キレイなだけじゃない、インド人が日本の花見を好きなワケ

 

一年の節目となるきょう3月31日は1963年(昭和38年)に、「戦後最大の誘拐事件」といわれる「吉展ちゃん誘拐殺人事件」が起きた悲しい日。
東京都台東区でこの日、4歳の男の子が身代金目的で男にさらわれた。
子どもは殺されカネは奪われて、そのうえ犯人をとり逃がして警察が猛批判を浴びた事件だ。

 

 

3月後半になると日本ではあちこちで桜が咲き始めて、SNSには「もうお腹いっぱいデス」というほど写真がアップされる。
同時にこのころは別れの季節で、知り合いの外国人も何人か浜松市を離れることになった。

そのまえに、母親と子ども2人(保育園児と小学2年生、父親は在インド)の家族と会って、食事をすることになる。
どこのレストランに行きたいか聞いたら、「花見がしたい」という。
この時期は空を覆う薄いピンクの花の下で、食べたり飲んだりしたいという話を聞くと、この3年間ですっかり日本人の情緒がしみ込んだことがわかる。
まあその家族はヒンドゥー教徒で肉が一切ダメだから、自分たちで食べ物を用意した方が安心できるということもある。
そんなことで、浜松では有名な桜スポットの佐鳴公園へGO。

トップ画面のように桜はめっちゃ見ごろで、駐車場に車を停めるとすぐに撮影大会が始まって、なかなか先に進まないのはホント予想どおり。
いろんな外国人と遊びに行った経験上、欧米人は写真少なめでその光景を心に刻み、インドネシア人とインド人の写真好きは控えめに言って異常。
同じ場所でも顔の角度を変えたりして、デキを確認しては撮り直すから時間がかかる。
それでも牛歩で進んでいき、よさげな桜のあるところでレジャーシートを敷いて、その上に荷物を置いて座る。
いまは分かるけど、母親のインド人が日本に来たころは「レジャーシート」の意味が分からず、「レザーシート(皮の敷物、席)?」と不思議に思ったという。
これは和製英語で日本人専用だから、外国人には「ピクニックシート」で通じる。

 

 

話を聞くとインド人もピクニックは好きで、この家族の場合は食べ物を持って、よく家の近くの湖に行って食べたり飲んだりしていた。
日本人の花見(ピクニック)との違いは、インドでは音楽をかけて踊りをする人がよくいることで、それに他の人が加わることもある。
日本人の性格は控えめで遠慮がちだから、花見で大勢の人がいても静かだし、花見客が帰ったあとにゴミがまったく落ちていないことは本当にスゴイ。
日本の花見でいちばん良いところは、子どもを”ほったらかし”にできること。
スマホで写真を撮ったりタンポポを取ったりして、子どもだけで自由に移動して好きなことができる。
インドの公園だったら、そんなことをさせたら子どもが連れ去られる危険があるから、大人が近くにいてしっかり見張っていないといけない。
自分たちが住んでいる南インドは北に比べたら治安は良い。
それでも昼間でも、小学生低学年の子どもが公園で遊ぶときは大人がついていないと危険すぎる。

日本人を見ていると、大人はお酒を飲んだり会話を楽しんで、たまに子どもの様子を気にかけるぐらいで基本的には”野放し”にしている。
それは日本がとても安全な国だから。
大人も子どもも自分の好きなことをして、それぞれ別々に楽しむことができるのがインドとは違う。
それだと大人はラクだし、子どもにとっても、大人の目を気にしないで自由に活動できるのはいいことだ。

 

「吉展ちゃん誘拐殺人事件」みたいな、公園で遊んでいた子どもが連れ去られる事件が何度も起きるようだと日本人も警戒する。
でもここ数十年そんな話は聞かないし、花見で人がたくさんいるところなら、子どもたちだけで遊んでいてもまあ問題はない。

調べてみると、インドでは誘拐が多発して深刻な社会問題になっている。

週刊エコノミストオンライン(2021年11月8日)

9分に一人が行方不明、誘拐・拉致が横行するインドの実態=中島敬二

AFP(2012年10月8日)

インドで年間5万人の子どもたちが失踪、写真の欠如が阻む捜査

首都ニューデリーで13歳の少年が夕方、お菓子をもらってくると言って、外に出かけたまま戻ってこないといったことがよく起きている。
こういう国だと同じピクニックでも、日本とは全く別の配慮や注意が必要だ。
日本みたいに、公園で子どもを”ほったらかし”にできる天国のような国はきっと少ない。

 

 

花見を楽しむ日本人に、米国人が感じた違和感「なんか冷たい」

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。