はじめの一言
「おお幸せな土地よ、楽しき国よ(オールコック 江戸時代)」
「逝きし日の面影 平凡社」
今回の内容
・イスラーム教は男尊女卑?
・一夫多妻制の理由とは
・イスラーム教は男尊女卑?
海外旅行をしていると、こんなことを言う人に出会うことがある。
「私は、イスラーム教が嫌いです。男尊女卑の宗教で、女性の人権を認めていないから」
ただ、同じイスラーム教の国でも、考え方が違っていて「ある国では禁止されているものが、別の国では問題ない」ということがある。
例えば、車の運転。
サウジアラビアでは、女性が車の運転をすることが禁止されている。
当然、「今の時代に、そんなことはおかしい!」と思う女性もいる。
それで、1990年には女性が集団で車を運転するという変わったデモが起きている。
リヤード市内で四十七人の女性が、王国では車の運転が禁じられているのに逆らい、十四台の車のハンドルを握り、市内を約三十分間、抗議のデモを行った。
(サウジアラビア現代史 岡倉徹志)
こうした女性を「売春婦」と呼んだ人間に対して、彼女たちはこう言い返している。
預言者の時代には女性がロバや馬に乗るのは普通だったので、車の運転が反イスラーム的であるとは言えないとやり返した。
(同書)
インドネシアやマレーシアでは、こんなデモをする必要がない。
女性が車を運転することは認められている。
こういうことがあるから、「イスラーム教では」とか「イスラーム教の国は」と一まとめにして語るのは難しい。
それに、イスラーム教のどの部分をどう解釈するかで「男尊女卑」か「男女平等」かの判断も分かれる。
イエメンの女性
・一夫多妻制の理由とは
イスラーム教では、4人の女性と結婚することが許されている。
これは、日本でもよく知られていると思う。
旅行先で「あれこそ、女性差別だ!」と怒っている人もいた。
でも、話を聞いているとイスラーム教について誤解をしていたり、あまり知らなかったりもすることもある。
例えば、第1婦人、第2婦人、第3婦人がいると思っていたり、この一夫多妻制というのは、もともとは「女性を救うためにつくられたもの」であることを知らなかったり。
イスラームの婚姻と言えば一夫多妻制、四人の妻との結婚が許されるということが、連想されるかもしれない。実際のところクルアーンにこうある。
汝らがもし孤児に公平にできそうにないなら、良いと思う女性を二人、三人、または四人、娶りなさい。
だが妻を公平に扱えそうにないなら、一人だけにするか、または右手が所有する者(=女奴隷)で我慢しなさい。
これが偏りを避けるために最も適切である (4章3節)(聖典「クルアーンの思想」 大川玲子)
この時代には、イスラーム教を広めるために男たちが戦いに出かけていた。
そして、戦いによって夫をなくしてしまったという妻がたくさんでてきていた。
そうした寡婦が一人で生きていくことは大変だったから、生きて帰ってきた男たちが夫を亡くした女性を自分の妻にして生活を守っていたという。
それで、結果として一夫多妻になったらしい。
これらの句の背景には、当時の戦闘により寡婦が増えたことあると言われる。
(聖典「クルアーンの思想」 大川玲子)
さらに、男性は4人の女性を妻にすることができるけど、あくまでも全員と「公平」に接しなくてはいけない。
つまり、4人の女性と結婚しても、「第1婦人は、第2婦人より地位が高い」ということは決してない。
そういう考えはイスラーム教で禁止されている。
あくまで、すべての妻は平等の立場。
その意味では、全員が第1婦人ということになる。
「ナルト」のお菓子 in イエメン
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