光と闇、火と水、剛と柔、動物と植物、男と女…。
この世にあるすべてのものは、「陽と陰」の対立する2つの属性に分けることができる。
そんな古代中国の思想を陰陽(いんよう)と言って、地名の山陽と山陰、クラスにいる陰キャと陽キャも元をたどるとこの思想にいきつく。
陰と陽はまったく反対の概念だけど、一方が消えるともう一方も消滅するという関係にあって、この2つがうまく調和してこの世界が存在するとされている。
韓国の国旗のデザインには赤と青の陰陽からなる「太極」が採用されているから、太極旗(たいきょくき・テグッキ)ともいう。
さて、話はサッカーだ。
いまカタールで行われているサッカーW杯では、日本代表が強豪のドイツ・スペインを撃破し、サポーターがスタジアムの掃除をして世界を驚かせた。
外国では試合が終わると暴動がぼっ発することもある。
そんな世界の反対側にいて、青いビニール袋を広げてゴミを拾う日本人に海外のメディアは「W杯の完ぺきな客」、「スポーツ最高の伝統」と拍手をおくる。
混乱と秩序、そんな「動と静」に注目した海外メディアとは違い、韓国の全国紙・中央日報は独特の視点から、日本人のこんな二面性を取り上げる。(11/28)
「観客席の清掃をしたところで…」 旭日旗を掲げる「2つの顔の日本ファン」
会場をキレイに清掃する一方で、旭日旗を持ち込む日本人がいる。
そんな”2つの顔”を見て、「過去を清算できななければ何になるのか」という声が韓国が上がって中央日報が記事にした。
ただ、これは韓国人ならではの発想で、掃除と旭日旗の2つはまったく別のジャンルにあって対立も矛盾もない。
太陽をかたどった旭日旗は、戦争中に軍によって使われることはあったが、日本では昔からめでたい時に使う文化アイテムとして親しまれている。
韓国ではそんな見方がひっくり返り、旭日旗は侵略や帝国主義を象徴する旗で「戦犯旗」として憎悪の対象になっている。
だから、ネットにはよくこんなコメントがある。
「日本人はスタジアムのゴミを拾って世界に称賛される。でも一方で、過去の歴史については真の反省も謝罪もしない」
韓国人からそう指摘されると、日本では怒ったり呆れる人が続出するから対韓感情はさらに悪化する。
こういうコメントを見て、旭日旗を会場へ持ち込みたくなる人も多いはず。
こんな指摘はこれまでのW杯や五輪で何度も見てきたから、個人的には「マタデスカ」としか思わない。
何でも過去の歴史問題につなげる発想があるから、「日本のファンはW杯の真の勝者だ。コスタリカ戦で敗れたにもかかわらず競技場を清掃し、拍手を受けている」といった海外メディアの報道に納得できない韓国人もいる。
韓国では大教授、でも日本では反日活動家として知られるソ・ギョンドクさんは、旭日旗はナチスのハーケンクロイツと同じ意味があると指摘しこう怒る。
中央日報(2022.11.30)
徐ギョン徳教授「日本サッカーファン、清掃はよくするが歴史的過誤の清算に関心ない」
「旭日旗=ハーケンクロイツ」という主張は、第二次世界大戦で日本と戦っていまでは旭日旗を日米友好のシンボルにしている米軍には通じない。
アメリカ空軍のヘルメットに採用された旭日のデザインと「神風」の文字。
こういう認識をしている外国人は、「観客席の清掃をしたところで、旭日旗を掲げたら…」という”2つの顔”を感じることはない。
さて、もう12月に入って今年もあとわずかだ。
年末年始に海外旅行をしようと、航空券を予約する人は日本にも韓国にもいる。
『ソウル経済』の記事によると2019年の同じ期間と比較して(Gマーケットのデータ)、販売数が急増した航空券の上位5都市はココだった。
1位:大阪
2位:札幌
3位:福岡
4位:東京
5位:沖縄
トップ5はすべて日本の都市で、以下、ボホール島(フィリピン)、名古屋、チェンマイ、バンコク、モルディブとつづく。
韓国人の行きたい旅行先を見ると、日本が1~5位を独占して名古屋が7位につけるという人気っぷり。
こんな動向に目をつけてGマーケットでは、東京では買い物、大阪ではグルメ、福岡では温泉、札幌では冬を味わうといった具合に、それぞれの地域と特性をセットにして日本旅行を消費者へアピールしている。
*ソース:『ソウル経済』の記事「“엔저 누리자”…日 항공권 코로나 전보다 4배 인기?」
こういう記事があるといつも出てくるのが、韓国にあるラブジャパンとノージャパンの「2つの顔」に戸惑う日本人だ。
この世界は陰と陽から成り立っているように、日本と韓国にも、見方によっては相反する二面性がいろいろ出てくる。
旭日旗に怒る韓国人もいれば、そんなのはアウトオブ眼中で、こんなふうに日本がドイツとスペインに勝ったことを祝福する韓国人もいる。
일본의 16강 진출.. 그것도 최강 독일과 스페인을 상대로 역전승! 축하합니다. 오늘 밤엔 한국팀도 승리하여 함께 환호하길 기원합니다。
(日本の16強進出.. それも最強のドイツとスペインを相手に逆転勝利!おめでとうございます。)
韓国の反応が称賛だけのはずはなく、もちろん呪いの言葉もある。
こんな感じに韓国には、「反日と親日」の二面性がいつも同時に存在しているのだ。
まあ韓国人も、日本に対して同じコトを感じているのだろうけど。
だからネットで反日面だけを見て、一方的にキライになる日本人がいるし、親日サイドに触れて韓国が好きになって韓国語を学んだら、メディアの”反日報道”を知ってガッカリする人もいる。
偏った認識をもたないように、この世のすべては陰陽で成り立っていると理解したほうがいい。
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