嫌われる側の論理:イスラエルが病院や学校を攻撃する理由

 

今月7日、イスラム組織ハマスがイスラエルを襲撃したことで、イスラエルとの”戦争”がはじまった。
そんな不幸のなか、ガザ地区の病院が”爆発”し、500人が死亡したという惨事が発生する。
ただ、実際の死者数は判明してなく、責任の所在も不明なまま。
ハマスは「この虐殺、野蛮な犯罪」は、イスラエル軍による空爆の結果だと非難するが、イスラエルはそれを否定し、ハマス側のロケット弾が落ちた結果だと主張した。
病院を攻撃し、大量の民間人を殺害した側は、国際社会からの激しい非難と抗議は避けられない。両サイドとも、外国の支援を失うわけにはいかないから、激しい非難合戦を展開し、責任は相手にあると世界に印象付けることに必死だ。

 

 

上の2人の女性は京都で出会ったイスラエル人の旅行者。
このブログでは彼女たちの話を何度か紹介していて、今回の内容もその一つになる。

パレスチナ問題について2人の意見を聞いていると、「遠慮はいらない。なんでも聞いて」と言ってくれたから、前々から感じていたこの疑問について聞こうか迷った。

「なぜイスラエルは、世界から嫌われることをするのか?」

 

イスラエルに対しては、「パレスチナにある学校や病院を攻撃するのは国際法違反だ! 罪のない市民を殺害することは許せない!」といった非難が以前からあった。
今も日本人や外国人の書き込みには、そんな憎悪の言葉が洪水のようにある。
イスラエルには自衛権があり、攻撃を受ければ、敵を無力化する必要があることは理解できる。
でも、イスラエルはやりすぎだ。
すさまじい攻撃を行って、民間人に多くの犠牲者が出るから、世界中でイスラエルに対する嫌悪感が広まっている。

この悪評はイスラエルにとって不利なはずなに、なんでイスラエル軍は学校や病院、難民キャンプへの攻撃を続けるのか?
その理由については前々から疑問に思っていたから、ここで2人に聞いてみたいところなんだが、そんな質問を聞いて彼女たちハッピーになるワケがなく、面と向かっては聞きずらい。
聞こうかどうか迷っていたら、意外にも向こうならその話を持ち出し、こんな話をした。

「よくイスラエル軍の行為を『国際法違反』と批判する人がいる。でも、そういう人たちには重要な現実が見えていない。ハマスは学校や病院など、攻撃が禁止されている施設に拠点を持っていてることを。彼らは我々にそこを攻撃させた後、『市民に多くの死者が出た!』とSNSで宣伝し、自分たちへの支援や寄付を求める。テロリストたちは市民や国際法を悪用して強くなっている。私たちは、そんな卑劣なやり方は通じないと彼らに理解させるしかない」

ハマスは意図的に病院や学校に拠点をつくり、イスラエルに“攻撃させている”ということを、2人は伝えたかったらしい。
こんな話を聞いたのは初めてで、衝撃的だったけど、これまでその情報か事実どうか分からないでいた。
それが今回、日本のメディアがパレスチナ問題について集中的に報道するようになったから、それを確認できることができた。

たとえば、イスラム思想研究者の飯山陽氏は『ABEMA Prime』の中でこう語る。

(2023/10/11)

ハマスは軍事拠点を病院や学校、住宅地の中に置く。イスラエルに攻撃標的として狙わせて、民間人に犠牲者が出ると“ほらみろ、俺たちの子どもを殺した。ひどい奴らだ”と主張する

日本はパレスチナ寄り? 飯山陽氏「ハマスの攻撃はテロ。岸田総理は中立を履き違えている」

 

テレビ朝日のニュース番組でも、防衛研究所の西野正巳主任研究官がこう発言した。

「軍事拠点や弾薬の保管庫を病院、学校にわざと設置することがある」

先日、難民キャンプがイスラエル軍の空爆を受け、ハマスの軍事最高司令官が爆死した。
これまでも、ハマスが市民を自分たちの盾として使っていたことは何度もあった。
あの時、2人から聞いた話は正しかったらしい。
かと言って、「なら空爆OK」とは思えないが、この問題でボクにできることなんてない。
あるとすれば、「嫌われる側」の論理を紹介するぐらい。

 

イスラエルとハマスの戦闘に巻き込まれ、市民には逃げ場がない。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。