いつもは落ち着いているお坊さん(師僧)でも、この時期になるとバタバタ忙しくなるということから、むかしの日本で12月は「師走」と言われたという。
そんな記事をこの前書いたわけですよ。
【師走の由来】そもそも“師”ってだれ? 何の目的でどこに走るのか
いまの時代は国際化。
だから日本の次は英語の10、11、12月の由来や歴史について知っていきましょー。
知人のアメリカ人とドイツ人と話をしていたとき、母国にいたころはほとんど食べたことなかったけど、日本で気に入った食べ物に「タコ」があると言う。
日本人にとってタコは身近な食材で、古代からよく食べられてきた。
また8本の足を広げて干す様子から、「引っ張りだこ」という日本語も爆誕した。
でもむかしは磔(はりつけ)の刑やそれで処刑される人間を「引っ張りだこ」といったのだけど、いつごろからか「人気者」という意味になる。
そんなウンチクを話すと、アメリカ人が10月を意味する英語の「オクトーバー(october)」は8本足のタコに由来すると言うではないか。
それを聞いてドイツの大ビール祭り「オクトーバーフェスト」が頭に浮かんだから、ドイツ人に聞くと10月はドイツ語でも「Oktober」(オクトーバー)で語源は英語と同じだという。
octo(オクト)はむかしのヨーロッパで共通語となっていたラテン語で「8」を表し、いまでは英語やヨーロッパのいろんな言葉で使われている。
英語のオクタゴン(Octagon)は八角形のことで、アメリカの総合格闘技大会「UFC」がおこなわれる金網で囲まれた八角形のリングはオクタゴンと呼ばれている。
古代ギリシャ時代に作られた土器
そうか!
Octoberの「オクト」は8本足のオクトパス(タコ)と同じだから、8月はオクトーバーと呼ばれ…。
あれ?
8月はオーガストじゃなかったか?
彼らにタコが10月の名称になったわけを聞くと、古代ヨーロッパ(ローマ)で使われていたローマ暦では1年は10月しかなかったからだとか。
ローマ暦の月名を書くと、Martius(マルティウス)はいまの3月(マーチ)に相当し以下こうなる。
Aprīlis(アプリーリス)
Māius(マーイウス)
Jūnius(ユーニウス)
Quīntīlis(クィーンティーリス)
Sextīlis(セクスティーリス)
September(セプテンベル)
Octōber(オクトーベル)
November(ノウェンベル)
December(デケンベル)
この10月で1年になるから、現在と比べると2カ月足りない。
でも12月30日~3月1日の約60日のあいだは、日付がなかったからローマ暦はこれでOKなのだ。
古代ローマでは畑仕事のなかったこの期間は、暦の上では「空白」で問題なく月名も作られなかった。
いまの1月と2月ができたのは後年になってから。
このローマ暦を見れば8番目の月がオートベル、じゃなくて8本足のタコに由来する「Octōber(オクトーベル)」になっているのは自然で、それがいまのオクトーバーになったのだ。
1月・2月が新しく作られたら10番目の月になるんだが、「まいっか」と古代ヨーロッパ人が流したと思われる。
ローマ暦からは英語の10月の他に、11月(November)と12月(December)の由来も分かるってもんだ。
ラテン語で「第9の」はnovem、「第10の」はdecemだから、9番目の月と10番目の月でNovemberとDecemberの出来上がり。
ちなみにドイツ語のNovember(11月)とDezember(12月)も、何ならフランス語のoctobre(オクトブル)とnovembre(ノヴァンブル)、décembre(デサンブル)も語源は同じだ。
11月と12月の月名はただの順番だからはっきり言ってツマラナイけど、8月のタコは頭に「絵」が浮かぶし印象が強い。
なんで8月は数字ではなく、海の生物を選んだのか?
その理由はよく分からんが、古代ローマでもタコは身近な人気者だったのだろう。
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ローマ帝国の人々(ラテン人)は海洋民族ですから、昔から、タコ、イカ(イカ墨も)、ウナギとか平気で食したんじゃないですかね? 現在のアングロ・サクソン・ゲルマンら北方系の欧米人とは違って。
そのアメリカ人とドイツ人、タコを旨いと感じるようになったのは別にいいのですが、母国へ帰ってそんな話をしたら「気持ち悪い!ゲテモノ食い!」って非難されるんじゃないですか? 以前、母国の母親に電話で話した結果、そういう目で母親から見られたアメリカ人?ドイツ人?がいたという話を聞きましたけど。
彼らにとってタコは悪魔の親戚か何かのような生物らしいですよ。
ローマ暦について少し調べてみたのですが、紀元前750年頃から(日本じゃまだ国があったかどうかさえ分からない時代)既に現代とあまり変わらないこのような暦(こよみ)が使われていたとは、驚きです。あらためて、ギリシャ・ローマの文明は偉大だったのですねぇ。
Wikipediaより:
「紀元前44年から、7月はユリウス・カエサルの名に因んで Julius ( Iulius ) と呼ぶようになり、彼を継いだアウグストゥスが閏年の扱いを修正した際に、その名に因んで8月は Augustus となった。」
Julyがジュリアス・シーザーの名に由来することは知っていたのですが、Augustがアウグストゥスの名から取られていたとは、そう言えば昔聞いたような気もするのですが、すっかり忘れていました。
いまはだいぶイメージが変わったと思います。
南ドイツで海から遠いところでも、スーパーでタコが売られていることがあると言ってましたから。
この時代のローマはすごかったですね。
日本では文字がなくて記録もありませんよ。