「日本のサクラを見てみたい!」という外国人が何人もいたから、このまえインド人、トルコ人、バングラデシュ人、インドネシア人を花見へ連れてった。
なので今回はアジアでのサクラの知名度や、日本文化の広がりを紹介しよう。
まず、母国での「サクラ」の知名度を聞いてみると?
トルコ人「トルコで SAKURAは一般的な言葉じゃないな。チェリーブロッサムならみんな知ってる。」
バングラデシュ人「同じく。ふつうの人はサクラと聞いても意味がわからない。」
インド人「インドもそう。チェリーブロッサムなら知ってる人は多いけど。でも最近、南部のバンガロール(ベンガルール)ではピンク色の花(木)を植えていて、春になって咲くと『日本のサクラみたい』と言う人もいる。」
インドネシア人「インドネシアでサクラは有名だよ。日本文化を好きな人が多いし、アニメで見て花見にあこがれる人もいる。」
ということで今回聞いた中では、「サクラ」はインドネシアでは通じる。
最近のインドネシアでは「コスプレ」が人気になっているけど、ほかの外国人は「聞いたことない」ということだったから、やっぱり日本文化の浸透度でいうとインドネシアが抜けている。
世界中でもっとも日本に興味があって、日本文化が浸透している国は韓国だろう。
コロナ禍がはじまる前で日韓関係がわりと良好だった2018年、旅行で日本へやってきた韓国人の数は約740万人で世界最多だった。
2023年1月も約57万人と、これも訪日外国人のなかでナンバーワン。
「サクラ」という言葉は韓国社会の常識になっているし、日本の食べ物・アニメ・映画もとても有名で人気がある。
昨年末に映画『スラムダンク』が公開されると、人口5200万人の国で、400万人以上が見て社会現象になったし、いまでは『すずめの戸締まり』が大ブームになっている。
韓国メディアを見ていると国民は、日本の政治家の発言や歴史教科書の中身、野球やサッカーの世界ランキングなどあらゆる面で関心を持っていることがわかる。
世界でいちばん日本を嫌いで好きな国、それが韓国。
台湾でのサクラ知名度や、日本文化の浸透っぷりも相当なもの。
韓国を旅行する日本人も多い。
ソウルにあるスーパーではそんな日本人のために、人気のお土産が並べられていた。
東アジアを越えて東南アジアを見てみると、「サクラ」という言葉が一般国民にもわりと知られているのは、ボクが現地に行ったり話を聞いた限りではベトナムからミャンマーまで。
バングラデシュやインドに行くと、サクラは無名になって日本文化の影響もガクッとなくなる。
ミャンマーの最大都市ヤンゴンへ行った時、「ここからの景色がすごくいいんですよ!」と日本語ガイドが「サクラタワー」に案内してくれた。
これは1999年に日本企業が完成させた約100mのビルで、2016年まではミャンマーでもっとも高い建物だったから、ヤンゴン市民だけでなくて国民の間で広く知られていたらしい。
そのガイドが持っていた傘には「SAKURA」と書いてある。
ミャンマーにそんなブランドがあるのかと思ったら、まったく違った。
国民の間には「日本製=高品質」のイメージがあるから、これはミャンマー製だけど、消費者に日本製と誤解させるためにこんな言葉を付けたという。
そんなトリックを見破っていたガイドは、それでも「サクラ」と書いてあると気分がいいし、日本人のお客さんにツッコんでもらえると思ったからそれを買うことにした(正解)。
海外で有名な日本料理というと、何といっても寿司がキングで、次はおそらく天ぷら。
でも、インドネシアでは「B級グルメ」のタコ焼きが大人気で、そこら中に屋台があるし、丸亀製麵やコメダ珈琲、ダイソーといった日本でよく見かける店もある。
首都ジャカルタには『ブロックM』という日本人街があって、各種和食を味わうことができるし、日本料理を作るための食材もスーパーで売っている。
ここに「リトル東京」があって、別のところには「リトル大阪」がある。
これはブロックMで毎年開かれる「縁日祭」のようす。
日本文化の人気・浸透っぷりでいえば、東南アジアの頂点にいるのがおそらくタイ。
浜松に来たタイ人に行きたいところを聞いたら、「バンコクの一蘭で食べたラーメンがすごく美味しかった。本場の味と比べてみたい」と言うから、市内にある店へ連れて行った。
以前、浜松を案内したイギリス人カップルは「おいしい日本食が食べたいデス」と大ざっぱなことを言う。
母国と日本で、お好み焼きや焼き鳥、牛丼の食べ比べを楽しんでいた彼は、平均的な外国人旅行者とは、日本文化に対する理解の次元が違う。
バンコク出身の彼が言うには、タイでこうした日本の「B級グルメ」は人気で知名度も高い。
寿司店の職人にメニューをまかせる「OMAKASE」という日本語をつかうタイ人なら、「サクラ」なんて知っててアタリマエ。
バンコクにあるショッピングモール「ターミナル21」では、各フロアごとに世界の有名都市をテーマにした造りになっていて、ローマやパリと一緒に東京が選ばれた。
きょねん知人のタイ人が、最近できた日本をイメージした「もみじカフェ」行って、日本を旅行した気分になったと言うから、そこの写真を見せてもらった。
日本を好きなタイ人が多いのは知ってたけど、まさかここまで細かく日本の風景が再現されているとは!
いまや日本でもこんな光景は消えつつある。
日本のアニメはアジアでも人気で、バングラデシュかインドへ行った時、たまたまテレビで『ドラえもん』を見た。
バングラデシュで会った日本語ガイドは以前、『ドラえもん』の大ファンの娘から「どうしてもどら焼きが食べたい!」と無茶ぶりされてすごく困った。
バングラデシュで入手できる場所を彼は知らない。
だから日本へ行った時に買うか、近場ならタイへ行かないといけないほど、バングラデシュでどら焼きはレアアイテムらしい。
個人的な経験では、わりとディープな日本文化が見られるのは韓国からミャンマーまでで、そこから西のバングラデシュやインドへ行くと急に消える。
知人のアメリカ人に聞くと、「SAKURA」を知っているのはアメリカでは一部の人だけで、ふつうは「cherry blossoms」と言わないとイメージすることができない。知ってる日本料理もスシとテンプラぐらい。
ということで「サクラ」が知られているところと、日本文化が普及しているところはだいたい一致する。
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