東南アジアでイライラ:日本と比べ、人と社会はここが違った

 

12月23日、クリスマス直前のきょうは「テレホンカードの日」。

東京の数寄屋橋公園に1982年(昭和57年)のこの日、テレホンカード対応の公衆電話がはじめて設置された。
さらにテレホンカードの発売も開始されたことから、それを記念してNTTがこの日をつくったらしい。

 

 

さてさてワタクシ海外旅行が好きなんで、これまでタイ・インドネシア・マレーシア・ベトナム・カンボジア…と東南アジアの国はだいたい制覇してきた。

旅行に行ったのは10~25年前の話なんだが、そのとき日本と東南アジア諸国を比べてつくづく思ったのが、「日本は生活基盤が本当に安定している!ふだんは見えないところ、気がつかないところのインフラがしっかり整備されている!」ってこと。

その象徴的なアイテムが公衆電話だった。

当時タイは東南アジアで次元が違うほど発展していて、特に首都バンコクは隣国のラオス、ミャンマー、カンボジアの首都に比べると、比較が無意味に感じるほど近代的ビルが林立する大都会だった。
街にはスカイトレインが走っていて、コンビニがそこら中にあってほしいものがいつでも手に入る。
いまでもタイとこの3国の発展差はかなりあると思う。

バンコクはわが地元、「静岡の雄」と呼ばれる(いやしらんけど)浜松市以上に近代的で想像を超えていた。

 

台湾の公衆電話
タイの電話これに似ている。

 

そんなバンコクには路上に公衆電話がよくあって、インターネットがなかった時代、ホテルや旅行会社、さらに日本の実家と連絡しなきゃいかんときにはこれを利用することがたまにあった。
が、街にある公衆電話にはポンコツが本当に多く、受話器を耳に当てて「これ回線切れてんじゃん」とすぐに故障と気づけばまだ良心的なほう。

回線がつながっているのを確認してから硬貨を入れて、数字を押すたびに音も聞こえるのになぜかつながらず、「番号を間違ったか?」と受話器を戻してもう一度はじめからやった挙句、「故障かよっ」と分かるまで数分かかることが何度もあった。

原因はわからないけど、とにかく故障中で使えない公衆電話がバンコクには散乱していて、「あたり」を引くまで10台以上の電話にトライしたこともある。
あっついバンコクであの閉め切った空間に何度も閉じ込められると、けっこう疲労とストレスがたまる。
それにコインが吸い込まれたまま、押しても叩いても戻ってこないダイソンのような電話もあった。
使えない電話には「故障中」の紙を貼っておくだけでいいのに、それがないから、こんな無駄な作業に数十分も使わないといけない。

この事情はベトナムでも同じ。
路上に公衆電話はあるのだけど、それはただの街のオブジェと気づいてガッカリしたこと多々あった。
タイ、ベトナム、カンボジアの国際空港の公衆電話ならまだつながる確率は高い。
でもやっぱり、受話器を叩きつけたくなるモノはある。そしてここでも「故障中」の紙はなし。

 

タイに住んでいた日本人数人から聞いた話だと、問題はモノより人だ。
公衆電話の性能はそう悪くはなく、最初はふつうに使えるけれど(当たり前!)、一度故障すると、修理担当者が来て直すまでにかなりの時間がかかるから、ほとんどの場合、放置されたままになる。

「とにかくこの国の人たちは本当にのんびりしていて、日本人からするとイライラするほど仕事が遅いんです。でも郷に入っては郷に従えで、こっちではこっちの考え方ややり方に慣れるしかないですね。公衆電話もロシアンルーレットみたいなもので、ハズレが当たり前と思ったほうがいいです」

市のほうも、どこに何台の故障電話があるかなんて把握していないだろうし、それを知ったところで、いつ修理されるかは神のみぞ知る。
バンコク市民も公衆電話とはそういうものだと思っている。
だから現実以上の期待はしてなく、日本人のように細かいことは気にしないし文句も少ない。
みんながそんな感じだから、修理する人も動かなくて故障電話は街の飾りとなる。

確実に電話したかったらホテルの電話サービスを使うか、それが高くてイヤなら電話局に行けばいいというアドバイスをもらった。

そうは言われても、宿から最寄りの電話局までタクシーで20分ぐらいかかるのだが。

 

ということで、現地で会った日本人の話をまとめるとこんな感じだ。

タイの街はビルがたくさんあって見た目はわりと近代的でも、人々は「いつかそのうち、なんとなく」という考え方をしているから、社会は不確実で不安定なものになる。
基準をどこにもっていくかによるけど、日本人は小さいことまでしっかりケアするから、社会は本当に効率的に動いていて、インフラもしっかり整備されている。
だから日本を常識や起点と考えると、東南アジアではストレスためまくり。

ベトナム在住の日本人の意見もこれと同じ。
日本は本当に確実性や信頼性の高い社会で不備が少ない。
ただ南国の大らかな空気を吸っていると、それに息詰まる思いを感じることもあるらしい。

個人的にはそれを公衆電話で実感した。
そのほかにも見た目はわりと立派な長距離バスでも、出発時間がどんどんのびていって、実際には「バスが動いた瞬間」というテキトーなこともよくあった。

 

ただこれは10年以上前の情報で、その後アップデートはしていない。
でも、東南アジアの社会や人々の意識は基本的にはこれと同じで、日本と変わらないような建物や施設があっても、実際に生活してみると思わぬ不便を感じると思う。

 

 



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2 件のコメント

  • 公衆電話ですか? それは東南アジアに限った話じゃないですよ。
    昔、私が米国で暮らした時もこれと同じような感じでした。短期滞在したロンドン、バルセロナ、ベネチアも同様でした。その時思ったのが「国中で多数の公衆電話がまともに動いているのは、世界中で日本だけなのか!」という実感でした。
    自販機もそうでした。米国なんか、地域によっては、警察署のガラス窓だって壊れたままでした。それでも留置場の鉄格子はちゃんとありましたけど。(自分が入った訳じゃありません、念のため。)

    まあただ、その公衆電話も、先進国では携帯電話の普及によって今や町から消えつつあるのですが。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。