民度か厳罰か? 台湾人の不満。甘すぎる日本のコロナ対応

 

このまえ日本で働いている台湾人(30代・男性)とはなまるうどんで話をしていると、ヤツが「日本は考え方が甘すぎますよ~」と日本批判をしやがりました。
なんだと?と思う前に彼の話を聞いてみよう。

きょねん入国したとき、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるためのルールにしたがって、彼は2週間の隔離生活を過ごしていた。
それは当然の措置で不満は一切ない。
彼にとって腹立たしかったのは日本の管理体制があまりにゆるかったこと。
隔離対象者は自由な(勝手な)行動ができたから、きまりを守らない外国人が多かったという。

その真逆が中国。
彼の知人が中国に行ったときは、ホテルに隔離というか監禁され、監視カメラで常に見張られていた状態で過ごしていてストレスがたまりまくり。
でも罰則が厳しいから、その2週間、部屋から出ることは一歩もできなかった。

一方、日で本は…。

いま感染拡大が急激に広がっている宮城県では先週、ホテルで療養していた2人が無断外出していたことがわかった。
そのうちの一人に連絡を取ったときの緊迫した様子が朝日新聞の記事にある。(2021年3月24日)

40代男性は15日から入所し、23日夜に外に出た。戻るよう電話で説得した保健所職員に、「仙台市内の居酒屋にいる。別のホテルに泊まり、明日自宅に帰る」と答えたという。

ホテル療養→無断外出「居酒屋にいる」 感染拡大の宮城

 

なんとこの言い訳が通って、自宅療養に切り替わったという。
無断外出した別の70代男性も同じく、自宅に戻ってしまった。

宮城県はいま独自の緊急事態宣言を出していて、知事は現状を「非常に厳しく捉えている」と言っているけれど、現場はこれ。
職員の権限が弱すぎて、隔離対象者の権利が強すぎる。
勝手に抜け出して「いま居酒屋にいる。明日自宅に帰る」が通じる国なんて、世界でも日本だけでは?

埼玉では花見の名所で飲食の自粛をお願いしても、シートを広げて飲み食いするグループがでた。
警備員は「注意しても宴会をやめてくれない客もいる」と困惑した様子だったとか。

埼玉新聞の記事(3/28)

<新型コロナ>シート広げ飲食する花見グループも…大宮公園で警備員困惑「注意しても宴会やめない客も」

危機的な感染状況の中で、こんな”自由”が認められる国も日本ぐらいでは。

 

台湾ならそんなに甘くない。
きょねん12月、隔離対象者がホテルの部屋を8秒間出ただけで、すぐに見つかって10万台湾ドル(約36万円)の罰金が科せられた
厳しすぎるようだが、台湾のコロナ対応は世界から絶賛されているのだ。

米CNNニュース(2020.12.08)

台湾の新型コロナ対策は各国から称賛を浴びている。厳格な封鎖措置を行わず、中国本土のように市民の自由を極度に制限する政策も取らなかったことが背景にある。

新型コロナ隔離違反で罰金36万円、8秒間だけ部屋の外へ 台湾

冒頭の台湾人もこの話を持ち出して、日本政府のゆるさを批判する。

 

台湾人は昨年のいつ入国したか分からないが、ことし1月にリトアニアから入国した外国人はこう言う。

in my case, i have to keep gps on, and show my 14 days movement on the maps. I have to fill the questionnaire two times a day about my health and have to add note if I went to a shop and what shop. That’s what campus asks. But gov, nah. They don’t really care that much as I noticed.

スマホのGPSをオンにしておいて、14日間の移動を地図上に表示しないといけなかった。
また1日に2回、健康状態についてのアンケートがあり、店に行ったかどうか、どの店に行ったかを記入しないといけなかった。
大学ではそういったことを聞かれるけど、日本政府はそうではない。
私が思っていたより、彼らは気にしていない。

つまり政府の対応はこれよりゆるかったようだ。

このリトアニア人はAirbnbで東京の民泊施設を探して、そこで2週間の隔離生活をしていた。
彼の話を聞くと、買い物は自由にできたし、監視なんてものはほぼない。

あくまで”自主”隔離だからか分からないけど、日本は性善説に頼りすぎるように思う。
自粛をお願いしても、罰則がなければ無視する人間が必ず出てくる。

つい先日も飲食店の時短要請がでている中で、厚生労働省の職員23人が銀座で深夜まで飲み食いしていたことがわかった。
田村厚労相の「国民の皆さまがたの信用を裏切る、そのような形があったわけであって、私からも深くおわびを申し上げる」で納得する国民がいるわけない。

こんな状態になると、知人の台湾人のようにルールを守る方がバカバカしく感じる人が出てくるだろう。
そしてそういう人が増えたら、もう歯止めがかからなくなる。
日本人の”民度”に頼るのはもう無理。
中国ほどではなくても、台湾ぐらいの厳罰でもってコロナ対応に臨んでもいい。

 

 

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1 個のコメント

  • この状態は果たして誰の責任なのでしょうか?
    行政側(の責任者、つまり首長)にとって見れば、問題解決は簡単なんです。自治体毎に条例(=地方の法律)を定めて、警察にでも取締りをやらせればいいのですから。そうなるまで、この状態がこれ以上に改善されることは無いでしょう。取り締まる側の(警察以外の)担当者も他人に憎まれる仕事はしたくないし、自由に行動したい人間は役人の言う通りに行動したくないし。他人から厳しく指摘を受けるか、手ひどい目に合うか、自分で気がつくより他に改まりませんよ。最近の銀座で騒いだ役人たちと同じです。
    ま、どこが日本国民の相違に基づく妥協点・着地点になるのか、お手並み拝見ですね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。