英雄チャンドラボース インド人が日本に“好印象”を持つワケ 

 

いまプーチン政権と戦っているのは、ウクライナ人だけじゃない。
反プーチン政権を唱えて離反したロシア軍の兵士や、ロシア人やベラルーシ人の義勇兵がひとつになってロシアの解放を目的に「自由ロシア軍団」が結成された。
彼らはウクライナ軍と目的を共有し、行動をともにしている。

米CNN(2023.05.23)

自由ロシア軍団とは何か、「ロシアを自由にする」ため自国と戦うロシア人志願兵たち

自由ロシア軍団は「自由を守るために武器を取った。クレムリンの独裁政治を終わらせるときが来た」と宣言し、ロシア領内へ侵入すると一部地域を「解放した」という。

もし、これから自由ロシア軍団に勢いが出てきて、ワグネルが合流したらホントに映画みたいな展開になる。彼らがウクライナ戦争のゲームチェンジャーになれるかどうはそのうち分かる。
さて、「ロシアを自由にするため、自国と戦うロシア人志願兵」に似た人たちなら第二次世界大戦中にもいた。
日本軍と共闘したインド国民軍だ。
これが理由で日本に好感を持つインド人もいるから、日本人としてはぜひ知っておきたい話。

 

インド東部の大都市コルカタの国際空港は「ネータージー・スバース・チャンドラ・ボース国際空港」という。
そこで見かけたのが上のボースの肖像画。
これは日本の軍服らしい。

 

イギリスに植民地支配されていたインドで、その圧政に立ち上がり、粘り強い運動で独立を勝ち取った中心人物がガンディー。
しかし、日本ではあまり知られていないが、インドにはガンディーと同じレベルで英雄視される人物としてチャンドラ・ボースがいる。
インドを自由にするという目的はどっちも同じ。
でも、非暴力の戦術を採用したガンジーと違って、ボースは軍事力でもってイギリスと戦って駆逐し、目的を達成しようと考えた。
ただ、志(こころざし)はエベレスト級でも、ボースにはそのための金も武器も物資もなかった。
そんなボースに、「ならば手を貸そう」と言ったのが日本。
日本が太平洋戦争で米英と戦った目的は、(建前だったとしても)「アジアの解放」だったから、インドのカリスマ的英雄だったボースが軍隊を結成して、イギリス軍と戦うことはとても都合がよかった。

 

1943年に東京で開催された大東亜会議に参加したボース(いちばん右の人物)

 

こうして彼をリーダーとして、捕虜になっていたインド兵を集めてインド国民軍がつくられる。
日本の支援や軍事訓練を受けた彼らは、1944年に日本軍とともにインパール作戦に参加してイギリス(英領インド)軍と戦うも敗北し、インド独立の悲願は実現できなかった。
(自由ロシア軍団には別の結果が待っていますように。)

 

現在のインドで、チャンドラ・ボースはどんな評価を受けているのか?
まず下のインド紙「INDIA TODAY」の記事には、彼と日本の関係についてこう書いてある。

日本の金銭的、政治的、外交的、軍事的支援を受けて彼は亡命政府を組織し、インド国民軍を再編成してリーダーとなる。
日本軍とともに彼らはアンダマン・ニコバル諸島に独立をもたらし、インドのマニプールまでやってきた。

INDIA TODAY(Jan 29, 2018)

With Japanese monetary, political, diplomatic and military assistance, he formed the Azad Hind Government in exile, and regrouped and led the Indian National Army.Along with the Japanese army they brought independence to Andaman and Nicobar Islands and came all the way to Manipur in India.

‘Netaji’ Subhas Chandra Bose: 9 things you didn’t know about the inspirational figure

 

インド独立の夢をかなえることはできなかったが、ボースは現在では、インドの自由のために戦った最も尊敬される戦士と考えられている。
そして独立のためにイギリスと戦ったことは多くのインド人に愛国心を呼び起こし、インド人を感動させ、鼓舞しているという。
こんな背景から、インドでボースは特に軍人に支持されている。
ただ知り合いのインド人の話だと、ボースはインドで超有名でも、彼を背後で支えていた日本については知らない人が多い。英雄のボースを全力支援していたことを知れば、インド人ならきっと日本に好印象を持つという。
ということで、インドと日本のかけ橋になった人のことは日本人も知っておくべき。
そしてその関係を知らないインド人がいたら、歴史秘話を伝えるべき。

 

インドの首都デリーで最近、公開されたチャンドラ・ボースの像。
この大きさが彼の評価の高さのあらわれだ。
着ているのは日本軍の軍服だろう。

 

 

インド 目次 ①

インド 目次 ②

インド 目次 ③

【ガンディーの非暴力】インド独立運動の具体的な方法

【イギリスの置き土産】インドの警察官が高圧的で暴力的な理由

日本の夏の”異常な”暑さに、外国人観光客の反応は?アジア人編

外国人から見た不思議の国・日本 「目次」

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。