神々の戦いを表す「修羅場」は、いつ人間の言葉になったか?

 

韓国メディアの中央日報でこんな記事を発見。(2020.11.20)

【社説】法務部長官を前面に出して検察を修羅場にするのが大統領の考えなのか=韓国

 

韓国大統領府が検察総長を追い出して、「検察を政権の忠犬にするという陰険な意図を今や隠そうともしない」ということで、いま検察を舞台に反対派とのすさまじい対立が生まれているらしい。

その行方は韓国人にまかせるとして、こういうときは韓国語でも「修羅場」という言葉を使うのか。
日本・韓国語には意味が同じで発音もそっくりな言葉がいくつもあって、このまえ韓国人と富士山に向かう途中、「高速道路」の発音が日本語と韓国語でほぼ同じだったから、一緒にいたベトナム人や台湾人が驚いていた。
他にも洗濯機や体温計なんかもよく似ている。

韓国語で修羅場は「아수라장」(アスラジャン)で、漢字表記だと「阿修羅場」になるという。
意味は修羅場や乱闘場で、「デモであたり一面が修羅場となった」というように使うから日本語と同じだ。

 

阿修羅は鬼神だったけど、仏教に帰依してからは守護神となった。

 

日本語の「修羅」は阿修羅を省略したものだから、修羅場も阿修羅場もまったく同じものを指す。
阿修羅はインドのサンスクリット語「アスラ」を中国人が漢字に訳した言葉で、それが日本や韓国に伝わって定着した。

阿修羅はすさまじい攻撃力を持った戦闘の神で、その最大のライバルである帝釈天(インドラ神)と戦った場所を「修羅場(阿修羅場)」と呼んだ。
日本のドラマにあった「阿修羅のごとく」というのは、憤怒の表情をした阿修羅が帝釈天に向かっているさまを表す。

だから「修羅場」は仏教用語だったのだけど、いまでは新聞記事からアニメまでよく使われる日常的な言葉になっている。
もともとは神々の世界を表す修羅場が、人間界の言葉になったのは戦国時代のころらしい。

室町時代あたりから戦乱が全国的になり諸天と戦う阿修羅よりも相手を憎しみ合う人間の心を表現するようになったと言われている。

修羅場

 

ここではもう阿修羅は鬼神ではなくて、戦国武者を指していたようだ。
戦国時代の合戦はまさに修羅場そのもの。
そういえば「新SD戦国伝 地上最強編」で出てくる武者頑駄無(武者ガンダム)に「阿修羅頑駄無」というのがいる。

とにかくこの時代から「修羅場」は仏教を離れて、人間どうしの激しい戦いの場を表すようになり、そのイメージが江戸時代以降もつづく。
現代の浮気現場や一歩も引けない争いで使われる修羅場もこの延長にあって、もう完全に人対人の戦いを表す言葉になっている。
さて韓国の検察はこれからどんな修羅場になるのか。

 

 

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