フランスがテロ対策で「処女証明書」を発行禁止にする理由

 

フランス政府が「処女証明書」の発行を禁止するかどうか、いま真剣に検討している。

毎日新聞の記事(2020年11月12日)

フランス「処女証明書」禁止に波紋 

なるほどなるほど。
それはよく考えてほしい。
でもその前に教えてほしいのが、日本人のボクには結婚証明書なら理解できるけど、その女性が処女であることを証明しないといけない理由って一体なに?

調べてみたら、これはおよそ500年前、中世フランスの時代に男性が結婚相手となる女性へ「純潔」を求めて、それを証明するためにこの文書が発行されていた。
いまのフランス社会からはもうそんな習慣はなくなったけど、それを可能にする法律が残っていたため、仏政府はこんなバカげた法を廃止して「処女証明書」を発行できなくするという。

毎日新聞の「フランス「処女証明書」禁止」という見出しを見たとき、直感的にそう考えたけど現実はまるで違ってたでござる。

フランス「処女証明書」禁止に波紋 「過激化対策」法案検討 産婦人科医「女性さらに苦しむ」 

 

近ごろフランスではイスラーム過激派によるテロ事件が何度も発生し、多くの人が殺害されて社会に不安や混乱が広がっている。
路上で襲われて首を切断されるという凄惨な殺害法もあったから、フランス人が抱く恐怖はかなりのものだろう。
そんなイスラーム過激派への対策として、マクロン政権はいま「処女証明書」の発行禁止を検討しているのだ。

そうか、なるほど! ってなるかー。
処女かどうを不明にするとテロが減る、という理論がさっぱり分からないけど、記事を読むと背景がみえてきた。

フランス国内にいるイスラーム教徒や少数民族ロマには、結婚前の女性の「純潔」を重視する人がいるから、それを明らかにするために「処女証明書」が必要になることがある。
でもフランス政府は、こうした考え方や慣習が「女性の尊厳を傷つけ、男女平等の原則から外れていると非難している」という。

フランスに住むと決めたのなら、フランスの最低限の価値観や常識にしたがうことは大切で、それを拒否する自由を仏政府は認めない。

地元メディアによると、政府はフランス社会や文化への同化を拒否する「分離主義」がイスラム過激派を助長している

 

まだこれは正式決定していないけど、「処女証明書」の禁止法案が成立したら、これを発行した医師には約180万円の罰金と1年の懲役が科せられることになりそうだ。
フランス政府としては、これを不可能にすることでフランスへの「同化」をうながし、テロを行うような過激派を国内から消していきたいと考えている。

多文化共生社会の実現には外国人の文化を尊重すると同時に、市民の誰もが守るべきルールを設定することが必要だ。
それでいま仏政府は後者を検討しているけど、いままでの慣習を廃止されることに抵抗する人は当然いるし、かえって女性はさらに苦しむと言う産婦人科医もいる。

その答えは仏政府にまかせるとして、異なる価値観や文化の尊重と「郷に入っては郷に従え」の両立はいまの日本にとっても大きな問題だ。
ところで、日本でもこんな証明書を発行できるのだろうか?

 

 

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2 件のコメント

  • > フランス国内にいるイスラーム教徒や少数民族ロマには、結婚前の女性の「純潔」を重視する人がいるから、それを明らかにするために「処女証明書」が必要になることがある。

    「処女証明書」ですって? 信じがたいなあ。
    そのような500年前の制度が(社会の一部に)生き残っていること、現在でもそんな前時代的な習慣に協力する医師が存在すること、そして何より、フランスという国の中でそんな行動が許されていることが信じがたいです。宗教上の教えなのか、民族の慣習なのか知りませんが

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。