日本に住む中国人さんから聞いた話:漢字・食文化・治安など

 

「一富士、二鷹、三茄子」

初夢で見ると縁起のいいものを順に並べたものが上の三つで、なかでも最高位にある最もめでたいものが富士山だ。
夢とは見るものじゃなくて、かなえるもの。
ということでリアルの富士山を見に行こうとハイキングに誘ったら、インド人2人、ネパール人、中国人、タンザニア人の留学生が「行きたいっ!」と手を挙げたんで、1月2日に6人で静岡市の浜石岳へ行ってきた。
なので今回は、そのときに中国人から聞いたことを書いていこう。
ちなみに彼らは全員20代の男で、日本語がほとんどできなかったから会話はほぼ英語だ。

 

・会話

助手席に初対面の中国人が座ってくる。
共通の話題がいいだろうと思って三国志を選んだら、もどかしくて話にならなかった。
日本と中国では漢字の発音がぜんぜん違うから、「わたしが一番好きな人物はジューガーリャンです」とか「ジャンフェイが~」と向こうが言ってもこちらはさっぱりわからず。
スマホの画面を見せてもらったら、それぞれ「諸葛亮」と「張飛」とあるからそれなら瞬時に了承。
で、今度はこちらが「そうそう」、「そんけん」と日本語発音で言うと、「は?」「え?」と中国人にはまったく通じない。
お互い三国志の知識があって会話の土台はできていているから、筆談を交えれば話はスイスイ進むけど、会話をするとすぐに話が止まってしまうからこの話題はあきらめた。
彼も日本人との会話では、発音の違いでもどかしい思いをよくするらしい。

・彼が自分の出身地の近くでは「シャオリン・ゴォンフゥーが有名だ」と言う。
するとインド人・ネパール人・タンザニア人は「ああ、あれね!」とすぐに理解して、ボク一人だけが不思議の世界に迷い込む。
中国人から説明を受けて「少林功夫のことか!」と納得。
外国人は中国語発音で覚えているから、英語で話をするとついていけないことがある。

・英語の Japan は「日本国」の中国語発音が由来といわれる。
それで中国人に発音してもらうと、「リィーベングォ」とたしかに「ジパング」に近い。

 

ハイキングコースにあった犬の夫婦のお墓

 

・中国の食文化

中国の犬肉食についてきいてみた。
いまでも食べる人がいるけれど、最近ではペットとして「家族の一員」と考える人が増えてきたから、全体的に犬肉食はかなり減ったという。
いまは世界的に非難されることが多くて、もう国内問題ではないから、彼としてはあの習慣はなくした方がいい。
ところでこのお墓、メス犬の方が少し短いのは「男尊女卑」の考え方に見えるとか。

 

 

・治安

ハイキングコースのすぐ近くに果物があるのは、日本人が誠実な証拠。
中国だったらこんなふうに手の届くところにミカンがあったら、きっと争奪戦がはじまる。

日本は夜がとても静かだと思う。
中国だと夜の9時や10時でも、公園で音楽をかけて太極拳をする人がいるし、人の気配や音が絶えない。中国人は基本、自分のやりたいことをする。
このまえ8時ごろ寮の周辺を散歩したとき、1時間歩いても誰も会わなかった。日本の夜は静かすぎて違和感を感じる。光も少なくて暗いけど、治安がいいから安心感はある。
中国は監視社会で街中いたるところに監視カメラがあって、悪いことをしても見つかるから治安はよくなった。
そのぶんプライバシーがなくなるとしても、社会が安全になるメリットの方が大きい。
ミカンが盗まれないこともそうだけど、カメラなしでも治安がいいのは日本のすごいところだ。

 

・食事

山頂に着くとランチタイムになって、彼はバッグからおにぎりを取り出した。
基本的に冷たいご飯は好きじゃないけど、サンドウィッチだとお腹がふくれないからおにぎりをチョイスしたという。
(タンザニア人はイギリス文化の影響からサンドウィッチを選んだ。)
「冷たいご飯なんて罪人の食事みたいじゃないですか」と言う中国人もいるぐらい、中国では温かいご飯を食べるのがふつう。おにぎりは日本人の発明だ。

「おむすびの三角の形の由来には、山を神格化してそのパワーをいただく日本人の発想がある」と話すと、みんな「ほ~」と感心する。
それで調子に乗って「おにぎりの語源には、万物を生んで育てる「むすひ」(産霊)という神道の霊力や神という説がある」と話しても今度は特に誰も反応せず。
三国志といい、外国人との会話では適切な話題のチョイスがむずかしい。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。