6月20日のきょうは「国際日系デー」。
1868年のこの日、日本人として近代では初めてとなる移民、約150人がハワイに到着したことを記念してこの記念日がつくられた。
江戸時代初期にもタイへ渡った山田長政など、日本人が東南アジアに移り住んだことはある。
そうした個人的で例外的なものとは違って、日本人あ一定数の集団で移住したのはこのときが初めてで、いま世界中にいる日系人の原点がここにある。
このときハワイはサトウキビ畑や製糖工場で働く労働者を必要としていて、海外に広くそれを求めた結果、日本人のほか中国人、ポルトガル人、ドイツ人などがやってきた。
1868年は江戸幕府が崩壊して明治元年になった年だから、それにちなんでハワイへ渡った日本人移民は後に「元年者(がんねんもの)」と言われるようになる。
で、ここからの話は、いまではすっかり日本に定着したハワイ料理の「ロコモコ」について。
ご飯にハンバーグと目玉焼きをのせて、その上からグレイビーソースをかけたこの料理は、白米に目玉焼きハンバーグをのっけたようなもの。
百聞は一見に如かず、刮目せよ。
この食べ物と、切っても切れないのが日系人だ。
日系人がいなかったら、このハワイ名物はこの世に生まれてこなかったのだから。
ロコモコ誕生説としてよく言われるのが、1949年にあったというこんな話。
日系人が経営するハワイ島にあったレストランに、10代の若者たちが客としてやって来て「サンドイッチじゃなくて、安くて早くできる食べ物がほしい」と頼む。
そのオーダーを聞いた店の日系人がボウル(丼)にご飯をよそい、その上にハンバーガー・パティをのせて自家製のグレイビーソースをかけたものを即席で作って提供する。
つまり、サンドイッチの代わりが「ハンバーグ丼」だった。
あとから目玉焼きものせるようになって、いまのロコモコの原型ができあがる。
このとき少年グループの中に「クレイジー」のあだ名を持つオキモト・ジョージがいた。
高校でスペイン語を学んでいたタカハシ・ジョージがこの新料理に、スペイン語で「クレイジー」を意味する「ロコ」を使うことを提案。
それにロコと韻を踏んで響きのいい「モコ」(ハワイ語で「混ざる」の意)をつけて、「ロコモコ」という名前が誕生したという。(Loco moco)
「早い・安い・ウマイ」のそろったこの若者向けの食べ物は、日系人が作り出して名前も考案した。
ご飯にハンバーグをのせるという日米の「食のコラボ」は、本当にハワイで生まれ育った日系人らしい発想。
だからいま日本にあるロコモコやロコモコ丼は日系人からのプレゼントになる。
それは1868年6月20日、ハワイに日本人が上陸したことから始まった。
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