日本でも土葬を! イスラム教徒の願いを外国人はどう思う?

 

ここ数年、その行方をめぐって、大分県の日出町が全国的な注目を浴びている。
外国人や改宗した日本人を合わせ、日本に住むイスラム教徒の数はこのところ急増していて、火葬がメインの日本では、土葬する場所を確保することがとてもむずかしい。
あるイスラム団体が日出町の土地を購入して、100人分の遺体を埋葬できる墓地をつくろうとしていることが分かると、住民から”マッタ”がかかった。

FNNプライムオンライン(2022年2月2日)

イスラム教徒向け土葬墓地めぐり 揺れる地域

これが実現すれば、九州では初となるイスラム教徒専用の墓地となる。
でもその近くには農業用のため池があるから、「墓地からの排水で水質が悪化するのでは?」と住民が懸念の声を上げる。
そこで日出町が別の町有地を新しい候補地にと考えたところ、今度はその近くに、飲み水の水源地があったことから、その水を利用する別の町の住民から抗議を受けた。

この問題について日出町の町長はこう話す。

「地域の人と事業者の双方が理解し合えた中で建設されるべきだという思いはずっとあった。不安が払しょくできるように丁寧な説明に努めていきたい。」

一方、イスラム団体の代表はこう訴える。

「私たちにいま1番大事なのはお墓(の問題)。本当に私たちはすごく困っている。できるだけ早めにお墓がほしい。」

ネットの反応を見ると、日本にイスラム教徒向けの土葬墓地をつくることには、抵抗を感じる人が多いようだ。
では外国人はどう思うのか?

 

この土葬問題はコロナ禍がひどかったとき(いまも大概だけど)、日本に住むイスラム教徒が感染して亡くなった時はどうするべきか?ということで注目を集めた。
それでいろんな外国人に意見を聞いてみたんで、これからそれを紹介しよう。

・中国人

「They should follow your law . Simple ..
you change 1 law they insist on you changing many for them.」

シンプルに、彼らが日本の法に従うべきだ。
1つの法律を変えると、彼らは自分たちのために多くの法律を変えようと主張する。

(墓地についてイスラム団体は法の改正を主張していないから、この中国人さんはどっかカン違いしているようだ。)

オランダ人

「日本はイスラム教の国ではありません。
彼らが、自分の信念のためだけに土地を提供するよう、政府に要求することは正しくありません。
オランダでは、これ以上の感染を防ぐための火葬の問題はありません。」

・トルコ人

「私もムスリム(イスラム教徒)なんですけど、すべてのムスリムが火葬に反対しているわけではありません。私はムスリムとして、感染している遺体は火葬されるのが最善と思い、そのやり方を尊重します。日本にいるイスラム教の指導者と、私たちの考え方は違います。トルコに住んでいるイスラム教徒は火葬を賢明な判断だと思っています。」

・このマレーシア人のイスラム教徒は、ほかに方法がないなら火葬でもOKと言う。

「If there are no any other choice left, then yes Im ok.」

・イタリア人

「イタリアは伝統的に土葬で火葬は本当に少数ですから、これは問題になりません。」

・ヨーロッパ人(国は不明)

「A big topic indeed.
Basically we need to show understanding in religious or some cultural background.
However, in case of emergency such as the spread of infections, should be obey the law or international agreements.
I think in this case, a new specific method should be thought of, that allows the burial to be done in a way that it won’t be infectious. That way both the religion and the goal of the law is respected.
The law isn’t absolute, and as long as the solution has the same outcome, it is good.

