このところ中国に対する韓国人の視線はすごく冷たい。
アメリカの世論調査機関(ピュー・リサーチ・センター)の発表によると、韓国人の8割がネガティブなイメージを持っていることが判明。
ハンギョレ新聞(2022-07-01)
韓国人10人中8人が「中国嫌い」…調査開始以来最大値
調査結果の移り変わるを見ると、「中国嫌い」の韓国人は2015年の37%から2017年には61%と爆上がりして、2018年の60%、2019年の63%、2020年の75%、2021年の77%と着実にステップアップしていき、今年ついに80%という最大値を記録した。
負の感情が増大していった大きな理由に、中国人は韓国に対してこんな認識をしていると、韓国人が考えていることがある。
朝鮮日報(2022/09/10)
韓国に対する中国の見方は、習主席が2017年に当時のトランプ米大統領に語った「韓国は歴史的に中国の一部だった」の一言に圧縮されている。
【寄稿】韓中関係の全面的な見直し急げ
最近の中国を見て「(韓国を)属国程度にしか考えない」という筆者は、19世紀末に清朝政府から朝鮮へ派遣された厭世Guy、じゃなくて袁世凱(えんせいがい)の横暴を思い起こす。
有力者ではあるが1人の軍人にすぎない袁世凱は、国王さえ逆らえないような朝鮮の事実上の支配者として君臨する。
だから朝鮮の最高実力者だった大院君を清へ連行し監禁するという、他国なら内政干渉を超えて戦争必至の暴挙も簡単にできてしまった。
天皇が他国に拉致される状況は日本じゃ考えられない。
幽閉先では清の役人から、”凶悪な朝鮮の暴君”の意味で「凶鮮君」と呼ばれ侮辱されても、大院君は笑顔を浮かべるだけ。
そんな清と朝鮮の関係を知ったアメリカ政府は、朝鮮が清国の従属国家であることを認めるコメントを発表する。
海で隔てられていた日本と違って、大国の中国と陸続きだった朝鮮半島は、はるか昔から大きな影響を受けてきた。
韓国の国旗(上)のデザインは中国の古代思想・陰陽(下)を採用している。
陰陽は中国で生まれた道教のシンボルだから、韓国旗を見て「道教寺院かな?」とカン違いした中国人もいる。
「韓国は歴史的に中国の一部だった」
韓国に対するそんな中国人の見方はかつて東アジアにあった、中国をボスとする国際秩序の「冊封体制」に由来する。
周辺国が中国皇帝に贈り物をし(朝貢)、その代わり中国はその国を「臣下」と認めて君臣の関係を結び、周辺国の王がその地を統治することを認めた。
だから、「王<…越えられない壁<皇帝」という力関係が歴然としてある。
臣下であると認めれば、その国は中国から攻め込まれることはないし、他国から攻撃を受けた場合は「君主の責任」として中国が助けてくれる。
実際、豊臣秀吉の朝鮮出兵のときには、明が朝鮮に軍を送って日本と戦った。
冊封体制という中華ファミリーの一員になれば、属国というのは屈辱的ではあっても、自国の安全保障の面で大きなメリットがある。
学校でいえば、教室にいるボス的生徒にプレゼントをして気に入られ、「何かあったらオレに言えよ」という頼もしい言葉をゲットして、自分の安全を確保するようなもの。
韓国は歴史的にこの冊封体制の中にあって、日本は聖徳太子のころに抜け出した。
中国と朝貢国はもちろん対等ではなく、「宗主国と属国」という従属的な関係にある。
とはいえそれは名目上のこと。
中国が朝貢国の内政に介入して国を動かすことは基本的にはなく、その国の統治は中国皇帝が任命した王にまかせていた。
だから外交的には属国であっても、実質的には独立国とほぼ変わらない。
でも明確な上下関係はあったから、袁世凱が大院君を清へ連行するという例外的なことは起こる。
海に囲まれていた日本は、学校でいえば図書室という特殊空間にいたから、その階にいる最強のボス生徒に贈り物をしなくてもよかった。
中国と陸続きだったら日本も冊封体制に入って、歴史的には韓国と同じ立場になったと思われ。
古代から19世紀後半まで、韓国はずっとそんな国際秩序の中にいたから、中国から受けた影響は圧倒的だ。
独自の元号を持つことなく中国のそれを使い、漢姓漢名だった。文化的には、朱子学、小中華主義などがある。そこから脱するのは、日清戦争での日本の勝利による。
「韓国は歴史的に中国の一部だった。」
この言葉は、中国を頂点とする冊封体制内にあったということなら事実だし、中国に直接支配されていたということなら間違い。
韓国に対する中国人の見方に興味があったから、これまで10人以上の中国人に意見を聞いてみた。
すべての人がいまの韓国を独立国と認識していたけど、千年以上にわたる歴史的・伝統的な見方となると違う。
ずっと朝貢国だったという理由で「属国」と考える人が8割ほどで、残りは韓国を中国と切り離し、独立国だったとみていた。
習主席のひと言はたしかに中国人の見方を圧縮している。
印象的だったのは、1人の中国人が冊封体制をイギリス連邦と同じようなものと考えていたこと。
イギリス連邦はイギリス国王(いまはチャールズ3世)を共通の君主とし、イギリス・オーストラリア・インド・カナダなど50以上の加盟国で構成されている。
すべての加盟国を「自由で平等」としているなど、東アジアにあった冊封体制とはもちろん違う。
でも韓国人的には「中国の一部だった」よりも、オーストラリアやカナダのような立場だったと言われたほうが千倍マシなはず。
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