韓国人は果たしてどういう気分か」

朝鮮日報の電話取材に書店側は、「あのように名付けた理由などは分からない」と言うけど、日本嫌悪を引き起こす表現をあえて使ったのは「反日」を利用した愛国商売とみて間違いない。

 

同じことは別の韓国メディア「イーデイリー」も記事で報じている。(2020-10-21)

대전 서점 ‘日소설’→‘왜구소설’로…“부적절”VS“사이다”

日本の小説を『倭寇小説』という表現するのは適切かどうか?という意味らしい。
この記事には「賛成派」の意見が載っているから、それを紹介しよう。

「(日本が)嫌韓しているのに嫌日がどうした」
「間違ってない」
「日本の書店には嫌韓コーナーがあふれているのに、倭寇小説の何が悪い」
「大田の名所に追加された」
「社長は勇気がある」

この記事を見ると日本では「嫌韓書籍」がベストセラーとなっているのだから、これで「気が晴れた」という人が多いようだ。

 

韓国国内で行き過ぎた反日行為が批判されると、「でも日本が悪い」と開き直って言い返す人がよくいる。
今回のイーデイリーの記事は、駐日韓国大使のナム氏が言った「日本国内に嫌韓・反韓という雰囲気がある」、「書店に(嫌韓・反韓関連の)ベストセラーコーナーがあるくらいだ」という言葉を援用し、「どっちもどっち」という方向に読者を導いて、「日本のメディアも嫌韓・反韓を扱うことに集中して悪循環が続いており、それが最も大きな問題だ」と話をそらしている。

でも日本には「朝鮮人小説」なんて小ばかにした表示をする書店は一軒もないし、韓国寄りの日本人を非難する「土着倭寇」に相当する表現も存在しない。
韓国ではこのことばを政治家やメディアがよく使う。
日本にも「嫌韓」はあるけど、それは韓国の「反日」とは次元とレベルが違っているから比較にならない。

 

韓国では好き勝手に「反日」をおこなっても、それは基本的に国民感情に合っているからなんだかんだで正当化されてしまう。
そんな国内の雰囲気に違和感や危機感を感じる人もいて、きょねん韓国の全国紙・中央日報の記者がコラムでこう批判した。(2019.05.10)

韓国で「手当たり次第反日」はいつもこのように免罪符を受けてきた。(中略)文在寅(ムン・ジェイン)政府になって反日扇動が度を越していて、放送がその先鋒的な役割を果たしているからだ。

「手当たり次第反日」という愚民化政策=韓国

 

韓国では実際、国民の反日感情を刺激すると共感を得られやすいから、政治家なら支持率アップ、店なら商品が売れることが多い。
でも狙いすぎて一線を越えて問題になっても、「では、日本の嫌韓は問題ないのか?」と怒れば誤魔化せる。
今回の書店の場合も、「日本での韓国ヘイトが許せず、抗議する意味でおこなった。でも関心を集めて目的を達成したから、表示は元にもどす」と反日愛国をアピールすればきっとノープロブレムで謝罪の必要もない。

手当たり次第の反日をしても、いつも何らかの免罪符があるから自浄作用が働かず、反日が野放しにされてしまう。
政府やメディアが反日扇動を率先してやるから、国民もそれに引きずられる。
トップが変わらないと社会は変わらない。

 

では最後に日本の反応を紹介して終わろう。

・海賊と呼ばれた男でも置いてたのかな
・これが韓国名物の精神勝利ってやつか
・NO JAPANはどうしたよ
・いやいやそこまでして嫌ってるなら売るなよ、なんでわざわざ仕入れてから商品を貶めてるんだ
・好きにすればいいよ
どうでもいい

 

 

こちらの記事もどうぞ。

これが文政権下の韓国!「手当たり次第の反日」の具体例

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ③

 

6 件のコメント

  • 2019年7月1日、日本が韓国に工業用素材に対する輸出規制措置を取ると、興奮した韓国人が自分の乗用車であるレクサスをぶっ壊しました。それが新聞に写真と一緒に報道されました。
    韓国人の狂気の反日意識がそのまま表われたことでした。
    俺も同僚から「あなた、土着倭寇じゃないの?」という非難を浴びます。
    しかし、最近は少し雰囲気が変わってきています。文政権があまりにも失政を続けていると、韓国人の考えが変わってくるのです。騙されていないかと自分自身に聞いているようです。

  • とても恥ずかしいです。
    しかし、あんな行為を批判する韓国人が増えています。
    先生も韓国を非難ばかりしないで、正しい考えを持った韓国人を応援してください。

  • >しかし、最近は少し雰囲気が変わってきています。
    これはいい傾向ですね。
    それほど文政権がヒドイということでもありますが。

  • ちょうどいま、そんな韓国人について書いたところです。
    「反日種族主義」を書いた人のように真剣に韓日関係を考える人は応援しますよ。

  • >韓国の倭寇は歴史的には「13-16世紀ごろ、韓国沿岸を舞台に略奪を行っていた日本の海賊」という意味で、

    それにしても不思議なのは、日本人への悪口を表現するのに、どうして500年も遡って昔の歴史用語を持ち出す必要があるんでしょうか? それほど「日帝強占期」がつらい経験であったのなら、その当時の新鮮な記憶が残る悪口のひとつやふたつ、あったはずだと思うのですが。
    それと「土着」って、「先祖代々その土地に住んでいる」という意味ですよね? 韓国人に向かって「土着倭寇!」と呼んだら、「昔の倭寇は、実は、お前のような土着の韓国人だったのだ」と認めることになってしまいます。
    韓国語における悪口の豊富さは知っていますが、どうも意味が不明だなぁ。
    これもきっと、漢字を捨ててしまったからなのでしょうね。

  • 「土着倭寇」は不思議な言葉でこれだけ見ても意味がワカリマセン。
    日本語にはない意味とニュアンスの言葉と思います。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。