ほんじつ3月9日は、1894年のこの日に日本初の記念切手(明治天皇成婚25周年記念)が発行されたことにちなんで、「記念切手記念日」になっている。
でもってアメリカに目を向けると、1959年3月9日にバービー人形が発表されたことから、「バービーの誕生日」だ。
1960年代に、バービー人形を鋭意生産していたのは実は日本だった。
当時の日本はアメリカよりも人件費が安くて、人形を作る確かな技術も持っていたし、繊維産業が盛んだったから人形と一緒に衣装も発注できるということで、日本の工場(工房?)に生産がまかされていた。
日本国内で発売されると、ビートルズの影響などで欧米人へのあこがれもあって、バービー人形はバンバン売れていた。
1967年に「リカちゃん人形」が発売されるまでは。
タカラ社(現タカラトミー)のかわいい「リカちゃん人形」がバービー人形に悪魔のような打撃を与えて、販売元の米マテル社は日本市場からの撤退をきめる。
アメリカが日本における人形製造の知識や技術のレベルを上げたら、とんでもないブーメランが返ってきたようなものか。
その後、タカラがマテル社とタッグを組んで「和製バービー」を発売したといったことなどはバービーを見てくれ。
さて、バービーとリカちゃん人形、どうして差がついたのか…慢心、環境の違い。
その大きな理由にアメリカ人と日本人の好みの違い、とくに「かわいい」の感覚の違いがある。
バービー人形は八頭身で胸やお尻が大きくて小顔の、いわゆる欧米人の「美人」をイメージしていた一方、リカちゃん人形は全体的に小柄でバランス的に顔が大きくて、日本人がイメージする「かわいい」を具現化したものだった。
・せまい住宅環境など日本の事情に見合った大きさのドールハウスと、それに合ったサイズの人形。
・ターゲットとなる日本の女の子たちが、より身近に感じられるような人形。
そんなコンセプトから小学生の少女という設定で、小さな子どもの手の平に収まる大きさで、さらに少女漫画のヒロインのような顔立ちが採用されて「リカちゃん」が爆誕する。
これは以前、アメリカに住んでいた日本人から聞いた話。
現地での生活が3年ぐらいになったころ、アメリカ人の友人が家にやって来て、小学生だった自分の子ども(女の子)にバービー人形をプレゼントしてくれた。
その人の手前、「よかったねー」と大げさに言って、子どもから「ハイ!うれしくてたまりませんっ!」という反応を引き出そうとしたのに、わが子は無表情にバービー人形を見て「なんかオバサンみたい」と言い放つ。
これはきっとアメリカ人の子どもには「かわいい!」となるのだろうけど、自分の子どもはほとんど魅力を感じなかった。
英語を覚えるのは早いし、自分より子どものほうがアメリカ社会にとけ込んでいると思っていたのに、「かわいい」といった美的センスはそうでもなかった。
その子もリカちゃん人形をプレゼントされたら、親の期待どおりの反応をしたと思われ。
これとは逆に、日本人の「かわいい」がアメリカ人に伝わらないこともある。
日本の学校で英語を教えていた30代のアメリカ人男性が、高校生から「AKB48がとてもかわくて好き」と聞いたから、彼らの好みを知ろうとAKBのPVを見てみたら、「これは“児童ポルノ”じゃないのか?」と驚いて、かわいらしさや魅力はほとんど感じなかった。
アメリカ人の大人があれを見たら、セクシーとかカワイイとかじゃなくて、違法性や危険を感じて子どもたちに見せることはできない、と考える人が多いだろうと彼は言う。
バービーとリカちゃん人形が象徴的するように、日本人とアメリカ人ではやっぱり「かわいい・美しい」のセンスが違うのだ。
アメリカ人ならこういうカン高い声には、あまりかわいらしさを感じないと思う。
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