【一撃必殺】イタリアの死を与える女性・アカバドーラ

 

病気になって、もう助かる可能性は100%ない。
そして後は、死ぬまで激しい苦痛を耐えるだけという状態になると、生を終わらせたいと望む人は世界中にいる。
安楽死については各国で見方が分かれていて、スイスやオランダなどでは合法化されている一方、日本では”違法にならないケースもある”というグレー状態。
医者が患者に薬物をのませて死に至らしめる積極的安楽死は、日本では違法だけど(スイスなどではOK)、もう確実な死が近づいていて、苦痛を消す方法も無く、本人の意思で治療を拒否して死に至る消極的安楽死なら日本では罪に問われることはない。
*くわしいことは「安楽死」で確認。

 

もう立ち上がることもできなくなって、「生きる=苦しむ」という状態になったら、死を与えてほしいと願う人や家族は世界中でいたはずだ。
貧困にあえぐ家なら、寝たきりになった人への治療や食事の負担が大きくて、その状態を維持することはできなかっただろう。
そういう時、イタリアのサルデーニャ島では「アカバドーラ(Femmina accabadora)」と呼ばれる女性の出番となる。
病人を苦痛から解放するために、死を与えることがこの女性の役割だ。
殺害方法は棒で叩いたり、首を絞めて窒息させたりといろいろある。
有名なのが患者に向かって、大きく固い木製のハンマーを振り下ろし、患者の生を終わらせるやり方。
その強烈なビジュアルがこれ。

 

アカバドーラ(1940年ごろ)
画像:Graziella Dimilito

 

ドアが開いて黒い服の女性が入ってくると、ベッドに横たわっている人はすぐにすべてを理解したという。
となると、最後の会話が気になるところ。
たぶん患者は目を閉じてアカバドーラは手を振り下ろすから、一瞬、何かがつぶれる音がするだけだろう。
そう聞くと恐怖が先行してまって、まったく安楽ではないような気がするけれど、苦痛を一瞬で終わらせるのだからこれも一種の安楽死といえる。
といってもこれはサルデーニャ島に伝わる話で、どこまで本当か正確には分かっていない。

 

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。