京都人と滋賀人が言い争うとき、一撃必殺のコトバとして滋賀県民が放つセリフが「琵琶湖の水止めたろか」。
日本最大の湖で、「近畿の水がめ」と言われる琵琶湖の水に頼って生活している京都人にとって、この供給がなくなることは死を宣告されるようなもの。
…と言われることもあるが、実際はそう単純でもない。
【京都 vs 滋賀】決めゼリフ、“琵琶湖の水止めたろか”の威力
先日そんな記事で書いていて、この争いはシンガポールとマレーシアの対立に似ていると思った。
ただこっちは京都・滋賀のようなネタじゃなくて、ガチ。
シンガポールという国は変わっていて、首都がない。
マレー半島の先っちょにあるこの国は、東京23区とほぼ同じ大きさの都市国家だから首都なんてイラネ。
1957年にマレーシア半島の「マラヤ連邦」がイギリスから独立し、その後にサラワク州やシンガポールがマラヤ連邦に加わって「マレーシア」という国が爆誕した。
だがしかし、中国系住民の多かったシンガポールは、マレー人を優遇するマレーシアの政策に不満を持つようになる。
それで1965年、シンガポールはマレーシアから分離・独立した。
ただこれはマレーシアに”追放”される形で、シンガポールとしてはかなり不本意だったから、初代首相となったリー・クアンユーは国民に独立を伝える演説で涙を流す。
このあとリー・クアンユーという有能すぎる指導者の下で、シンガポールはみるみるドンドン発展していって、1人当たりのGDP(2020年)を見るとマレーシアが10,402ドルで、シンガポールが59,798ドルともう背中が見えないほどの差がついた。
そんなシンガポールの弱点は水が無いこと。
国土はわりと平らで高低差が少ないから、雨水を貯めておくことがむずかしい。
そんなことで水源の少ないシンガポールは、国民生活に必要な水を自国ではまかえないから、マレーシアから水(原水)を買っているのだ。
でも、両国の関係はあまり良くないから、マレーシアからこんな揺さぶりをくらうこともある。
1998年には「シンガポールへの水の供給を停止する」という威嚇的な発言で外交圧力をかけてきたことや、21世紀に入ってからは「水の価格を100倍へ上げる」との要求に対応を迫られるなど、
言ってることは、京都人や大阪人に対する滋賀人の「琵琶湖の水止めたろか」と同じだ。
でも、国内で消費される水の半分ほどを、毎日マレーシアからパイプラインで送ってもらっているシンガポールにとって、水の供給停止や価格100倍というのはまさに死活問題。
こっちの対立は国際問題になっていて、ホントにシャレになってないのだ。
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