【最高峰】タンザニア人が比べた、キリマンジャロと富士山

きのう２月23日は「富士山の日」。
２２３は「ふ・じ・さん（又はふじみ）」と読めることと、晴れる日が多いこの時期にはキレイな富士山がよく見えることからこの記念日が誕生した。
で、静岡県では学校が休みになるんだが、令和から２月23日は天皇誕生日の祝日になったから、「富士山の日っていらなくね？」と不要論が高まったのは事実だ。
でもそれは置いといて、ことしの正月、東アフリカのタンザニア人と静岡の「浜石岳」へ富士山を見に行ったて、キリマンジャロの話を聞いたんでここではそれを中心に書いていこう。

まずタンザニアってこんな国

面積：94.5万平方キロメートル（日本の約2.5倍）
人口：5,800万人（2019年）
首都：ドドマ
民族：スクマ族、ニャキューサ族、ハヤ族、チャガ族、ザラモ族等（約130）
言語：スワヒリ語（国語）、英語（公用語）
宗教：イスラム教（約40％）、キリスト教（約40％）、土着宗教（約20％）

以上の情報は外務省ホームページ「タンザニア連合共和国United Republic of Tanzania」から。
面積は日本の２倍以上で人口は半分以下だから、土地代はきっととてつもなく安い。

タンザニアのパスポートには、向かい合う男女の下にキリマンジャロの絵がある。

「あなたの国で一番高い山はなに？」と外国人に聞くと、「えっ？考えたことなかった」とスマホで調べ始める人が多い中、このときのタンザニア人は「キリマンジャロ」と即答。
富士山とキリマンジャロにはまず、「国内で最も高い山」という分かりやすい共通点があるんだが、キリマンジャロはスケールが違う。
世界一高い山はネパールのヒマラヤ山脈に連なるエベレストで、単体の独立した山ではキリマンジャロになる。
同じく独立峰の山として国内一の高さを誇る富士山も、3776ｍの戦闘力では5895mのキリマンジャロにはとてもかなわない。

さて浜石岳の頂上に着くと、気持ちいい青空をバックに相変わらずオトコマの富士山が姿をあらわす。
「それ、いつ終わります？」と聞きたくなるぐらい、あちこちから写真撮影をしていたタンザニア人は、富士山にもキリマンジャロにも山頂に雪があってそれがすごく重要なポイントだと指摘する。

キリマンジャロは「キリマン・ジャロ」に分かれる、と思った人は廊下に立っててください。
これはキリマ（山）とンジャロ（白さ）を合わせた言葉で、「白く輝く山」といった意味だ。
日本の2.5倍のタンザニアの中でも、雪の降る場所はキリマンジャロだけで、彼はそこへ行ったことも直接見たこともなかったから、この富士山が人生で初めて雪を見た感動の瞬間になる。
キリマンジャロは外国人観光客が登る山で、一般のタンザニア国民にはそんなことをするお金と時間がないらしい。
なら、あのエンドレス写真撮影もやむなしか。

日本でも富士山と白い雪は古来からカレーと福神漬けみたいな、なくてはならないセットになっている。
だから万葉集には、不尽山（ふじのやま）を詠んだこんな一首があるのだ。

「不尽の嶺（ね）に降り置く雪は六月（みなつき）の十五日（もち）に消ゆればその夜降りけり」

富士山の嶺に降り積もる雪は、六月の十五日には消えるかと思ったら、夜になってまた降ってきた。

いまいちこの情感が分からんが、とにかく雪をいただいた富士山に日本人が感動したことは伝わる。

このときのタンザニア人の感覚では同じ雪のある山でも、キレイさでいえば富士山の方が上だ。
キリマンジャロは頂上がテーブルマウンテンのような平らになっているから、全体的にはどっしりした台形のように見える。
一方、富士山は鋭角の山頂からふもとへスゥーッと長い稜線がのびて、全体で大きくキレイな三角形を描いているから、キレイさでいえば富士山の方がキリマンジャロの上位にある。

ということで彼の話を総合すると、日本の富士山もタンザニアのキリマンジャロも独立峰の最高峰で、国のシンボル的存在という点では同じ。でも高さではキリマンジャロ、美しさでは富士山がまさっている。
でも、国民が簡単に登ることができないという点は富士山と違っていて、タンザニア人にとっては高嶺の山だ。

そんなキリマンジャロも地球温暖化のせいで、だんだんと雪が消失しているという話を彼から聞いた。
調べてみたら、「たしかにこれはヤバい！」というレベルでなくなっている。
上の1993年と下の2000年の写真を比べると、白い部分がかなり減っているのは一目でわかる。