インド・東南アジアのタブー 「左手と頭」で日本人が怒られた

 

きょう8月13日は「国際左利きの日」。
左利きの人が生活しやすくなるようにと、イギリスの団体「Left-Handers Club」(左手利きクラブ?)がこんな記念日をつくった。
日本ではこのときお盆でいろいろ忙しいから、2月10日が「左利きの日」になっている。

さて、話は「左手」だ。
日本では右手と左手は同格で、上下や優劣はないと思うけど、インドではそうじゃない。
左手は「不浄の手」とされているのだ。
トイレでう〇こ(アメリカでいうNO.1)をすると、インド人はお尻に水をかけた後、ティッシュペーパーではなく左手でふくから、その手は「ばっちぃ手(不浄の手)」とされている。
以前、日本に2年ほど住んでいたインド人から、「紙より手を使ったほうが清潔なんだ。だからオレはいまでもそうしている」と聞いて、慣れても染まらないインド人魂に感服した。

そんなタブーをついつい忘れてしまったで、インド人を不快にさせてしまったことがある。
インドを旅行中、商店でお菓子と水を買ってお金を払おうとすると、「それは受け取れない」と拒否された。
「このお札、そんなに汚いか?それともニセ札に見えたのか」と思ったら、「左手で金を渡すな」と言われて納得。
「お尻は紙で拭く派」のボクには右手も左手も不浄レベルは同じなんだが、このインド人としては紙幣も汚れたと感じたらしい。
インドでは天竺のマナーやルールを守らないとダメだから、これは明らかにこちらのミス。
すまんかった。

 

そんなことでインドでは、「インド人は素手で食事をする時、左手は使わない。絶対にだ」とインドに半年以上いる社会不適応者、いや長期の日本人旅行者からキメ顔で言われた。
観察していると、たしかにインド人はチャパティ(パン)を右手だけで器用にちぎって食べている。が、それはみんなでもない。
数は少ないけど、両手でチャパティをちぎって口に運ぶ人もいるから、このへんは個人差や地域差があるようだ。
ところで、なんでインド人は手を使って食べるのか?
ヒンドゥー教の考え方では、自分より低いカーストの人が使ったフォークやスプーンは”不浄”で使いたくないから、自分の手がいちばん安心できるという話を本で読んだ記憶がある。

 

マレーシアやタイでもトイレでは左手で“処理する”という人は多く、やっぱり左手は「不浄の手」とされている。
さらにマレーシアでは、子どもの頭をなでてはイケないというルールがある。
それを知らなかったのか、それともあまりにキュートで我を忘れたのか、マレーシア人の家族と会った日本人が「かわいいね~」と相手の子どもの頭を左手でナデナデしたら、「何やってんだ!」と親にマジギレされたという。
だから日本人は気を付けろ、とマレーシア関連の本にあった。

ネットを見ると、マレーシアではイスラム教徒がほとんどで、その教えでは頭を神聖な部分としているから、そこに触れる行為はNGだと説明するサイトもある。
でも、仏教の影響の強いタイにも同じ考え方があるから、それはどうだろう?
タイ政府観光庁のHPでは「タイでは人の頭は「精霊が宿る場所」として神聖視されています。(エチケット)」と説明している。
ただ、「小さな子どもの頭をなでてかわいがるのは問題ありません」とあるから、「かわいいね~」の日本人もタイだったら、スキップをしながら地雷を踏むような惨事は起こらなかった可能性が高い。
タイでも、キッズゾーンの外にいる人の頭を触るのはやめたほうがいい。
でないと、「何やってんだ!」と怒られる予感。

ということで基本的にインドでは左手、東南アジアでは左手&頭に注意したほうがいい。
このタブーは経験して覚えるというものではなくて、事前に把握しておくべき。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。