「自分は外国へ来たんだな」と実感するのは周囲の文字がサッパリ読めなかったり、日本との物価の違いを知った瞬間だ。
ちょうど1年前のきょねん6月、ニューヨークに住んでいた渡辺直美さんがテレビ番組で、目玉焼きとパンとツナサラダの朝食が7000円ぐらい、2人でランチをすると2万円にチップも払わなきゃいけないと言って、NYの物価高に全日本が驚いた。
でも当然、この逆パターンもある。
今は昔、昭和の時代には「インド人もびっくり」という有名なCMのフレーズがあった。
これはカレーのCMで、インド人でもびっくりするほどウマイ! ということらしい。
まえに南インドからやってきた男女の留学生と話をしていて、彼らが日本でビックリしたことを聞くと、「果物の値段です! あれはもう信じられません」とデッカイ目がさらに大きくなる。
そう思ったのは母国にいた時、2人はマンゴーやバナナをタダで食べていたから。
お金を払わずにフルーツを食べていたといっても、お店や果樹園のものを盗むといった不正行為をしたわけではなくて、あえていうのなら南インドの風土がチート(ずるい)なのだ。
彼らの自宅の庭にはマンゴーの木があるから、好きな時にその実をもぎとって食べてタネは庭に捨てる。
すると何の世話をしなくても、木は自然に成長してまたマンゴーが実るから、食べたくなったらそれを取って、またポイっとそこらにタネを捨てる。
するとまた木が育って…の無限ループが2人の日常生活だった。
ボクにも、家の庭に柿の木があって秋になると実ができるから、それを取って食べていた思い出がある。
でも、南インドはレベルが違う。
マンゴーやバナナが勝手にできて自由に食べられるというのは魔法の土地のようなんだが、2人にとっては生まれた時からそうだったから、当然のことを疑問に思ったことは一度もない。
土壌にそれだけの栄養素が含まれていて雨もたくさん降るから、地面からマンゴーやバナナが”わいてくる”のだろうと想像するだけで、彼らもくわしい理由は知らない。
マンゴーなら近所の農家からダイレクトに買うこともできて、1キロあたり(3つぐらい)で80円ほどというからまさに破格。
以下、南インドのようす。
マンゴーやバナナがほしくなったら、庭へ行って取ってくる。
そんなささやかな日常を過ごしていたインド人が日本のスーパーでマンゴーを見つけると、「なつかしい!」とうれしくなった直後、はかり知れない衝撃を受けた。
それに付けられていた値札には、1つ400円ほどと書いてある。
それを見て、「計算を間違えたかな? だってまさか。あれ、でもやっぱり400円…。ええええっっ!」とインド人は声を出しそうになるほどビックリした。
そのマンゴーとインドで食べていたものは同じ品種ではないとしても、それでも2人には信じられないし、信じたくない衝撃的プライス。
タダが当然で、近所の農家から買ったとしても日本のスーパーとは100倍以上も違う。
外国で7万円の朝食を見つけた瞬間を想像すれば、彼らがうけたショックの大きさが分かってくる。
日本は治安がスーパーいいしどこでも清潔だから快適だけど、マンゴーやバナナが実質無料で食べ放題だったあの生活はここではムリだから、2人ともそれにはストレスを感じた。けどもう慣れたというか、あきらめた。
なるほど。
果物天国から日本へ来た人はそんなことを思うのか。
でも、何でもないことが幸せだったと気づけたなら、日本へ来た価値あったじゃん。
日本の夏の”異常な”暑さに、外国人観光客の反応は?アジア人編
コメントを残す