韓国の児童文学者で元議員のイ・ヨンヒさんが先日亡くなった。
それはお悔やみ申し上げます。で誰?
という人が続出すると思うから簡単に紹介すると、イさんは1989年にこんな本を刊行して日韓で大きな話題を集めた人。
中央日報日本語版の記事(2021.04.26)
『もう一つの万葉集』は、従来の学説をひっくり返して万葉集が古代韓国語で書かれていたと主張した。この本は日本で100万部以上売れるベストセラーになり、大きな反響を呼んだ。
「万葉集は古代韓国語で書かれた」主張した著書が100万部ベストセラー 李寧熙氏が死去
万葉集が古代韓国語(古代朝鮮語)で書かれたという説は結論から言うと、とても独創的だけど事実とはいえない。
それを裏付ける明白な根拠がないのだから。
そもそも古代の韓国語については資料がほとんどないから、それがどんな言語だったのかわかっていない。
ただ未知の部分が多いということは、それだけ想像の翼を広げる余地があるということだから、「万葉集=古代韓国語」といった解釈もでてくる。
そういえば、万葉集はインドのレプチャ語で読めると主張した日本人もいたっけ。
朝鮮半島やインドなどの外国語と万葉集を強引に結びつける動きに、国語学者の金田一春彦は「万葉集の謎は英語でも解ける」と批判的だ。
「万葉集は韓国語説」も現在では否定されているとはいえ、これで万葉集や古代韓国語への関心が集まって新しい知識を得た人もいたから、それなりの意義はあった。
それとこのことで逆説的に、万葉集は日本語で書かれたものだと明らかになったとも言える。
大きな反響をよんだせいか、いまでも情報のアップデートができていない人がいるらしい。
ネットを見ていたら、この説について事実か間違いかについて「どちらも決定打に欠ける」という無責任なことを書いているサイトもあっておどろきだ。
これは、どっちもどっちという話ではない。
「50%事実」の根拠をみると、当時の日本には朝鮮半島からきた人がたくさんいたから、万葉集に韓国語の影響があってもおかしくない、といったことが書いてある。
でもそれは21世紀に生きる人の想像だ。
客観的な根拠が何もない以上「可能性は半々」ではなく、「~という説がある」といった程度のもの、正確には「あった」という話だ。
東京に生まれて10年以上住んでいたイさんは日韓の事情にくわしい。
両国の友好を望んだイさんは、日本人と韓国人にはそれぞれ『劣等優越感』という「始末に悪い妙な心理」があるから距離を縮めることはむずかしいと指摘する。
日本人:歴史的、文化的な韓国の影響をなかなか認めたがらず、何かというと韓国に説教したがる。
韓国人:日本にしてやられているのに日本文化の起源はすべて韓国といって優越感にひたっている。
いまからみたら、もちろんツッコミどころは多々ある。
でも確かにこんな日本人はいる。
まえにネットで、高句麗からやってきた仏教僧の慧慈(えじ)が聖徳太子の師となったことを否定する日本人を見たし、これを認めない人が他にいてもおかしくない。
とはいえこう言っているイさん自身、「万葉集は古代韓国語で書かれた」と主張していたのだから、発想の根本は上の韓国人とあんまり変わらないような。
「どちらも決定打に欠ける」と書いちゃう人も、この“優越感”を捨てきれていないように思う。
未来志向の日韓関係を構築するうえで『劣等優越感』というのはたしかに面倒な感情ではあるものの、言い返すのならともなく、「何かというと韓国に説教したがる」日本人なんてはいまでは少数。
それに対して、「日本にしてやられている」と被害者のように感じたり、「日本文化の起源はすべて韓国」と考える韓国人はまだまだ多いだろう。
だから順番としては先にこっちをなくすべき。
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最近は最近緑茶も茶道も起源は朝鮮、千利休も朝鮮人とか言い出して本まで出ているし。
ますます嫌韓が増える
> 日本人:歴史的、文化的な韓国の影響をなかなか認めたがらず、何かというと韓国に説教したがる。
> でも確かにこんな日本人はいる。
わはははは、韓国の影響はせいぜい奈良時代くらいまで。その後は豊臣秀吉の朝鮮出兵くらいまで影響はありません。日本国1500年の歴史のうちではほんの僅かな話です。
外国の影響と言うなら韓国よりも中国の方がずっと大きい。
説教したがる? そんな日本人がいますかね?
もう勝手にやってなさい。重要な隣国であることは認めてやるから。