確かに重要なテーマですね。
基本的には宗教的、文化的な背景を理解する必要があります。
しかし、感染症がまん延するような緊急事態には、法律や国際的な取り決めに従うべきでしょう。
この場合、感染症にならないような、別の埋葬法を新しく考えるべきだと思います。そうすれば、宗教も法律の目的も尊重されます。
法は絶対的なものではなく、解決策が同じ結果であればそれでいいのです。

 

・イスラム教徒(国籍不明)

「Religion is on top of anything besides it for muslims, if there would be only one way to bury the dead they wouldn’t consent to anything besides that.」

イスラム教徒にとって宗教は最も重要です。
死者を葬る方法が1つ(土葬)しかない場合、彼らはそれ以外には同意しません。

これにはヨーロッパ人がこんなコメントをする。

「yes, I understood. However, in case of emergency, we need to join the forces to avoid the spreads. Because we live in the same world.」

それは分かる。でも緊急事態の際には、拡散を避けるために力を合わせる必要がある。なぜなら、私たちは同じ世界に生きているのだから。

これは別の機会に、たまたま見かけたインドネシア人のイスラム教徒の意見だ。

「もし日本でコロナウイルスで死んで火葬されたとしても、それは神(アッラー)がきめたことだから受け入れる。」

 

国土がせまくて、イスラム教徒が多く住むシンガポールでは、お墓を15年のレンタルにする埋葬政策を導入した。
この期限を過ぎたお墓は掘り起こされて、遺骨は別の墓地に再び埋葬されるという。

To address land scarcity issues in Singapore, the National Environment Agency introduced a burial policy in 1998, which limits the lease of graves to 15 years.

Malay Muslim funerals 

 

インドネシア人のイスラム教徒に聞いた話だと彼らの埋葬法は、頭を聖地メッカに向けて土に埋めたら、もう掘り起こしてはいけないという。
これが正しいなら、シンガポールのイスラム教徒は土地不足問題に合わせてやり方をちょっと変えている。
日本にいるイスラム教徒のいま1番大事な問題はお墓で、早くそれを確保したいのなら、現地の事情に合わせてイスラム教を柔軟に解釈することも必要だろう。
わたしたちは1%も妥協できない、変えられないと主張すると、土葬墓地の問題はいつまでも先に進まない。

 

 

今はラマダン月、イスラーム教徒の断食生活とは?様子や目的。

イスラム教を知ろう! 「中東・イスラム」カテゴリーの目次 ① 

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6 件のコメント

  • > 墓地についてイスラム団体は法の改正を主張していないから、この中国人さんはどっかカン違いしているようだ。

    いいえ、必ずしもこの中国人の言い分が間違っているという訳でもありません。
    日本の大多数の自治体では火葬を推奨しており、土葬などそれ以外の葬送を実質的にはほぼ禁止しています。このブログ記事にある日出町のような考え方は、非常に例外的です。
    さらに、東京都など大都市圏を中心に、条例(地方自治体が定める法律)で、土葬や散骨を禁止している自治体もあります。
    法で定まっていなくても、地元住民の慣習は優先されるべきであり、特にそれが公衆衛生上の観点からも奨励される場合は優先度が高いと考えるべきです。

  • >日本の大多数の自治体では火葬を推奨しており、土葬などそれ以外の葬送を実質的にはほぼ禁止しています。
    これは本当ですか?
    根拠はなんでしょう。

  • ざっと調べる限り、”土葬は地下2mに埋葬しなければならない”という条例は多いですが土葬そのものを禁じているのは東京の区内その他少々です。
    実質的な土葬禁止は、条例というより墓地・霊園の管理規則の影響ですね。土葬可の墓地は非常に少ないので。

  • 静岡県も土葬を認めていて、明確に禁止しているほうが日本では少ないと思います。
    ただこの件は地元住民の理解を得ないと前に進まないですね。

  • 火葬を望むイスラム教の外国人はご自分の国で埋葬してください。ここは日本です。外国人が日本に来て日本の伝統と文化を侵すのは非常識であり、到底、日本人として受け入れることはできません。これは世界中で当たり前のことです。我々日本人がイスラム教の国に移り住んで、女性がベールを付けないのと同じこと。それ以外にもたくさんあると思いますが。

  • 日本の社会問題は、最終的には憲法に合うかどうかで判断されるでしょうね。
    かといって、住民感情を無視してはいけませんし、むずかしい問題です。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。