「夫」を逆さにしたら「¥」になる。
社会学者で立命館大学教授の筒井 淳也氏が「PRESIDENT Online」でそんな記事を書いている。(2021/06/30)
世界的にみて異質「なぜ日本の家庭では妻が財布の紐をにぎるのか」
夫や妻がかせいだお金は家庭でどう管理されているのか?
妻がサイフを握っている割合を示した国際比較データ(2012年)の結果がこれだ。
1位:日本(55.7%)
2位:フィリピン(51.3%)
3位:韓国(49.4%)
4位:ロシア(28.1%)
5位:メキシコ(24.1%)
夫が働いて給料をもらい、妻がそれを管理するというやり方が日本では一般的で、そういう夫婦の割合は35カ国の中でトップ。
4位から数字がガクッと下がっているのがわかる。
欧米では夫婦が一緒に家計を管理していく「共同管理型」が主流で、「妻が財布の紐を握る国」ランキングの最下位、スウェーデンはわずか1.9%だ。
日本でも共働きの家庭はよくあるのに、この共同管理の割合は35カ国中最低の11.2%。
妻が財布を握っている家庭がとても多いという点で、日本は世界の中で明らかに異質らしい。
その理由として昭和時代の日本で、夫が会社で働いて妻は家で家事と育児を担当する「専業主婦社会」になり、忙しい夫に代わって妻が家計を管理するようになったことが定着し、現在でもその考え方が残っていることが挙げられるという。
夫が稼いで妻が管理するという日本の夫婦のあり方については、ネットでも特に異論はなさそうだ。
・アメリカ人夫の金のチェック半端ないで
・握らせるから握るんだよ。
・日本の男が金にルーズだからよ
・おやおや、日本より男女平等がはるかに進んだ先進国様の社会では違うのですか?
・これで上手くいってるんだから別にいいだろ
・これ男女平等の評価に含まないのおかしくね?
・未婚→飲食代は男性持ちが当たり前
結婚後→飲食代は妻が払って当たり前
なぜなのか
さてここで歴史クイズだ。
1221年に起きた朝廷と鎌倉幕府の全面対決とは一体なに?
答えは承久の乱で、このとき幕府の執権だったのが北条義時だ。
では続いて第二問、義時の3男は一体はだれ?
答えは北条重時(しげとき)。
重時の兄は承久の乱のときに幕府軍の総大将だった北条泰時で、泰時は御成敗式目を定めたことでも知られてる。
そんな兄と比べると目立たないけど、北条重時も日本史の重要人物だ。
六波羅探題北方・鎌倉幕府連署など幕府の要職を歴任し、第3代執権の異母兄・北条泰時から娘婿の第5代執権・北条時頼を補佐して幕政を主導しながら鎌倉幕府政治の安定に大きく寄与した。
重時は『極楽寺殿御消息』(ごくらくじどのごしょうそく)という家訓を残した。
鎌倉時代の武士が守るべき教えを記したこの家訓には、女性や子どもを尊重しなければならないと書いてある。
わが妻子の物を申さん時は、能々聞き給ふべし。ひが事を申さば、女わらんべのならひなりと思ふべし。又道理を申さん時は、いかにもかんじ、「これより後も、かやうに何事もきかせよ」といさめ(元気づけ、励まし)給ふべし。
「日本人とは何か 山本七平 (PHP文庫)」
自分の妻子が意見を言ってきたら、その言葉をしっかり聞くべき。
もし間違ったことを言っていたらスルーでいいけど、立派な内容だったらしっかり受け止めて、これからもそんな意見を言うように励ます。
「天照大神も女躰にておはします」と神道の最高神アマテラスが女性だったことを持ち出して、北条重時は女性や子供を軽視することなく、女性に対して失礼になるようなことは絶対にするなと戒めた。
これが鎌倉時代の女性に対する武士の見方で、男と女の立場でもある。
財布を握られていたかどうかは知らないけど、鎌倉武士には、女性の権利を重視するフェミニストの一面もあったのだ。
さて16世紀(戦国時代)に、ルイス・フロイスというポルトガルの宣教師が日本にへって来た。
織田信長や豊臣秀吉と会ったこともあるこの人物は、日本でのキリスト布教の基礎固めをしたことで知られている。
そんなフロイスが驚いたのはヨーロッパ社会に比べて、日本の女性に大幅な自由や権利が認められていたということ。
「フロイスの日本覚書 (中公新書)」にこんな記述がある。
ヨーロッパでは、夫婦間において財産は共有である。日本では、各々が自分の分け前を有しており、ときには妻が夫に高利で貸しつける。
現代の日本の夫もそのうちこうなるかも。
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