日本が国際結婚を法的に認めたのは、1873年(明治6年)の3月14日のこと。
外国人との結婚が”事件”だった明治時代とは違って、令和の日本で国際結婚はそう珍しいことでもなくなった。
外国人と出会う機会は日本の内外であって、時間をかけてお互いに相手のことを知っていき、ゴールにたどり着くことも、途中でサヨナラすることもある。
とはいえ、生まれ育った国が違うと文化や価値観も違うということなら、付き合っている段階で気づく。
それを承知で結婚しても、一緒に暮らすとなると、やっぱりカルチャーショックやギャップから摩擦が起こることもあるのだ。
知人の香港人女性は大学で良さげな日本人男性と出会って、2年ほど付き合ってみて「この人しかない!」と思って結婚した。
そんな香港人と久しぶりに会って話を聞くと、ダンナのグチが出てきて、最近こんな家庭内トラブルがあったという。
その女性の誕生日が近づいてきたある日、「その日のランチはオレが作るから、おまえは何もしなくていい。」と夫がイケメンな顔で言う。
その言葉を聞いて、自分の決断は正しかったと再確認する香港人。
で当日、ダンナが台所で食事を作っている最中、自分は居間でテレビを見ていて、「ステキな誕生日だなー」と至福な時間を過ごしていた。
アレを見るまでは。
「できたよー」という声が聞こえたからテンションが上がって、どんな味でも「すごくオイシイっ!ありがとう!」と言う心の準備をして待っていると、夫が料理を運んできてくれた。
メニューは中華風の味付けをした鶏肉がメインで、その他にご飯とサラダがある。
鶏肉の料理は美味しそうで無問題。でもご飯を見て、「まさか」と思ってダンナにたずねると悪寒は的中、やっぱり冷たいご飯だった。
温めなかったワケを聞くと、ダンナはこう抗弁。
「いつも温かいご飯を食べているけど、ボクはこういうご飯も好きなんだ。それにいまは8月で”冷や飯”じゃないだろ?常温の方がこの料理に合うと思ったんだよ。」
なるほど、悪気はない。
でも、その香港人の感覚だと、ご飯とえいば「ホット」が言うまでもない当たり前で、冷たいご飯なんて刑務所で出される罪人用の食事と同じ。
「日本のお米は美味しくて、おにぎりも好きになったって、まえにキミが言ってたから…」という夫の話を聞いて、「そーいえばそんなことも言ってたなー」と遠い目をする香港人妻。
たしかにおにぎりを食べるようになったけど、それは自分が日本の食文化に慣れたから。
けど香港人としては、やっぱりご飯は温かいというのが最低条件で、誕生日にこれを出されると”侮辱”のように感じてしまい、ハッピーな気分がぶち壊される。
同じものを食べる夫にそんな気持ちは1ミリもないことは分かるが、香港で生まれ育った自分としては納得も妥協もできないから、
「レンジでチンして」
と頼む。
すると、せっかくの料理を前にして、ウダウダ言ってる状況にウンザリした夫は、
「ええ~。それぐらいは自分でやってよ。」
と言い返しやがります。
「今日はわたしの誕生日だからそれはできない」
「“やらない”ではなくて、“できない”という理論は意味が分からない」
といった不毛なやり取りのあと、結局は夫が折れて彼女のご飯を持って台所へ行く。
その後、自分のあったかいご飯と夫の冷たいご飯を見て、その香港人は日本と中華圏との文化の違いをまざまざと感じた。
この食の文化や習慣の違いは、「日本人と中国人あるある」の代表的なもの。
日本人は常温のご飯を気にしないから、おにぎりやお弁当をそのまま食べることがよくあるけど、中国・台湾・香港の中華圏の人たちはそれを嫌って、「必ず」といっていいほど温めたご飯を食べる。
だからこんな記事は日常茶飯事だ。
サーチナ(2019/10/15)
日本人が作る弁当は見た目からして美味しそう「だが、あまり食べたいと思わない」=中国
日本の弁当は彩(いろど)り豊かで、見た目が良いし栄養バランスも考えられているから、「お弁当文化」では中国人はとてもかなわない。
だから中国メディアの快資迅は、「時間をかけて、精魂込めて作ったかが見ただけで分かる」と称賛するも、唯一の欠点は「料理が冷えていること」という。
文化の違う中国人からすると、きれいなビジュアルで体に良いというプラスポイントより、冷や飯というマイナスが上回るから、あまり食欲がわからないらしい。
なんという拒否感。
そんなことは知人の香港人も夫の日本人も知っていた。
でもこれに、「誕生日」というスペシャルな要素が加わると話はかわって、やっぱり妥協できなくなって、大事な日に、まったく悪意がなかったのにケンカをしてしまった。
文化の違いはホントにやっかいだ。
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