いま「Sunny」という会社から、「超次元彼女: 神姫放置の幻想楽園」というゲームが配信している。
これは「ルシファー」「ロキ」「天照大神」「サタン」といった神や悪魔、さらに「安倍晴明」「ジャンヌダルク」といった歴史上の人物を美少女化したキャラクターを使って敵と戦うゲームらしい。
*ロキは北欧神話に出てくるいたずら好きの神
やったことないから詳細はしらんけど、たぶんきっとそんな感じ。キャッチコピーは「美少女を集めて世界を征服! 育成RPG」だ。
「ソニーがそんなゲームを出したのか」と思ったら Sunny は中国の会社だったでござる。
このゲームが地雷を踏んで韓国の人たちを怒らせたらしい。
以下3点の画像は公式ホームページのキャプチャー
天照大神と織田信長はいいとして、韓国人を怒らせたのがこれ。
ではクエスチョン。
この美少女の元となった、韓国の歴史上の人物は誰でしょう?
答えは李舜臣(イ・スンシン)。
李舜臣は16世紀、豊臣秀吉の朝鮮出兵のときに日本軍と戦ってこれを打ち破り、戦場で死んだ救国の英雄。
と韓国では認識されているけれど、日本と韓国は鏡の国同士だから、同じ人でもまったく違って見えてしまう。
日本語版ウィキペディアの説明を見てみよう。
無敵の朝鮮水軍として韓国国内の教科書にて紹介されているが当然「国家間の戦争」で勝利した事実は一切無い。
李 舜臣(1545年-1598年)
李舜臣将軍は現在の韓国で最も尊敬される人物の一人だから、そんな武将が美少女キャラになったのは、まぁ百歩ゆずっていいとしても、下から見える「ハミ乳」に国民が激怒。
韓国的な表現だと「憤怒」か。
中央日報日本語版の記事(2021.04.15)
激しい批判を浴びた。特に、最近中国の文化わい曲などが相次いで議論になっている状況で、韓国の歴史的人物をわい曲して表現したことは、一歩間違えれば蔑視や歴史わい曲に広がりかねないという懸念も出てきた。
胸出し「鎧美少女」が李舜臣将軍? 中国ゲームが炎上
ゲーム会社は「胸キュン要注意!あなただけの彼女を探してみて!」というコピーで、韓国での発売を記念してこの李舜臣キャラを特別に作ったという。
これだけの燃料を投入したら大炎上は待ったなし。
でもそれを予見できなかったのか、「韓国の歴史および李舜臣の人物蔑視に対する意図は絶対になかった」「お詫び申し上げる」と鎮火に必死の様子だ。
結局、この美少女キャラは消された。
全体的には炎上マーケティングのように見えなくもないけど、この件は日本人とは無関係だし、韓国人が怒る理由もわかる。だからこのゲームついて、これ以上はノータッチ。
たしかにあのエロサービスはねらい過ぎた。
ただ「韓国の歴史的人物をわい曲して表現したこと」が、韓国蔑視や歴史わい曲に広がりかねないと怒るのなら、ひとつ気になることがあるのだが。
ソウルを旅行したとき、この李舜臣像の近くの宿に泊まっていたから、宿を出ると毎日のようにこの像の前を通り過ぎた。
この人物が誰かは知っていたし、この像が背後の王宮を守り、日本が攻めてきた南をにらむように立てられることも偶然ではないと想像できた。
首都のど真ん中で仁王立ちする抗日英雄の像。
実はこの李舜臣の像、史実をねじ曲げた「ニセモノ」だったという指摘が韓国で飛び出したからビックリだ。
中央日報日本語版の記事(2011.01.21)
「李舜臣が日本刃に中国鎧」批判…ソウル市「問題ない」
・李舜臣が握っているのは日本刀。
・この鎧は中国の鎧と似ている。
・戦闘を指揮する将軍の鎧が足首まであるのはおかしい。
・顔も李舜臣と似ていない。
・李舜臣は右手で刀の鞘(さや)を握っているが、彼は右利きだからこの姿は不自然。
歴史知識のある市民団体や彫刻界などからのこんな指摘を受けて、ソウル市議会のムン議員は「李舜臣将軍像は直線型の日本刀を持ち、中国式の鎧をしている偽物」と明言。
徹底した歴史考証を行って、新しい銅像を作るべきだとまっとうな主張をする。
これに対しソウル市は、「祖国守護に対する衷心と強烈な愛国心を表現した」とか、「刀は顕忠祠にある李舜臣将軍の儀式用刀をモデルにして作った」とかいう理由で像の変更を拒否。
ただこうなると、「顕忠祠にある刀がそもそも日本刀では?」という疑惑が浮上するしかない。
歴史について日本には厳しく追及しながら、自分には激甘。
だから産経新聞のコラム「大阪から世界を読む」でこんな皮肉を言われる。(2014.7.3)
韓国ではその考証も価値も安易な印象は拭えない。他国にも広めようとしている慰安婦像も、考証からやり直した方がよいのではないか。
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外国の歴史認識が自国と違うと怒り、修正を要求する姿勢はいまも変わっていない。
朝鮮日報の記事(2021/04/15)
中国バイドゥ「尹奉吉と李奉昌は朝鮮族」…韓国の修正要求を黙殺
かといって、ボクがこの中国の主張を支持しているワケではありませんよ。
「韓国の歴史的人物をわい曲して表現したこと」が、韓国蔑視や歴史わい曲に広がりかねないと懸念するなら、まずは自国を総点検したほうがいい。
日本から国を守った英雄が日本刀と、中国の鎧で武装して首都の中心部に立っている。
その前を何度も通った外国人から見ると、市民や市議が「偽物」と呼ぶ李舜臣の像がそのままスルーされていることには違和感しかない。
美少女キャラに対する怒りの10分の1ぐらい、この像に向けてもいいのでは?
これでは、他国に「歴史を忘れた民族には未来はない」なんて非難したら、「お前が言うな」の返り討ちにあってしまう。
そもそもこれは韓国の独立運動家・申采浩(シン・チェホ:1880~1936年)のことばと言われているが、彼の著書のどこにもこんなセリフは出てこない。
だから後世の誰かが作ったという説が有力。
ツッコミどころが多すぎて、ホントにどこから手をつけていいのかわからない。これが自国スルーの理由か。
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