海外でも割と有名 中国由来の日本の妖怪「九尾の狐」って?

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栃木のミステリースポット「殺生石」とは?

栃木県那須温泉の近くに、地面から火山性ガスがモクモクと噴き出す場所がある。昔の人はここを「生き物を殺す石だ…。近づいちゃなんねえ」と考え、「殺生石(せっしょうせき)」と呼んだ。
松尾芭蕉も訪れたこの場所は、現在、国の名勝に指定されていて、栃木を代表する観光スポットになっている。

 

江戸時代に描かれた殺生石の絵

不幸のサイン!? 殺生石が真っ二つに割れた

2022年3月、この殺生石が真っ二つに割れているのが見つかって、大きな話題になった。
「封印が解けたのでは?」と不安そうなネット民の声がこちら。

・これあかんやつや
・封印しすぎて耐えられなくて割れたのでは
・馬鹿な…
早過ぎる
・これからどうすんの?
セメントでくっつけるの?
・もうダメだ日本は終わり

 

実際には自然現象で割れただけなんだけど、これほど騒がれたのは、この石に伝わる「九尾の狐(きゅうびのきつね)」の伝説が恐ろしかったからだ。
知人のトルコ人やバングラデシュ人も知っていたこの妖怪を、読者諸兄はご存じだろうか?

 

『山海経』の九尾の狐

伝説の妖怪「九尾の狐」の正体

九尾の狐は、もともと古代中国の空想上の生き物だ。紀元前の書物『山海経(せんがいきょう)』では、こう紹介されている。

「青丘山に獣がいる。狐のような姿かたちで、尻尾が9本ある。赤ん坊のような声で鳴き、人を喰らう。逆にこれを食べた人間は邪気を退けることができる。」

中国文化において、陽数(奇数)の最大数であるの「九」には、皇帝や子孫繁栄の象徴といっためでたい意味がある。九尾の狐は、立派な皇帝が現れる予兆とされる「瑞獣(ずいじゅう)」でもあったのだ。
しかし、絶世の美女に化けて国を滅ぼした悪女「妲己(だっき)」の正体が九尾の狐だったという話が広まり、「恐ろしい化け物」のイメージが定着した。

日本に伝わる「玉藻前」の物語

おそらくこの中国の話が元ネタになって、14世紀の室町時代ごろ、日本で「玉藻前(たまものまえ)」という物語が作られた。

平安時代、18歳の玉藻前はその美しさから鳥羽上皇(実在の人物)に深く愛された。しかし、上皇は急に重い病に倒れてしまう。
陰陽師の安倍泰成が正体を見破ると、彼女は九尾の狐の姿になって逃げ出した。
その後、鳥羽上皇が派遣した軍と九尾の狐との戦闘が始まる。この妖怪の攻撃力はすさまじく、妖術などによって、朝廷の軍は多くの兵士を失って敗北。
準備と態勢を整えて再び攻撃を開始し、最後は矢を放って刀で斬りつけてやっと九尾の狐の息の根を止めることができた。

その亡骸(なきがら)はやがて毒を放つ岩になった。それが「殺生石」の由来だ。
この玉藻前(九尾の狐)の話は江戸時代に庶民の間で人気となり、日本で広く知られるようになる。

*それが今回パかっと割れたから、「封印が解かれて九尾の狐が現代によみがえった!?」とネットで話題になった。

 

 

浮世絵に描かれた九尾の狐

 

正体がバレて逃げる玉藻前(九尾の狐)

アニメやゲームで海外でも「有名キャラ」へ

「絶世の美女が実は九つの尾を持つ狐だった」という設定は、現代のクリエイターにとっても魅力的。そのため、多くの作品に登場している。
そんなことで、

うしおととら、グランブルーファンタジー、ゲゲゲの鬼太郎、けものフレンズ、地獄先生ぬ~べ~、幽☆遊☆白書、妖怪ウォッチ、封神演義、どろろ、真・女神転生if…

などのたくさんの作品で使われた。

今では日本のアニメやゲームを通じて、「九尾の狐」の存在が世界中に広まっている。
以前、知人のトルコ人が、九尾の狐を知ってると言うから驚いた。
「カッパや天狗といった有名どころを知ってる外国人ならよくいるけど、日本人でも知らない人がいるようなマイナー妖怪をよく知ってるなー」と思ったら、そのトルコ人は『鬼灯の冷徹』を見てこれと妲己を知ったという。

東洋大学を設立した教育者の井上 円了(1858年 – 1919年)は妖怪にも詳しく、『妖怪学講義』という本を世に出して、「お化け博士」や「妖怪博士」とも呼ばれた。
井上は妖怪をいくつかの種類に分けた。

自然への恐怖から生まれた妖怪が、物語や観光、そしてアニメのキャラクターへと姿を変えていく。九尾の狐は、まさに時代を超えて進化し続ける「文化的な妖怪」と言えるね。

たとえば、自然現象や人の恐怖心から生まれた妖怪がある。そうではなく、誰かが利欲を得るために勝手に創造した妖怪もあり、井上はそれを「偽怪」とした。

九尾の狐もはじめは、自然や恐怖心などから生まれたのだろう。
でもそれが、妲己や玉藻前(たまものまえ)の物語や観光スポットで使われて「偽怪」になり、いまでは外国人でも知ってるようなアニメやゲームの人気キャラとなった。

 

 

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

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