不祥事をおこした芸能人や政治家が活動を再開するために、出来事の説明と謝罪をし、そのあと反省の気持ちを示すため一定期間、活動を自粛することがよくある。
それが日本社会に古来から伝わる禊(みそぎ)。
そうして“罪”を落として世間から受け入れられると、禊を済ませたことになって再出発が可能になる。
次の韓国大使に内定しているカン・チャンイル氏が、北方領土や天皇をめぐる過去の発言についてソウル市内で日本メディアに釈明したという。
これも一種の“禊”だ。
読売新聞の記事(2020/12/02)
過去に「北方領土はロシア領」「天皇に慰問を」発言、次の駐日韓国大使が釈明
予想どおりだけど国民からは、「失望した」「原則も所信もなくその時々で変わる人たち」「だから文政権を信じられない」といった批判が多く上がっているという。
冷え切ったを超えて、もはや冷凍状態となった韓日関係を解きほぐし、未来志向の関係に向かうきっかけをつくることが次期韓国大使のカン氏に与えられた最大の仕事。
そのミッションを果たすためには、カン氏が日本の国民やメディアに受け入れられることがマストで、そのためには不都合な過去を整理しておく必要がある。
国会議員をしていた2011年、カン氏は国後島を「北方領土はロシア領土」と言って日本政府から抗議を受けた。
そのことについて今回カン氏は「ロシアに奪われ、占有されたという趣旨で述べたが、うまく伝わらなかった」と日本のメディアに説明。
また19年に当時のムン・ヒサン国会議長が慰安婦問題で天皇陛下の謝罪を要求したとき、カン氏は「天皇に元慰安婦を慰問してほしいという趣旨だった」と述べて日本人の反感を買う。
カン氏はこのことについて、「文議長の考えを説明しただけだ。日本における天皇の存在、役割について無知な発言だった」と反省する様子を見せた。
さらに同じく19年、日本の天皇を「韓国では日王と言おう」と話したけれど、「大使として赴任すれば天皇と呼ばなければならないだろう」と言う。
謝罪の言葉を直接言うことはなかったけど、ソウルで日本のメディアに過去の反日的言動を「不適切」と認めて改めて真意を説明し、天皇については「無知だった」と言って「日王」は封印するという。
韓国の要人が日本についての言動で、ここまで清々しくなったことはほとんど記憶がない。
立派過ぎて、カン氏対する韓国社会の視線が心配になるほどだ。
韓国の全国紙・中央日報もしっかり記事(2020.12.02)で報じている。
次期駐日大使に内定の姜昌一氏、日本メディアに「北方領土」「天皇」関連発言を釈明
過去を清算してスッキリした気分で、韓日友好のために日本での活動をはじめたいとカン氏は思ったはず。だからこそ、公の場であそこまでさらけ出したのだろう。
そんな悲壮な思いに日本政府はどう応えるつもりか?
残念ながら時事通信の記事を見る限りでは、コンクリートに卵をぶつけた感じだ。(2020/12/02)
加藤勝信官房長官は2日の記者会見で、韓国の次期駐日大使に内定した姜昌一氏について、直接の評価を避けた上で「元徴用工問題を含め、韓国側に適切な対応を強く求めていく姿勢に変わりない」と述べた。
対韓国、姿勢変わらず=駐日大使人事で加藤官房長官
記事ではカン氏を韓日議連会長を務めた「知日派」と紹介する一方、国会議員時代に北方領土を訪問して「日本政府から抗議を受けた」と指摘。
過去を完全清算するにはまだまだ時間がかかりそうだ。
でも日本がいま求めているのは、韓国政府が元徴用工問題の現実的な解決案を示すこと。
ムン政権が決断しない限り、誰がどんな禊をおこなっても韓日関係は前に進まないだろう。
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