数年前の夏に京都旅行をしたとき、宿でイスラエル人の女性2人と知り合った。
予定を聞くとあした鞍馬寺に行くというから、「よかったら、案内しましょうか?わたしは京都に4年間住んでいたんです」と提案すると、「うわっ、きもっ!」と引かれることはなく、翌日いっしょに鞍馬寺に行くこととなる。
ユダヤ教という宗教やイスラエルという国は、日本と歴史的な接点がほとんどない。
「そんな人たちが鞍馬寺を見たら何を思うのか?」ということを楽しみに翌日をむかえる。
でもそのことを前に、中東にあるイスラエルについて簡単に確認しておこう。
イスラエルの人口は約870万人で大きさは四国と同じぐらい。
日本との関係で言えばこの2人は覚えておきたいところ。
鞍馬寺での2人の様子を見ていると、あるところで足を止めて、興味深そうにマジマジと見てからパチリと写真を撮った。
それは、表面に濃い緑の苔(こけ)がびっしりとこびりついた石垣。
もともと日本は暑くて、世界的にも雨が多く降るムシムシ大国だから、苔は自然にそこらの石にできるものだし、日本人のボクなら素通りするところだ。
でもイスラエル人としては、こんな石垣は珍しいようでこんな話をする。
「私たちの国は全体的に乾燥しているから、苔が数メートルにわたって隙間なく生えているのを見たことがない。こんな「緑の壁」は日本に来てから初めて見た」
一面に広がる苔を見てきれいとか気持ち悪いとか思わなかったけど、とにかく2人とも不思議というか異様な印象を受けたようだ。
鳥居をバックに記念写真を撮るイスラエル人
イスラエルの気候や風景は場所によって大きく違っていて、北部のゴラン高原にはスキー場がある一方、南部には広大なネゲブ砂漠が広がっている。
イスラエル人が言うように、日本に比べると空気にも大地にも水気がない。
ネゲブは昔のヘブライ語で「南」という意味。
こういう緑のない殺伐、荒涼とした景色は日本じゃ見られない。
だからあちらの人にとっては、苔むした石垣が目に新鮮だったらしい。
国土の7割が森林の日本と6割が沙漠のイスラエルでは地理も気候もめちゃくちゃ違うから、深化する技術の方向性も違う。
飲料水の6割以上が海水から作られるというイスラエルでは、 海水を淡水にしたり水を再利用する技術は世界トップレベル。
サンケイビズの記事(2019.1.31)
イスラエル外務省によると、生活排水も約85%を浄化し、農業用水として再利用している。その割合は世界トップだ。第2位のスペインでも約20%にとどまる。
世界が注目、「砂漠の国」イスラエルの最先端水技術
いまは農業用水のみだけど、数年後には技術がもっと進んで、生活排水を飲料水に変えられるようになるという。
日本では川がそこら中に流れているし、地面を掘れば飲み水が湧き出てくる。
ほっとけば苔がそこら中に生える国では、こういう技術はあまり必要性がなかったのだ。
そんな日本人がイスラエルに行くと、現地の人には「なんで?」というところで感激したり不思議に思うかも。
こちらの記事もどうぞ。
ナチスによるユダヤ人迫害の実態・”絶望の航海”とホロコースト。
>飲料水の6割以上が海水から作られるというイスラエルでは、 海水を淡水にしたり水を再利用する技術は世界でも最先端を行く。
それはそうなのですが、イスラエルの技術はあまりアフリカ・アラビア諸国へは普及展開されていません。おそらく、宗教対立なんかが根底にあるからだと思います。
イスラエル産技術に代わって、アフリカ・アラビア諸国で拡がっている「海水淡水化技術」は、おそらく日本の技術でしょう。ODA開発援助の形を含めて、その地域には、日本人の手による水処理プラントが多数存在しているはずです。確か、東レなど合成樹脂メーカーによる「半透膜(=塩水から塩分だけを漉し取ることのできる非常に目の細かい篩のような膜)」の技術が日本は進んでいるんじゃなかったかな。
うろ覚えなので間違っているかもしれません。
海水については分かりませんが、生活排水を飲み水に変えることは、日本ではほとんどしていないですね。
「日本の下水再利用率は2%程度ですが、中東など慢性的な水不足に陥っている国では80%を超えています。」
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/161015/mcb1610151603002-n2.htm