キムチの国籍:韓国のものだ→定義しよう→韓国で争いぼっ発

 

「カルビ」は果たして日本の料理か、それとも韓国料理か?ということを前回書いたわけですよ。
結論としてはカルビは食材の名前だから、どっちのモノという問題ではない。
「かるびマック」や「カルビ丼」は日本料理に属するものなんだが、まぁこのへんはある程度ファジーにしといて、細かくこだわる必要はない。

でないとこういう面倒くさいことになるから。

朝鮮日報の記事(2021/07/26)

中国産の唐辛子粉を使用して韓国で製造、どこの国のキムチ?

いま韓国と中国の間で、「キムチの宗主国」の座をかけた壮絶な争いが起きている。
一般的にはキムチは韓国うまれで韓国文化に属するものと考えられているけど、中国はキムチを自国の食文化と主張している。
そんな背景もあって、中国メーカーなどが「韓国キムチ」と称して販売することを阻止するために、韓国が「韓国キムチ」を定義することになった。
すると、これをめぐって韓国内で争いがぼっ発。

白菜や大根、唐辛子などすべて韓国産でキムチを作っている農協や中小メーカーは、「韓国で生産された材料で作ったキムチを韓国キムチとして認証するのが常識」と言う。
一方、大手メーカーは安い中国産の唐辛子を主原料にしているから、「全ての材料が韓国産」と定義されると彼らの製品は「韓国キムチ」と認められなくなってしまう。

そこで大手メーカーは純国産にこだわると、「キムチの世界化にとって逆に障害になりかねない」とマイナス面を強調。
対して100%国産のキムチを作るメーカーは、「中国人が『韓国キムチの辛味は中国産唐辛子のおかげだ』と言い出した場合、これにどう反論すればよいのか」と言い返す。
無視できるような細かい部分ならいいとして、味を決定づける唐辛子が中国産のものを「韓国キムチ」と言えるかどうか。
韓国の唐辛子生産者は当然、「韓国産の材料で漬けたキムチだけを韓国キムチとして認めるべきだ」と主張している。
この折衷案として浮上したのが、イタリアのナポリ・ピザにならった「ナポリ方式」だ。
どんな食材を使っていても、ナポリのやり方で作ったピザは「ナポリ・ピザ」を名乗ることができる。
でもこれは結局、中国産唐辛子の使用を認めることだから反対する人も多い。

ということで韓国人でさえ「韓国キムチ」とは何なのか、まだハッキリわかっていないのが現状。
というか、それまで各社が独自に作っていて問題なかったキムチに、いまになって統一基準を求めようとするからこんなカオスになる。
世界中の国が流通でつながっている21世紀で、食材の国籍まではこだわらないほうがいい。

 

おまけ

今回でてきた「ナポリ方式」に似た言葉で、ウィンブルドン現象 ってのがある。
もともとイギリスの小さなテニス大会だったウィンブルドンが規則を変更し、世界中の選手が参加可能になったことで世界的なスポーツ大会となった一方、地元イギリスの選手は勝ち上がれなくなった。
モンゴル力士の横綱が続出している大相撲でも、ウィンブルドン現象を指摘することができる。
このように「世界化」を目指すのなら、「純国産」はあきらめないといけないことは多々ある。

 

 

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1 個のコメント

  • > モンゴル力士の横綱が続出している大相撲でも、ウィンブルドン現象を指摘することができる。
    > このように「世界化」を目指すのなら、「純国産」はあきらめないといけないことは多々ある。

    「世界化」あるいは「国際化」による影響と言えば、大相撲よりも、やはり柔道が先じゃないですかね。
    現在のような青白対戦型柔道着も、体重別試合形式も、ポイント採点方式も、全て国際化の一環として柔道に取り入れられたルールですよね。青色の柔道着なんて、未だに国内じゃ正式ルールとしては認められてない大会も多いですし。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。