最も住みやすい国ランキング2021、日本がアジア1位の理由

 

16世紀、戦国時代の日本へやって来た宣教師のフランシスコ・ザビエルは、当時の日本人を見てこんな印象を持った。

「私がこれまでに出会った国民の中で、キリスト教徒にしろ異教徒にしろ、日本人ほど盗みを嫌う人間に会った覚えはありません。」

「彼らは親しみやすく、一般に善良で悪意がありません。驚くほど名誉心の強い人びとで、他の何ものよりも名誉を重んじます。」

盗みを嫌うことと名誉心はきっとセットになっている。

 

 

それから約400年が過ぎたいまの日本は、海外からどんな評価を受けているのか。

世界中の国の生活に関する情報を集めてデータベース化しているサイト「Numbeo」が、「Quality of Life Index by Country 2021」(最も住みやすい国ランキング2021)を発表した。
購買力、治安、医療、生活コストなどさまざまな指標からきめられた、最も住みやすい国のトップ10をまずは見ていこう。

1位:スイス
2位:デンマーク
3位:オランダ
4位:フィンランド
5位:オーストリア
6位:オーストラリア
7位:アイスランド
8位:ドイツ
9位:ニュージーランド
10位:ノルウェー

 

「欧米ばっかじゃん」と突っこんだところで(オージーとニュージーは欧米カウント)、気になる日本の順位は17位でアジアではナンバーワン。
日本の近くの国・地域を見てみると、台湾が35位、韓国が42位、中国が65位で、ちなみに最下位はナイジェリアで83位という結果。

これに日本のネットの感想は?

・日本の現実
国民=世界一の健康寿命
経済=29年連続で世界最大の対外純資産国
歴史=現存する世界最古の王室
治安=1000万人以上の人口の国の中では殺人発生率が最低
・そんな優れた環境なのになんで少子化でお先真っ暗なんだよ
・スイスは年収3ケタの貧乏人お断りだがな
・なんか叩かれ慣れてるからこうやって持ち上げられてる時は何か裏がありそうで怖い
・どこの誰たちの生活よ

 

では「Quality of Life Index by Country 2021」で、日本はどんなところに高/低評価を受けたのか?

上位10か国と比べると日本は「生活コスト」、「通勤時間」、「公害」でのマイナスが目立つ。
つまり収入のわりには生活費が高いし、通勤時間も長いということ。
このへんは納得いくのだけど、「公害」の具体的な中身がわからない。
海外では、東日本大震災のときの放射能汚染がまだ影響しているのかもしれない。

 

逆に日本が高評価を受けたのは「治安」と「医療」だ。

日本に住んでいる知人のアメリカ人は、日本の保険制度(国民健康保険)を「素晴らしい!」と絶賛。
アメリカでは国民すべてが保険を使えるわけではないから、風邪のようなちょっとした病気でも、医者の治療を受けて薬をもらうと数万円かかるらしい。
コロナに感染した疑いがあっても、高額の医療費がかかるから病院に行くのをためらう人がたくさんいて、それがアメリカでの感染拡大の大きな原因になっているという。
これに比べたら、日本国民はみんな格安で適切な医療行為を受けることができる。
この安心感は代えがたい。

治安については、100%ではないものの、財布を落としても戻ってくる国なんて世界でもきわめてレア。
アジアでは日本ほど治安の良い国はない。と言い切っても、問題や異論はないだろう。
この点では21世紀のいまでも、外国人の日本を見る目はザビエルと変わっていない。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。