きのうの記事で天狗のことを書いたから、今回はそのおまけ。
天狗の話題がでたから、その意味や成り立ちについて書いていこうと思う。
天狗という言葉は中国語だけど、そもそもなんで「天の狗(いぬ)」なのか?
これは古代の中国人が空を移動する流星(または隕石そのもの)を見て、光が描く線を流星の尾と考えて「天の狗(いぬ)」と呼んだことにはじまる。
これは「日本大百科全書(ニッポニカ)の解説」の説明で、ウィキペディアを見ると、「天狗」は流星をあらわす言葉だけど、地表近くまで落ちてきた流星が大きな音を立てて空中で爆発する天体現象を「咆哮を上げて天を駆け降りる犬の姿に見立てている。」とある。
細かいことはおいといて、天狗とは流星のことで、いまのような赤い顔をして長い鼻を持つ伝説上の生き物ではなかったのだ。
中国の古典「山海経」に出てくる天狗
日本で「天狗」という言葉が初めて登場するのは日本書紀(7世紀)。
奈良の都の上空をすさまじい音を立てて移動する流星を見て、唐で学んだ仏教僧「旻(みん)」が、「これは天狗である。天狗の吠える声が雷に似ているだけだ」と言った。
舒明天皇9年(637年)に流星が現れた時には天狗の吠え声と主張し、舒明天皇11年(639年)に彗星が現れた時には飢饉を予告するなど、祥瑞思想に詳しかった。
もともとは流星の名称だった「天狗」が、上のような妖怪の名前になったのは中世のころ。
『百科事典マイペディア』にはこんな解説がある。
「この名が同じ隠現自在の働きをする日本の山の神にあてられ,中世以後修験(しゅげん)道などの影響で,鼻が高く嘴(くちばし)と羽翼をもち,山伏の服装をした天狗が成立。」
ここには山の神しか書いてないけど、日本に古くからあった霊、幽鬼、モノノケといった民間信仰も習合しているだろう。
天狗は山にいる神様と考えられることが多いけど、仏教にでてくる「迦楼羅(かるら)天」が変化したものという説もある。
上は興福寺の迦楼羅像
下も迦楼羅天だけど、天狗のようにも見える。
静岡県袋井市にある可睡斎(かすいさい)というお寺に行ったとき、巨大な「迦楼羅の笛」を見つけた。
迦楼羅の化身である「三尺坊大権現(さんしゃくぼうだいごんげん)」というのは秋葉神社の火の神のこと。
このように顔かたちは天狗そのものだ。
この迦楼羅天とは、もともとはヒンドゥー教のガルダ(ガルーダ)と呼ばれる怪鳥のことだった。
その一族はインド神話において人々に恐れられる蛇・竜のたぐい(ナーガ族)と敵対関係にあり、それらを退治する聖鳥として崇拝されている。これは、インドにおいて猛禽類や孔雀は蛇を食べると解釈されていたことによるものらしい
仏教の迦楼羅天も煩悩の象徴とされる龍(毒蛇)を食べている。
そういえば「山海経」に出てくる天狗も蛇のようなものをくわえていた。
ヒンドゥー教のガルダは東南アジアに伝わって、インドネシアでは国章となっている。
「ガルーダ・インドネシア航空」と飛行機会社の名前にもなった。
タイの王宮にあるガルダの飾り
ナーガという蛇神を両手に持って踏んづけている。
タイのパスポートのデザインもこのガルダ。
「天狗」とはもともとは流星のこと。
そして迦楼羅天とはガルダの化身。
もし迦楼羅天=天狗の説が正しいのならすべてがつながる。
迦楼羅天とガルダの見た目なら、天狗に近いものがある。
天狗の由来と言えば日ユ同祖論(笑)
天狗や山伏もユダヤ教との共通点として取り上げられてましたね。
論そのものは眉唾物ですが、ユダヤ人は6世紀には中国に到達してコミュニティーを築いていたという話がありますから、ユダヤ教も大陸の珍しい文化のひとつとして遣隋使や遣唐使が日本に伝えたのかもしれません。
そしてクリスマスやハロウィンよろしくお洒落な文化としてユダヤ教の様式を取り入れたものの、宗教としては完全に神道に飲み込まれてしまった、なんてありそうな気がします(笑)
きっと全部ひっくるめて日本の天狗はできたんでしょうね。
ロシアに落ちた隕石はすごい大きな天狗でしたね~。 あれは本当にすごかった。
あと鬼の元はバイキングじゃないかとも言われていますね。
こういうのって面白いですよね~(*^^*)
きょねん会った2人のイスラエル人に日ユ同祖論のことを話したら、2人ともまったく知りませんでした。
日本だけにある説のように思います。
でも天狗や山伏がユダヤ教と関係あるというは想像力がかきたてられますね。
天狗には山岳信仰がかかわっているから、山で起こる不思議なことや不安なことをすべて天狗にひっくるめてとらえていたと思いますよ。
そういえばロシアでそんなことがありましたね。
あれを古代の中国人は「天狗じゃ!」と言ったのかな。
バイキングの話は初耳でした。そうなんですね。