日本を見る韓国人の目 「憎い」の原点は朝鮮出兵にアリ

 

サッカーのW杯・カタール大会で、日本と韓国がそれぞれクロアチアとブラジルに勝てば、次は初めてW杯の大舞台で日韓戦が実現する。
韓国との対戦はタダでさえ熱くなるのだから、「日韓対決」がトレンドワードになるのも当たり前かと。
でも一方で、それが現実になることに負担を感じる人も多い。
それはこんなことがあるから。

『THE ANSWER編集部』の記事(12/5)

話題の韓国代表FW、日本16強「憎かった」発言に韓国国内も賛否「言動に気をつけるべき」

日本が相手なら「じゃんけんでも負けられない」という空気が韓国にあって、日本もそんな対抗心に触発されて、スポーツの日韓戦は何でもお互いに「絶対に負けられない戦い」になってしまう。
平常運転でこの熱だ。
国外で行われたW杯でベスト8入りというのは両国にとって初めてのことで、歴史を塗り替える快挙になるから、それをかけて対戦することになったら、どこまでヒートアップするか想像できない。

直接戦っていなくても、韓国人の心の中にはいつも日本がいる。
日本につづいて韓国も決勝トーナメント進出を決めたことについて、

「日本の16強入りが正直憎らしくもあった。(それが)影響を及ぼしたのではないか」

という韓国メディアの質問に、韓国の代表選手がこう答えた。

「我々も(日本が)上手だとも思ったが、憎い気もする。(日本の16強入りが)影響を及ぼしたのではないか」

日本が次のステージへ進出した。ならば我々も!と闘志を燃やすのはいい。
でも、匿名でネットへ書き込むのではなくて、選手が公式の場で日本を「憎い」と言ったことについて韓国では、国を代表する人間として品格に欠けるという批判が上がれば、いやいや問題ないという擁護の声もあって物議をかもす。
そして知らん間に巻き込まれた日本では、この発言や騒動を冷ややかに見ている人が多い。

 

韓国サイドが日本を「憎らしい」と思う気持ちは、歴史的にはいつから始まったのか?
ボクが思うに、その原点は16世紀に豊臣秀吉がした朝鮮出兵だ。
朝鮮半島の南部から攻め込んだ日本軍はあっという間に首都を占領するなど、当時の朝鮮人の味わった屈辱はエベレストより高かった(たぶん)。

韓国でこれは「侵略」と認識され、「壬辰倭乱」と呼ばれている。
「壬辰」(じんしん)とはこの出来事のあった年(干支)で、「倭」は日本の蔑称、「乱」とは基本的に身分の低いの者が上の人間に対して起こす騒乱を指す。
*13世紀の承久の乱を「承久の変」と呼ぶことがあるように、何が乱や変になるのかはアイマイなところがある。
とにかく「壬辰倭乱」という表現には、韓国人の怒りや恨みが込められていて、その思いは後世へ語り継がれていく。
19世紀後半の朝鮮を旅したイギリス人女性のイザベラ・バードには、日本に対する韓国人の気持ちがとても印象的だったらしい。

三世紀にわたる[豊臣秀吉の朝鮮出兵以来の]憎悪をいだいている朝鮮人は日本人が大嫌いで、おもに清国人と取り引きしているからである。しかし貿易では清国人に凌駕されてはいるものの、朝鮮における日本人の立場は、日清戦争前ですら影響力のあるものであった。

「朝鮮紀行 イザベラバード (講談社学術文庫)」

 

現代の韓国人も豊臣秀吉は「大嫌い」。
日韓の初めての全面対決が朝鮮出兵で、これより前に、日本が韓国を激しく怒らせるようなコトはしていない。「日本の16強入りが正直憎らしくもあった」の原点はコレだろう。
でも、「言動に気をつけるべき」という反応が出てくるあたり、「日本人が大嫌い」という認識は弱まった気か。

ただ、韓国における日本の立場はいまでも影響力があって、日本を見る韓国の思いはとても複雑だ。
ことしの年末年始に韓国人が予約した航空券の状況を確認したところ、販売数が急増したチケットの上位5都市が大阪、札幌、福岡などすべて日本で占められていたというデータもある。

韓国人が日本に、日本人が韓国に感じる「2つの顔」に戸惑い

日本の予選突破を憎いと思う人もいれば、自分のことのように喜んで応援する人もいる。
好きと嫌いが同居しているのが韓国にある日本だ。

 

 

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2 件のコメント

  • これも、旭日旗と同様に後からこじ付けて既成事実化されたのではないでしょうか。
    戦前にこんな話があったとは、資料を見たことも聞いたこともありません。
    #韓国という国もなかったけど。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。