【正月始め】世界が注目・賞賛する、お掃除民族の日本人

 

12月13日は「美容室の日」。
1年のうちで、一番多くの客が美容室を利用する月が12月だから。というのは分かるとしても、「13」をくっつけるとBeautyの「B」になるから13日を「美容室の日」としたというのは、イタリア人のナンパより強引では?

 

また12月13日は正月始めの日でもある。

むかしの日本で旧暦の12月13日は「鬼宿日」で、鬼がどこか屋内(宿)にいて外を出歩かないから、この日は結婚以外のことをするには絶好の吉の日とされていた。
もちろんいまの日本でもそんな考え方はある。

そんなワケで12月13日は新年の神様や正月を迎える準備をするには、とても縁起のいい日だから正月始めの日となった。
こっちは「B」を13にするような無理やり感はなく、日本の伝統に基づくとても自然な成り立ち。

正月始めですることを具体的にみると、まずは「煤払い(すすはらい)」だ。
むかしは料理作りやお風呂で薪を燃やしていたから、その年に家の中にたまった煤や埃(ほこり)を掃除していた。
煤や埃と一緒に一年間分の厄をはらい落とし、家の中をキレイに清めて新年の神様を迎える準備をする。

これがそのまま現在の大掃除につながっているのだろう。
12月になると多くの人が美容室を訪れるのも、年内に髪を切ってサッパリした気分で新年を迎えたいという理由があるはずだ。
だから大きくみれば、こういう人たちも無意識に「正月始め」をしているの。
それが日本人として自然な感覚だから。

ちなみに正月始めでは「松迎え」といって、門松や正月料理を作るための松や薪などを用意したのだけど、21世紀の日本で木を取りに山へ行く人はいないから死語となった。

 

 

ケガレや罪を払い落とす12月の「大祓」は言ってみれば心身の大掃除

 

しめ飾りは正月の神様を迎えるために付けられる。

 

2018年にモスクワでサッカーワールドカップが開かれたとき、日本人サポーターがスタジアムのゴミ拾いをして世界から注目&賞賛された。
国際サッカー連盟(FIFA)のインファンティノ会長もこれを「気持ちのいい、ポジティブなニュースだった」と言う。

国内では「代表選手よりサポーターが目立つのが日本」という皮肉もあったけど、この行為は普通に考えたらとても素晴らしい。

「正月始め」からも分かるように、日本人は伝統的に「お掃除民族」なのだ。
新年の神様を迎えるために家を掃除したり心身のケガレや罪を払い落すのは、神道で最も大事にされる考え方だから、日本人にはこの価値観や考え方が自然に身についている。

これは日本人にとって常識的な発想だから、学校で子どもたちが教室やトイレの掃除をすることにもこの発想が関係しているだろう。
「気持ちのいい、ポジティブなニュース」とFIFA会長が言ったことは、世界の舞台でいつものことをしただけ。

イギリスBBCの記事(2018年06月20日)で大阪大学の教授がこう説明している。

「サッカーの試合後の掃除は、学校で習った基本的な習慣の延長だ。子どもたちは教室や廊下を掃除する」

「幼少時代に定期的に覚えこまされることで、多くの日本人の習慣になっている」

日本のサポーターがまたやった 試合後のごみ拾い

 

「日本大百科全書の解説」の解説にあるように、日本の社会は欧米とはこの点がまったく違う。

欧米諸国では、古来、掃除は奴隷の仕事とみなされ、このような伝統的な掃除観が清掃員型を形成する重要な要因をなしている。

学校掃除

 

「美容室の日」や「正月始めの日」には、日本人の“民族性”がよく表れている。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。