ことし1月、ある日本のアイドルグループのメンバーがYouTubeの生配信中、“言ってはならないこと”を言ってしまい、配信は休止、発言したアイドルも芸能活動を自粛することとなった。
日本のいくつかのメディアもこの出来事を伝えたものの、「不適切発言」の内容については書かない。書けなかったのだ。
そのアイドルは「魑魅魍魎」を「えたひにん」と読んでしまったらしい。
(人生の一体どのタイミングでそう覚えたのか)
本人に差別意識は一切なかったけれど、無知とは罪。罪を犯した以上、それなりの反省はしないといけない。
くわしいことはこの記事をどうぞ。
ちなみに西日本新聞の報道によると、フリーアナウンサーの長谷川豊氏もこのことばを不用意に使ってしまったため、 部落解放同盟から抗議を受けて謝罪した。(2019/5/24)
言葉は人の命さえ奪う「凶器」になる-。言論人として最も肝に銘じなければならないことだ。
部落差別発言 「人権」の原点に立ち返れ
「知らなかった」では許されないコトはどこの社会にもある。
アメリカでも最近、ユダヤ人に対する、絶対に言ってはいけないことばを口にしてしまい、約545万円の罰金が科せられたバスケットボールプレーヤーがいた。
この5万ドルという罰金は規約で定められている最高額。
だからこの罪は、“最低”でこのぐらいということだろう。
全米プロバスケットボール協会 (NBA) のチーム・ヒートに所属しているレナード選手が、ビデオゲームのライブストリームでユダヤ系に対する“侮蔑的な言葉”を使った。
本人は「本当の意味を知らなかった」とすぐに謝罪するも、NBAのコミッショナーは「そのことばはNBAでも社会一般でも認められない」と突っぱねて最大級の処分を下す。
気になるのはその“不適切発言”だ。
でもそれについて米メディアは、文字にも言葉にもしなかったという。
それでもニューズウイーク電子版の記事から、その中身がみえてきたとスポーツニッポンが報じた。(2021/03/12)
単語そのものは表記していないがかなり踏み込んだ歴史的背景を付記しており、複数の情報を統合するとレナードが口にした差別用語は「KIKE(カイク)」だったと推察される。
ヒートのレナードに5万ドルの罰金処分 ユダヤ系を侮蔑する差別用語を口にして批判噴出
「カイク」がうまれた場所の1つといわれるエリス島
ここは日本だからきっと大丈夫。
このカイク(Kike)とはユダヤ人を指すアメリカでうまれた差別的表現だ。
その由来についてはよくこんな説が言われる。
読み書きの出来ないユダヤ系移民がいたころ、移民局のあったニューヨークのエリス島で書類を記入する際、アルファベットの書けない彼らに担当者は署名欄に「X」と書くよう促した。
これに対する移民たちの答えはNO。
「X」はキリストの十字架を連想させるので、その代わりに「○」を書いた。
東欧ユダヤ系の言語で「○(丸)」は「kikel(カイケル)」ということから、用紙に「○」を記入する人は「カイク」と呼ばれるようになった。
語源については他の説もあるけど、このことばはいまのアメリカ社会では、絶対に許されない差別用語として認識されている。
アメリカにも日本にもそれぞれの歴史を背景にした、メディアが文字にできないほどのタブーがあるのだ。
じゅうぶん気を付けよう。
おまけ
ちょうどきょうある芸人がアイヌについて、「『あ、犬!』(アイヌ)。ワンワンワンワン!」と言って批判が殺到。
テレビ局側は、「アイヌの方たちを傷つける不適切な表現がありました。アイヌの皆様、ならびに関係者の皆様に深くお詫び申し上げるとともに今後、再発防止に努めてまいります」と謝罪した。
この芸人はかなり重いペナルティーを科せられるはず。
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> アルファベットの書けない彼らに担当者は署名欄に「X」と書くよう促した。
> これに対する(ユダヤ系)移民たちの答えはNO。
> 「X」はキリストの十字架を連想させるので、その代わりに「○」を書いた。
うーん、この話ですが、もうちょい説明が不足しているような気もします。
欧米のキリスト教文化圏では、一般に「チェックマーク(✔)」や「バッテン(✖)」は「確認済み」「OK」「合格」の意味であり、その反対に、「マル(◯)」印は「この箇所がヘン」「ここが間違い」「不合格」の意味なのです。日本とは逆なんですね。その証拠に、たとえば、プレイステーションなどゲーム機のコントローラーが、日本と欧米では、「◯」と「✖」の押しボタンの表示が逆になっています。(ゲーム途中のセーブ(保存)の選択を間違えると大変です。)
中国や韓国ではどうなのかな?
つまり、この話は、文化の違いが誤解を生む元になり、やがて差別用語にまでなってしまったという訳です。
>「マル(◯)」印は「この箇所がヘン」「ここが間違い」「不合格」の意味なのです。
この認識が「カイク」という差別語をうんだという説はどこで確認できるでしょう。
会見を開いて謝罪と発言の撤回をした森喜朗氏に対し、