5月31日は、世界保健機関 (WHO) が定めた世界禁煙デーだでー。
タバコと人類の関係はとても古い。
喫煙の起源は3000年ほど前のアメリカ大陸にあるといわれ、マヤ文明があった地(いまのメキシコのあたり)では、占いや魔除けなどの儀式でタバコの喫煙が行われていたとか。
先住民には宗教的な意味をもっていたタバコは、1492年にコロンブスがアメリカ大陸へ到達し、ヨーロッパへもたらされるようになると地球規模で広がっていった。
日本へは戦国時代にやって来たヨーロッパ人宣教師によって伝えられ、江戸時代初期の日本人は薬用効果を期待してタバコを「薬」の一種と考えていた。
喫煙する人たちの石像
ただ、江戸時代にも貝原益軒が『養生訓』で、
「病をなす事あり」
「習へばくせになり、むさぼりて後には止めがたし」
と記すなど、タバコは有害であると一部の日本人は気づいていた。
21世紀のいまでは貝原益軒の見方が常識で、それだけでなく、WHOはことしの世界禁煙デーの日、たばこ産業は世界最大規模の環境汚染を行っていると非難。
タバコによって多くのごみが生まれたり、温暖化を加速させたりして環境にとって大きな脅威となっていると。
といっても結局はヒトだ。
タバコが自然環境を嫌って、意図的にダメージを与えているわけはなく、タバコを吸う人間によって環境は脅かされている。
日本で生活している外国人に話を聞くと、
「日本は超安全!夜に女性が一人で歩いてコンビニへ行くこともできるし、落とした財布が中身そのままで戻ってきた。日本人はごみのポイ捨てをしないから、どこの街に行ってもキレイで感心する。」
なんて絶賛の声が多いのだが、日本人の喫煙については話は別で、マナー違反を指摘する人が多い。
ことしの冬、インド人、トルコ人、バングラデシュ人、モンゴル人と一緒に静岡の山に登って、絶景ポイント(トップ画面)に着くと、「イヤァオ!」インド人が叫び声を上げる。
こういうスゴイ景色を見ると、インド人は思わず大声を出すらしい。
すると、そこにいた日本人から「すいません」と声をかけられて、
「山で大きな声を出すのはマナー違反です。それを聞いて事件が起きたり、救助を求めているとカン違いして、警察に連絡する人もいますから。わたしは英語ができないので、あなたから外国人に注意してください。」
と言われた。
「ヤッホー」なら、意味が分かるから叫んでもいいらしい。
そんな話は初耳だ。それは山ルールではなくて、この人のマイルールでは?
イマイチ納得できないまま、「この人が去るまで大きな声は出さないように」と外国人に言っといた。
それで岩場に座って眺めていると、その美しい景色や爽快な気分をぶち壊す、とてつもなく不快なニオイが漂ってくる。
その発生源は「大声はマナー違反」と指摘したおっさんで、気持ちよさそうに遠くを見ながら、タバコを吸っては煙をはき出している。
これもマイルールのようで、タバコを一本吸い終わるとおっさんは下山していく。
外国人集団からは当然、
「日本人は基本とてもマナーが良いけど、ああいう人がたまにいて残念。」
「神道は石や木などに神を感じて、自然を大切にする宗教と聞いたのに。」
「自分の煙を、平気で他人に吸わせる神経が理解できない。」
と人種や宗教を超えて不満噴出。
外国人に日本の文句を言われると、「いやそれは~」と反論するボクでもあの日本人は擁護できん。
せめてもの救いは吸い殻を携帯灰皿に入れて持ち帰ったことで、それがなかったら「すいません」と声をかけていたところ。
このハイカー以下の人は多いようで、岩場にはいくつもの吸い殻が落ちている。
「景色は最高なのに、足元を見るとホントにガッカリ」という外国人の感想には完全同意だ。
ハイキングに行くと喫煙者との遭遇率がけっこう高くて、登山中に休憩している人が白い煙をはき出していたり、登山道に吸い殻が落ちてたりする。
山頂でタバコを吸うにしても、自分が風下に移動して、他人に煙を吸わせないぐらいの配慮がなんでできないのか。
もちろんそのへんのマナーや常識はわきまえていて、離れたところでヒッソリ楽しむ登山者もいる。
第三者がさせられる受動喫煙は健康への悪影響がけっこう大きくて、肺がん、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、乳がん、喘息などが起こりやすくなり、年間1万5千人が死亡しているという推計もある。( 「受動喫煙」「副流煙」は特に危険!)
3000年ほど前から人類に伝わるこの文化は、いまなくなっても個人的には1ミリも困らん。
元喫煙者です。咽頭近くのがん治療(手術と化学療法)を受けてからタバコは止めました。今度発症したら間違いなくオダブツだと医者が言うので。
今でも近くで他人が吸っていても特に気にはなりません。それどころか、副流煙の匂いをたまに嗅ぐと「ああいい匂いだなぁ」と昔を思い出します。まあ、それでもさすがに自分で吸う気にはなりませんけど。
同じ感想を、タバコを全く吸わない私の母親も言ってました。祖父のキセル(缶入りピース)が非常にいい匂いだったとのこと。
そうですね、街中と同様に、ハイカーだって「分煙」には精一杯協力するのが最低限のマナーであると、私も思いますよ。ブログ主さんはどうして注意しなかったのですか?(そのオッサンが言った騒がしさへの注意は、おそらく外国人差別感覚が根底にある。また、外国人と英語で平気に会話できるブログ主さんが妬ましかったのでしょう。)
ところで、ハイカーの人々は自然保護に熱心な人も多いと思うのですが、自分たちのレジャーの場所である山頂や休憩所で、辺りに落ちている吸い殻を拾う人は誰もいないのですか? サッカーの観客だって最後にゴミを拾って帰るというのに。遅れてるなぁ。
注意するには適切な状況ではなかったですね。