【庶民的と神聖】インド人から見た、日本のお寺と神社の違い

 

日本の大学に通っている20代の男女、3人のインド人と一緒にお寺へ行ってきた。
このうち2人は日本に3年以上住んでいて、1人はきょねん来たばかり。
ということで今回はそんなインド人から聞いた、日本のお寺と神社の違いを紹介しようと思う。

 

仏教は紀元前5世紀ごろインドで生まれた宗教で、そのあと周辺国へ伝わっていき、日本へは中国を通じて6世紀に到達した。
母国発祥の宗教だから、日本の仏教寺院を見ると「初めてなのに、どこか懐かしい」という感想を持つインド人は多い。
…ということはなく、「ここがお寺です」と日本人に教えてもらわないと分からないというインド人が多い。
前から日本に住んでいる2人は自転車でこの前を何度か通ったことがあるのに、そこがお寺だと気づかなかったという。
以下、彼らが話していたこと。

瓦の屋根と古い木造の建物を見ても「日本の伝統的な建物デスネ」と思うだけで、そこが個人の家かお寺のは区別はつかない。
インドにあるヒンドゥー寺院は神を祀る建物だから、一般的に大きくて豪華だし、いつもたくさんの信者がお参りに来てにぎやかだから分かりやすい。
それと比べて日本のお寺は人が少なくて静かだから、よけい判断がむずかしい。

 

漢字を読めない外国人がこれを見て、何の建物か分かるのはたしかにハードモードか。

 

 

この点、神社はまったく違っていて、入口に独特の形をした赤い鳥居があるから、「あれは神社デスネ」とすぐ分かる。
鳥居があるのが神社で、お墓があるのがお寺。
それに立地環境もお寺と神社では違う。
まえに日本人の友人と一緒に新幹線で移動しているとき、「神社は周囲を木で囲まれている」という話を聞いて、車窓の風景を注意して見るとたしかにそうだった。
(それはいわゆる「鎮守の森」だ。)
それに対してお寺は住宅街の中にある。

神社の建て方も一般的な住宅とは明らかに違うし、中に畳が敷かれていない。
お寺のように靴を脱いで中を歩き回ることができず、神社は外から中をのぞくだけだからよくザンネンに思う。
全体的な印象として、お寺は日本の古い家に近くて庶民的で、神社はどちらかというと神聖性や特別感がある。

 

弥生時代の高床式倉庫

 

神社によくある建築様式の1つの「神明造」は、弥生時代の食糧倉庫が原型だったと考えられている。(高床式倉庫
きっと神社の建物は神のいるところで、ヒトの住むところじゃなかった。
寺院建築は中国から伝わった中国式のものだったから、そこから日本独自の建築スタイルが発展したとしても、神社とは始まりが根本的に違う。
今回のインド3人衆の感想も、そんな歴史が影響しているはずだ。

 

これは有名な大寺院ではなくて、一般的なヒンドゥー寺院。

 

 

仏教 目次

キリスト教 「目次」

イスラーム教 「目次」

ヒンドゥー教・カースト制度 「目次」

日本人の宗教観(神道・仏教)

外国人には不思議な日本人の信仰「宗教はファッションだ」

アメリカ人と京都旅行 ~日本人とキリスト教徒の宗教観の違い~ 1~11

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。