毛沢東「四害駆除で豊かな未来がくるよ」→数千万人が餓死

 

都会のド真ん中で、8万匹のミツバチを放ったらどうなるか?
そしたら、人も花も鳥もハッピーになるらしい。

NHKニュース(04月05日)

広島市のオフィス街で「都市養蜂」 ミツバチ飼育し蜂蜜つくる

こうするとミツバチは街のあちこちへ移動して、街路樹や花々から蜜(ミツ)を集めてくれる。
そんな「都市養蜂」でできた蜂蜜を商品にして販売し、都市を活性化させていきたいと関係者は意気込む。
そしてこんなミツバチさんの活動で、花が受粉して実がよくつくようになる。
さらにそれによって、都市部に鳥が増えることが期待されているという。
ミツバチの研究をしている広島の高校や企業などが中心となって、こんなプロジェクトが今月5日にハジマタ。

でもネットでは、期待よりも不安のほうが強いらしい。

・スズメバチ「ヒャッハー!」
・わざわざ都会に野鳥住まわすな
・糞害に憤慨
・そして分蜂中にパニクった市民に殺虫剤ぶちまけられ全滅
・街路樹でさえも受粉してるのに
おまえらときたら…

都市の中心部で4つの巣箱が開けられて、8万匹のミツバチが飛び立つ様子は、アニメだったらとんでもない不幸フラグにしか見えない。
でも、この都市養蜂は東京や大阪でも行われていて、その後の影響もちゃんと考えられているから問題はない。
でも、ヒトの無知で生態系をいじっちゃって、世界史レベルの大失敗をした事例が隣国にある。

 

毛沢東(1893年 – 1976年)

 

毛沢東は1949年に中国の建国を宣言して、初代国家主席になった歴史的人物だ。
でも、晩年はわりとガッカリな人でもある。
その代表的な例が1958年に始めた「四害駆除運動」だ。

当時、敬愛する人民がマラリアやペストに苦しめられていることを知った毛沢東は、そんな病気をふくめて人びとに害を与える4つの生き物、蚊、ネズミ、ハエ、スズメを中国から消し去ることを決意した。

 

四害駆除運動のポスター
このとき毛沢東が「駆逐してやる!! この世から・・・一匹残らず!!」とつぶやいたのは有名だ。しらんけど。

 

この運動では「四害」のなかでも、稲をついばむスズメが特に敵視されて、その徹底的な駆除が国民に奨励された。
それで「ヒャッハー!」となった人民はこんなことをする。

・スズメが木にいたら、鍋やフライパンをガンガン叩いて大きな音を出す。
各地の住民がこうすることで、休息をとれないスズメは疲れ果て、弱ったところを襲って殺したらしい。
・スズメの巣を見つけたら即刻破壊して卵は割って、ヒナは殺処分する。
・銃を持っている人は飛んでるスズメを撃ち殺す。

全土でこんな熱心な愛国活動が行われたことで、スズメは中国から姿を消してもはや絶滅寸前となる。
その結果、農作物の収穫は豊かになり、国民は「さすがは偉大なる主席さまだ!」と感謝する未来を毛沢東は見ていたと思われる。
でも、確かな知識もなく、生態系を勝手にいじったツケは大きかった。
スズメが消えて天敵がいなくなったことでバッタが大量発生し、作物を食い荒らす蝗害(こうがい)が各地に広がる。
中国にとってこの事態は最悪オブ最悪。
中国史ではたびたびこれが起きて、食糧を根こそぎ食べられた民衆は飢えて死にし、人肉を食べるような地獄が何度もうまれた。(中国蝗災史

 

数千万、億を超えるバッタの群れに人間は無力だ。

 

スズメは実は害虫を駆逐してくれる益虫だった!
中国政府はやっと気づいたが、時すでにお寿司。
生態系のバランスが崩れたせいで、今度は大量発生した害虫どもが「ヒャッハー!」となって暴れだす。
間違った農薬の使い方をしたこともあって、スズメを駆逐したら、豊作になるという未来と正反対の現実がやってきた。

生態学的な不均衡は、同じく大躍進政策によって引き起こされ、1500万から4500万人が飢餓で亡くなった中華人民共和国大飢饉をさらに悪化させたと考えられている。

四害駆除運動

 

スズメを滅殺したら、回り回って大量の人間が死んでしまった。
これに困った中国政府は、ソ連から25万羽のスズメを輸入したという。
「都市養蜂」のような科学的知識もなく、「四害駆除」と称して、人間が自分たちの都合で生態系をいじるからこんな悲劇がうまれた。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。