【大麻の事情】日本と違って、インドでは“ユルユル”な理由

 

最近、日本で問題になっているのが「大麻グミ」。
これには大麻に似た成分が含まれているらしく、食べた人が救急搬送されるケースが相次いでいる。
でも、今のところ違法ではないから、このグミを販売する会社の社長は「今後も継続して販売する」と強気を見せる。
でも、日本がこんな危険なモノを野放しにするわけがない。
厚生労働省は来月にも「指定薬物」に指定する方針だから、大麻グミはきっとバンされる。

 

さて最近、ヒンドゥー教の祭り「ディワーリー」があって、知人のインド人がこんな祭壇を作って SNSにアップした。
ディワーリーには、「光(正義)が闇(悪)に勝利した」という意味があるから、このお祭りでは、ランプに火をともして祝うことがお約束になっている。

 

 

友人のインド人の話によると、ヒンドゥー教の祭りの際には、「バング」と呼ばれる大麻製品がよく出回る。
グミに大麻に似た成分を入れると「大麻グミ」になるように、大麻をすりつぶしたものを入れた食べ物や飲み物があってそれをインドで「バング〜」と言う。
日本のインド料理店ではよくマンゴーラッシーがあるけれど、インドでは大麻入りの「バングラッシー」や「バングクッキー」などがあるのだ。
特に、インド北部で盛んなホーリー祭が行なわれるときには、人々がこんな大麻製品を消費することも“お約束”になっている。(インドにおける大麻文化

大麻に関するインドの法律はわりと複雑で、「花か葉を使うのか?」、「吸引するのか所持しているのか?」といった細かいところで、合法か違法かに分かれ、さらに州によって法律が違っている。
大ざっぱに言えば、インドで大麻は違法だ。
でも、そう思ってインドへ行くと、州政府の許可をもらって「バングラッシー」を売る店もあって、外国人観光客でも簡単に飲むことができるから、日本と比べるとユルユルと言っていい。

バング(bhang:大麻)について、英語版ウィキペディアには、インドの文化や精神修行において重要な役割を果たしているため、国内で大麻を完全に違法化することは不可能だろうと書いてある。

Regardless, as bhang has served such an important role in India’s culture and spiritual practices, it would be impossible to criminalize cannabis completely in the country.

Bhang

シヴァ

 

大麻には不安を軽減する効果があって、ヒンドゥー教の聖典「ヴェーダ」では神聖な植物とされている。
ヒンドゥー教の三大最高神のひとり、シヴァは大麻が好きで、よく使っていたという話がある。
だから、大麻が法的には禁止されていても、宗教的には“認められている”から、熱心な信者たちは後者を優先して使ってしまう。
そんな事情から、バングラッシーなどが簡単に手に入るようなユルユル社会となって、インドで大麻の違法化はほぼ不可能となる。
問題がおこると、翌月にはすぐ規制される日本とは、宗教が社会に与える影響力が違うのだ。

 

バング入りの飲み物を飲んでいるインドの人たち(19世紀)

 

 

インド 目次 ①

インド 目次 ②

インド 目次 ③

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。