世界の友好と平和を願って開催されるオリンピック。
でもなかには、そのレベルに遠く達していない人もいるようで。
五輪では選手が国や個人の名誉や夢をかけて全力で争うわけだから、見ている側や関係者も自然と力が入る。心が熱くなっても頭がクールなら問題ないが、我を忘れた言動を一度でもすると一発で締め出されるのはシカタナイ。
いま行われている東京五輪の自転車競技で、アルジェリア代表選手の後ろにいたドイツ選手に向かってコーチがこう檄を飛ばした。
「そのラクダ商人を追い越せ! ラクダ商人を追い越せ! やっちまえ!」
このコーチは、いまこれがテレビ中継されているのを忘れたのか?
アラブ人を侮辱するこの言葉はバッチリ音声に拾われ、ドイツの解説者は「あきれてものも言えない」と絶句、海外メディアも批判するなど大問題に発展。
五輪にとって最大の敵は人種差別といっていい。
競技中に「ラクダ商人」の発言を聞いたドイツ人選手は「許されるべき発言ではない」と怒り、ドイツ五輪スポーツ連盟は「人種差別的発言について、心より謝罪を申し上げます。彼はオリンピックの精神を冒とくしました」と即座に謝罪声明を発表した。
このドイツ人コーチは強制帰国を言い渡されたから、ひょっとしたらもう日本にはいないかも。
ネットの声を見ると、この出来事に接点のない日本人にとってはしょせんは他人事らしい。
・鳥取に対する差別だな
・世の中侮蔑になる言葉多いから大変やな、
まあ、普段から言ってるから咄嗟に発言したんでしょうな
・アラブ系選手への差別にならない呼び方って何だ、
砂漠のプリンス?
・「そのすし職人を追い越せ! すし職人を追い越せ! やっちまえ!」
って言われても何とも思わん
・このナチ野郎!て返せばええのかな
不用意な言葉が命取りになる例は、この少しまえギリシャでもあった。
時事通信の記事(2021年07月29日)
ギリシャTV、韓国選手に人種差別発言 五輪番組司会者を解雇―東京五輪
卓球の試合でギリシャの選手と対戦していた韓国人選手に対して、スポーツ番組の司会者がこう言う。
「そんな小さな目で球が行ったり来たりするのを、どうやって見ることができるのか理解できない」
韓国人、日本人、中国人について「目が細い」「目が小さい」といった身体的特徴を指摘すると、そのまま差別発言につながることが多い。
テレビのスポーツ中継での発言は360度、どこから見ても人種差別的だ。
テレビ局はすぐに「人種差別的な発言は公共のテレビにふさわしくない」と非難し、このヤラカシタ司会者との契約解除を発表。
当然で賢明な判断だ。
日本では五輪・開会式の楽曲を担当した人物が「障害者いじめ発言」が原因で直前になって辞任し、ショーディレクターだった人物も「反ユダヤ発言」で前日に解任されて大騒ぎになったのは記憶に新しい。
五輪憲章や現代の人類の価値観や理想の真逆だから、20年以上前の発言でも、いまになって掘り返されて罰を受けるというのが差別発言のオソロシイところ。
テレビでアラブ人を「ラクダ商人」、韓国人を「小さな目」と表現したら、この人種差別発言にはもう弁解の余地はない。
長引かせるとまわりにかかる迷惑や負担が大きくなるから、「損切り」として本人を一発退場させるしかない。
これはいま世界で共通する姿勢だ。
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