【日本人の距離感】外国人がスキー場・遊園地であきれたこと

 

日本では初めてスキーが行われたのは、1911年(明治44年)の1月12日。
オーストリアの軍人がこの日、新潟の青年将校にスキーの指導を行ったことが日本人のスキー事始めになった。
それで全日本スキー連盟は1月12日を「スキーの日」に制定ってわけだ。
ちなみにこの言葉はノルウェー語の「薄い板(スキー)」に由来するという。

スキーの歴史などくわしいことは スキー で確認されたし。

 

新潟県上越市の金谷山スキー場にある「大日本スキー発祥之地」記念碑

 

スキーは西洋由来のスポーツ・レジャーなんだが、日本ではやっぱり日本人の価値観や好みに合わせてやり方が変わるらしい。
日本でスキーを楽しんだカナダ人やイギリス人、インド人などから以前、「あれにはビックリした!」という話を聞いたことがある。

リフトに乗るために並んでいて、彼らの番が近づくとおかしなことに気づいた。
2人が座れるリフトで係員は客1人だけを乗せ、隣を空席のままで送り出すことがある。
どんな事情で満席と空席があるのか?
一緒にいた日本人にきいてみると、「隣に誰かが座るのを嫌がる人がいるからじゃない?」と言うから驚いたという。

「そんな理由から本当に、こんなムダなことをするのか!」と半信半疑で、地元に戻って来たあと職場や友人の日本人に意見を求めると、「そうだと思うよ。知らない人と密着したくないからでしょ」とみんなが言う。
日本人はあまりに礼儀正しいから、他人と一緒になるのを嫌がって距離を取ろうとすることは知っていたけど、その抵抗感がこことまで強いとは思わなかったとカナダ人、イギリス人、インド人があきれ顔で話す。

国籍や文化圏の違う外国人でも同じポイントで驚いたということは、日本人は世界的に見ても独特の距離感や対人感覚を持っているということだろう。

場所はまったく違うのに、これと本質的に同じ話を外国人から直接聞いたこともある。
というか聞かされた。

 

 

数年前にアメリカ人・インドネシア人・イギリス人と富士急ハイランドに行って、ジェットコースターに乗った時のこと。
たしか「ド・ドドンパ」だったと思うけど、とにかく人気のアトラクションだったから列もそれなりに長く、3月のわりと寒い中、1時間30分ほど並んで待っていた。
その間、「ジェットコースター」は和製英語で外国人には通じない(英語だとローラーコースター)といった衝撃の事実を知ったりするうちに、うちらの番がやってくる。

でも、何か不自然だ。
2人席の車両で3~4割ほどが隣を空けたまま出発する様子を見て、アメリカ人・インドネシア人・イギリス人のみんなが首をかしげる。

「あれはどういうことだ?」ときくアメリカ人に、「知らない人が横に座ってほしくないからでしょ。絶叫しにくくなるし」と推測して答えると、「マジか!本当に馬鹿げている!」と声を出しやがる。
たしか「ridiculous」という単語を使っていたような?

これにはインドネシア人もイギリス人も「そのために寒い冬も暑い夏も、日本人は何時間も並んでいるのか。信じられない」とあきれる。

「日本人は時間をとても大事にしていて、遅刻をすごく嫌がるじゃないですか。それに何かをするときは事前によく計画を立てて、その通り正確に進めます。ムダなことが大嫌いなのに、なんでこんな非効率なことをするんですかね」というインドネシア人の感想には全員が一致したらしい。

個人的にはもっともだと思うけど、ムダより他人を嫌がる日本人の気持ちも理解できる。だから「そんなことより、次のアトラクションに行こうぜ!」としか言えない。

スキー場での話やこんな経験から、アジア人・欧米人・アフリカ人に関係なく、日本人が外国人と接するなら「ちょっと図々しい」ぐらいがちょうど良い距離感だとよく思う。

 

 

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3 件のコメント

  • > 2人が座れるリフトで係員は客1人だけを乗せ、隣を空席のままで送り出すことがある。
    > どんな事情で満席と空席があるのか?
    > 一緒にいた日本人にきいてみると、「隣に誰かが座るのを嫌がる人がいるからじゃない?」と言うから驚いたという。

    うーん、それは確かに「ほとんどビョーキ」としか思えないですね、私にも。
    スノボがまだ珍しくて冬のレジャーと言えばスキーが定番であった頃、ペアリフトに乗る際、わざと知り合いと一緒になるのを避けて、初対面の女の子と一緒に乗れるようにしたものでしたが・・・。あの頃はリフトの行列も今より格段に多くて、たとえ相手が誰だろうとペアリフトは二人ずつ乗せるように係員も誘導していたし、女の子達もちゃんと応じてくれていましたよ。うまく行けばゲレンデ麓のレストランで一緒にお茶したりとか。ま、ハッキリ言って、その出会いが楽しみでスキーに行っていたようなところも・・・。(映画「私をスキーに連れてって(原田知世主演)」とか、当時の雰囲気がよく出ています。)

    たぶん、その頃に比べて変わった点と言えば、
     1.みんな行列に並ぶことを苦にしないようになった。我々世代とぜんぜん違う。
     2.そもそも、スキー場が昔に比べてあまり混んでない、リフト待ちの行列も少ない。
     3.昔よりも見知らぬ他人を警戒するようになった、男性も女性も。
    っていうところでしょうか。そのへんも影響しているのでしょうね。

  • それは意外な気がしますが、昔はプライバシーよりフレンドリーが重視されていたのですかね。
    たしかに昔の日本人のほうが他人を警戒する、嫌がる傾向は少なかったと思います。

  • スキー場のペアリフトの件については、「プライバシーよりフレンドリーが重視されていた」と言うよりも、リフト待ちの行列があまりに長くて(最長1時間以上待ちなんてことも結構あった)、ペアリフトに1人だけで乗るなんて「公衆マナー違反」であり、係員もそんなのを許す気が全然なかったというのが実情です。乗り場の列に向かって「◯人用リフトには必ず◯人でご乗車下さ~い!」なんて呼びかけアナウンスもしていました。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。