きょう4月4日は1581年に海賊のフランシス・ドレークが、エリザベス女王から名誉ある「ナイト」の爵位を受けた日。
イギリスではナイトの称号をさずけられた男性には、敬意をもって名前に「Sir (サー)」を付けて呼ばれるのがお約束。
だからたとえばエドモンド・ヒラリーなら、ナイトになった後は「サー・エドモンド」になる。
ちなみに肉の「サーロイン」とは、牛肉の腰の上部にある部位(ロイン)を食べたイギリスの王が「なにこれウマし!」と感激して、その肉にナイトの称号をさずけたことで「サー・ロイン」と呼ばれるようになったという説がある。
といっても、これはかなりアヤシイから、歴史の事実ではなくて話のネタぐらいに思っておこう。
第2次世界大戦中のイタリアで、将軍に「ナイト」を授ける国王ジョージ6世
王族が剣を相手の肩に置いて、その人物を騎士に任じる儀式はアニメでもたまにある。
で、ここからの話は世界的に有名な海賊ドレークだ。
サー・フランシス・ドレーク(1543年ごろ – 1596年)
日本でいえば豊臣秀吉と同じ時代に生きた人物。
ドレークは若いころ、参加していた船団がスペイン海軍の攻撃を受けて壊滅状態となり、かろうじてイギリスへ戻ってこられたという経験(トラウマ)がある。
このときの恐怖や恨みから、彼はスペインを生涯の敵として復讐することを誓う。
その後、海賊となったドレークはカリブ海のスペイン船や、沿岸の町を襲っては金銀を奪う海賊活動を始めた。
そして1577年から、ゴールデンハインド(黄金の牝鹿 )号に乗って、スペイン船を襲いながら地球を一周する旅に出る。
スポンサーとなって遠征の資金を出してくれた女王エリザベス1世に、「スペイン王にこれまでイングランドが受けた多くの傷の代償を払わせます」と誓っているから、ドレークはイギリス政府の公認ではないけど、黙認された海賊だった。
実際、 彼はスペイン王の財宝を満載した船を襲撃して途方もない金や銀、貨幣、装飾品を奪うなど暴れ回ってスペインに大ダメージを与えた。
それでスペイン人からは、「ドラコ」(悪魔の化身であるドラゴン)と呼ばれ忌み嫌われる。
その悪魔を育てたのはスペイン人なんだが。
ドレークはイギリス人としては初めて、人類としてはマゼラン一行に次いで2番目に世界一周の航海をやってのけて、3年後の1580年にイギリスのプリマス港に到着。
そのときゴールデンハインド号は空前絶後のレベルのお宝を満載していて、その積荷を売りさばいた結果、ドレークの遠征隊の費用の47倍の利益を出して、エリザベス1世と国に巨額の利益を与えた。
この金でイングランド政府は抱えていた借金を一気に返すことができ、さらに余った金を国策会社に投資して、これが後にイギリス東インド会社となる。
ゴールデンハインド号
フランシス・ドレークの航路(画像:Continentalis)
宿敵のスペインには大きな被害と屈辱を与えた一方で、女王やイングランドには大きな利益をもたらしたから、エリザベス1世としては笑いが止まんない状態。
それで1581年4月4日、女王は自らゴールデン・ハインド号まで足を運んで、船の上でドレイクにナイトの称号をさずける儀式を行う。
ナイトになった彼は「サー・フランス・ドレーク」と呼ばれる身分になり、同時にイギリス海軍の中将に任命される。
このあともドレークは、1588年のアルマダ海戦でイギリス艦隊副司令官に任命されて、スペインの「無敵艦隊」を壊滅させるなど、生涯にわたって敵を苦しめまくってイギリスには利益を与え続けた。
そんな彼も最期は赤痢にかかって、55歳でサヨウナラ。
このアニメでは、江戸っ子のおねーちゃんみたいなドレークが出てくる。
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