北朝鮮と戦った朝鮮戦争によって、壊滅的打撃を受けた韓国はその後フェニックスのようによみがえって、いまでは世界10位圏に入る経済大国となった。
その土台になったのが、1960年代後半から始まった「漢江(ハンガン)の奇跡」とよばれる経済成長だ。
貧しかった韓国を先進国に押し上げたこの昇竜拳のような経済発展を、韓国の人たちはよく誇りにしている。
20年ほど前に北朝鮮へ行った韓国の教授は、現地の案内人にその秘訣を聞かれたから次の3点をあげた。
・朴正煕(パク・ジョンヒ)大統領というすぐれたリーダーに恵まれた。
・国民が必死に働いた。
・夫と子供を成功に導くためにすべてを犠牲にしてた母親がいた。
これを聞いた北朝鮮のガイドは「そうは思わない」と否定し、韓国が発展できたのはバックについた国のおかげだという。
韓国自身の力ではなく、アメリカが支援したから、韓国は豊かになったのだとその人は考えていた。
それで教授はアレコレ話をしたが、「彼は自分の間違った考えを捨てることは非常に難しく見えた」と中央日報のコラムにある。(2021.03.30)
私が目撃した漢江の奇跡
「漢江の奇跡」は自分たちが起こした奇跡だーー。
そう考える韓国人にとっては、「違う。アメリカのおかげだ」というのは完全に間違った意見で、受け入れることはできない。
それともう一つ、韓国の人たちが嫌がるのは日本経済新聞のこんな指摘だ。(2021年6月24日)
日本からの経済協力は無償供与が3億ドル、有償は2億ドル。無償分だけでも当時の韓国の国家予算に匹敵する巨額の支援で、その後の韓国経済の急成長を支えた。
日韓請求権協定とは 国交樹立の礎、韓国に巨額支援も
1965年に結んだ請求権協定によって、日本は韓国経済のために巨額の支援金を渡すことを約束し、それを実行した。
奇跡を起こすにはタネと仕掛けが不可欠。
こうした資金をもとに韓国は高速道路をはじめとする各種インフラの開発を行なったり、浦項(ポハン)総合製鉄といった企業への投資を行ったりした。
ここで日本人に悲報がある。
日本の経済支援や技術援助があったことは、はなはだ残念なことに韓国ではほとんど知られていないのだ。
だから、「多くの韓国人は自国が独力で経済成長を達成したと考えている」というツッコミがウィキベテアにある。(漢江の奇跡)
2015年に外務省が、これまで日本がしてきた国際協力をPRする動画を公開した時、ソウル地下鉄や浦項製鉄所をその例として紹介した。
この動画を見て韓国の人たちはどう思ったか?
「漢江の奇跡」をアメリカのおかげとするのは韓国的には間違った考えで、あくまでも韓国国民が実現した経済成長でないといけない。
奇跡の主体はもちろん韓国だ。
でも、そこに日本の支援があったことは間違いないが、韓国としてはそういう事実は耳に入れたくない。
日本の国際貢献を世界へPRする動画で韓国の事例が使われたことで、あちらでは怒りや不満が爆発し韓国メディアは「妄言」と表現した。
慰安婦の”強制動員”や過去の”歴史歪曲”に対する反省がなかったと非難する中央日報は、この動画の目的を完全に見失っている。
そんな中央日報にこの動画はこう見えた。
「経済開発支援国家という点を強調し、戦犯国という日本の国際的イメージを隠そうとする意図で製作されたとみられる」
聯合ニュースも動画を全否定だ。
「アジア諸国の繁栄が日本の自発的支援の結果であるという誤解を生む作りになっている」
ソース:J-CASTの記事(2015年04月01日)
「日本ODAがアジアの発展の基礎を築いた」 外務省動画に韓国メディアが事実を「妄言」と難癖
もし韓国が日本から支援金を受け取っていなかったり、ソウル地下鉄や浦項製鉄所の建設で日本人の協力を受けていなかったら、上の動画は確かに歴史歪曲だから韓国メディアはそれを指摘すればいい。
でもそれはできない。
日本が実績をアピールすると、「過去の反省がない」「戦犯国」と言い返すのは感情的すぎる。
浦項製鉄所の設立者だった故・朴泰俊(パク・テジュン)氏の見方はまったく違う。
中央日報(2010.10.25)
ポスコ名誉会長「日本の流行歌を歌って新日鉄の技術移転受けた」
パク氏は日本の流行歌を歌って新日本製鉄の故・稲山嘉寛会長と仲良くなり、全幅の支援を約束してもらった。
稲山氏についてパク氏は「いろいろと助けてくれた。 心が開かれた方だった」と感謝している。
これも「妄言」なのか。
韓国の政治家や国民の努力や創意工夫によって、「漢江の奇跡」が実現したことは事実。
その裏で日本の支援があったとことも事実だ。
「戦犯国という日本の国際的イメージを隠そうとする」と怒る韓国は、日本の貢献を隠そうとしている。
それを明らかにしてしまったから、外務省は「事実陳列罪」に問われて怒られてしまった。
韓国が日本から受けたのは被害だけではないのに、それを口にすると「妄言」と言われてしまう。
この理不尽はいまも変わっていない。
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