外国人からみた日本の社会や人:アナログってよりは保守的

 

3日前の9月11日というと世界的には、2001年に起きた「アメリカ同時多発テロ」を連想する人が多い。
でも日本についていえば「公衆電話の日」。
1900(明治33)年のこの日、日本初の公衆電話(自動電話)が東京の新橋駅と上野駅に設置されたことから、9月11日は公衆電話の日という記念日になっている。

日本のコンビニでバイトをしていたインド人が驚いたのがコレ。
21世紀の世界的な先進国で、店にファックスと公衆電話がある風景というのがとても印象的だった。
インドにいたときファックスについては、そのウワサは聞いたことあるけど実物は見たことない。
もしあるとしたら博物館の中ではないかと言う。
でも日本では、それと公衆電話がいまでも現役で活躍しているというのが彼からすると衝撃的らしい。

日本は、「いい加減やめようよ、途上国じゃないんだからさあ!」という書き込みがよくあるほど、日本人自身も認めるアナログ社会だ。
時代が21世紀や令和に変わっても、昔ながらのツールは相変わらず社会に残されたまま。
いまやファックスや公衆電話なんて、発展途上国でもなかなかないのでは?
ただ日本で公衆電話は法律で設置が義務付けられているから、ファックスとは事情が違う。

 

このまえ東ヨーロッパのリトアニア人とトルコ人、それとアメリカ人と一緒にご飯を食べていたときに、公衆電話の日このインド人の話を思い出した。
だもんで、「あなたの国に公衆電話はありますか?」ときいてみた。

トルコでは街中から公衆電話は消えたけど、郵便局ならいまでもあると思うと言う。
リトアニア人も母国で見た記憶がないけど、トルコと同じく郵便局ならあるかもしれないとのこと。
アメリカ人も街中ではもう見ないけど、携帯の電波が届かないところや、特別な事情のある場所なら公衆電話があるだろうと話す。

アメリカには約10万台の公衆電話があるとされ(2018年)、そのうち約5分の1がニューヨークに設置されている。
人口が極端に密集しているNYではまだ必要性があるらしい。

An estimated 100,000 payphones in the U.S. remain as of 2018, with roughly a fifth of them located in New York.

Payphone

 

ガラスに舞妓の絵を描いて、利用者の目を楽しませる配慮が日本人らしい。

画像:Ctny

 

外国人がこんなアナログ社会で生活してると、現代の国際基準とのギャップに戸惑いを感じることがある。
たとえば就職活動をしていた知人のアメリカ人は東京の先進的(に見えた)会社から、手書きの履歴書を出してほしいと言われて驚いた。

上のトルコ人も日本の会社で働いていて、書類にハンコを押し、それをファックスで送った体験はとても新鮮だったと言う。
日本の文化体験みたいでおもしろかったけど、すぐに面倒くさくなって、いまではハンコとファックス送信の習慣はなくなってほしいと願ってる。

 

リトアニア人、トルコ人、アメリカ人の見方をまとめるとこんな感じだ。
日本には高い技術力があって先進国であることは間違いない。でも、先進的な技術は限られたところにあって社会全体に普及していない。
でもそれは技術ではなく、意思や気持ちの問題で、人々がその必要性を感じていないから。
その気になればいつでもカード払いができるのに、いまでも現金を使う人がたくさんいるように、日本人は保守的で変化をあまり好まない。

外国人との付き合いをみても、それが好きな人より敬遠する人のほうが多いし、日本人同士でも接点を持たないで距離を置こうとする。
大学の同じ研究棟にいても、違うラボの学生ならあいさつをしないという話を日本人から聞いて、トルコ人やリトアニア人はビックリした。

日本の「アナログ社会」も本質的にはそれと同じ。
新しい技術を取り入れて自分の生活を変えるよりは、基本的にはこれまでと同じでいいと思う保守的な人が多いから、国に高い技術力はあっても社会全体の変化はゆっくりしている。
それには良い面・悪い面があるから、単純にどちらかはきめられない。
ただ外国人の立場から言わせてもらうと、無駄・無意味に見えるモノや習慣が多くてストレスは感じる。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。