6月10日は「無糖茶飲料の日」なんだって。
いやいや。
お茶は無糖が当たり前でしょ。
緑茶に砂糖を入れるなんて、外道か邪道の所業でしょ。
なんて思っていた10年ほど前、暑い暑いタイでのどをうるおすためにコンビニで緑茶を買って、一口飲んだら吐きそうになった。
口の中に衝撃的な甘さが広がって、口内に糖分がこびりついて、「何じゃ、こりゃあ!」と叫んでそのまま死ぬかと思ったというのは言い過ぎとしても、別の飲み物を買ったのかと思ったほどの衝撃を受けたのはマジ。
お茶国・静岡にも「うす茶糖」という砂糖入りの緑茶はある。
でもあれは緑茶の風味をいかした微妙な甘さで、タイで飲んだ、砂糖を飽和状態にまで溶かしたような激アマドリンクとはまったく別のシロモノ。
でもタイ人に聞いたらそれが当たり前で、コンビニやスーパーで売ってるペットボトルのお茶は基本砂糖入り。たまに無糖もあるという。
タイのほかにもベトナム、カンボジア、インドネシアのコンビニでこんな「緑茶テロ」の攻撃をうけた。
でもはじめから分かっていれば、それほど悪い味でもない。
当然、この逆パターンもある。
日本に住んでいたタイ人は、コンビニで買ったお茶に砂糖が入ってなかったから、すごく損した気分になったと言う。
これは常識や好み、文化の違いだからどうしようもない。
アメリカやヨーロッパでも日本と違って、緑茶といえば無糖より砂糖入りが一般的で、無糖も「ないことはない」という程度らしい。
韓国や中国を旅行したときもそんな感じで、コンビニやスーパーにある緑茶は甘い物がほとんどで、「ブルータス、お前もか」という絶望感を味わった。
いろいろだまされたタイの緑茶
日本でいえば江戸時代初期、17世紀はじめ、イギリスは中国からお茶(緑茶)を輸入していて、コーヒーハウスでコーヒーと一緒に販売していた。
でもイギリスの愛飲家は紅茶に砂糖と牛乳を加えることを好み、1720年代には紅茶の人気が緑茶を上回るようになる。
イギリスとアイルランドでは宗教的な祭りや通夜(徹夜?)、仕事の集まりなど特別な機会にぜいたく品として紅茶が飲まれていたという。
English drinkers preferred to add sugar and milk to black tea, and black tea overtook green tea in popularity in the 1720s.(中略)In Britain and Ireland, tea was initially consumed as a luxury item on special occasions, such as religious festivals, wakes, and domestic work gatherings.
その後、インドから大量の茶がもたらされたことで、19世紀後半になると、お茶はイギリスのどの階層の人でも飲むような国民的飲料となった。
お茶を飲む文化ではイギリスから世界へ伝わった影響がとても大きかったから、砂糖と牛乳を入れて飲むことがスタンダードになったのかも。
それとも現地の人の好みで甘いお茶が好まれたのか。
ただ最近では健康のために無糖のお茶を飲むとか、頭がシャキッとするという「エナジードリンク」の代わりに緑茶を飲む外国人もいる。
無糖の需要が増えれば、日本茶の出番も広がるはず。
「無糖茶飲料の日」のキャンペーンは外国でこそするべき。
えーと、日本でも戦後の一時期、抹茶や粉茶に(少しですが)砂糖を入れて甘くして飲むという習慣があったような気がするのですが。おそらく、昭和40年くらいまで? たぶん「レモンティーに砂糖を入れる」ことから始まったんじゃないかな? もしかすると、地域的な習慣?
粉茶と言えば、今の回転寿司店ではお茶っ葉ではなく、ほとんど全部の店で「粉茶」を使ってますよね。まあ、あれはあれで合理的なんですが。きっと外国人が飲むには、あの方が断然便利だと思います。