韓国語には「オルチュガ」って言葉がある。
ドラクエの勇者みたいなこの言葉は、「死ぬほど寒くてもアイスアメリカーノ」という意味で、冬のド寒い時期でも、冷たい食べ物や飲み物を楽しむことを指す。
日本でも寒い日にアイスコーヒーを飲んだり、アイスクリームを食べたりしてオルチュガする人はいる。
しかし、韓国ではその理由がちょっと違うらしい。
韓国の冬は日本より厳しいにもかかわらず、冷たい飲み物が人気を集めている。
たとえば、韓国のスターバックスでは今年1月に売れた飲み物のうち、アイスドリンクは57%で過半数を越え、2月は64%に上がった。
中央日報の記事によると、そんな“オルチュガ現象”の理由は韓国の「パリパリ」文化にある。(2023.11.27)
「さすが“パルリパルリ”の韓国!」外信も驚く、冬でも大人気の「オルチュガ」とは
韓国に行った日本人がよく印象的に感じるのが、韓国人の国民性である「パルリ パルリ(早く 早く)」だ。
*日本のネットにはよく「パリパリ」と書いてあるから、ここではその表記を使う。
韓国の人たちは基本せっかちで、何でも“時短”で済ませようとするから、待たされることを嫌う。
ホットよりアイスの飲み物の方が早く注文できて、この「パリ パリ」気質に合っているから、冬でもアイスドリンクを頼む人が多いという。
ちなみに、この傾向は若者に強く、50代以上では、ホットドリンクを注文する人が多い。
「ホットとアイスで提供する時間がそんなに違う?」という疑問はあるけれど、韓国では待ち時間が短いという理由で、冬でもアイスドリンクが人気らしい。
3年ほど前に、日本の会社で働く韓国人とコーヒーを飲みに行った。
*関係ないけど、韓国語には「p」の発音がないようで、彼のコーヒーの発音が「コピィ」に聞こえた。
そのとき、日本人と韓国人の考え方や行動の違いが話題になって、「パル パリ」という言葉が出てきた。
以前、別の韓国人の友だちとメールでやり取りして、最後に「また近いうちに電話で話そう」とメッセージを送ったら、すぐに電話がかかってきてビックリした。
こっちとしては、
「いつ空いてますか?」
「○月○日か✕月✕日の○○時なら大丈夫です」
「では、○月○日の○○時に話しましょう」
といった段取りがあると思っていたから、彼がそれをすっ飛ばして、いきなり電話をかけてくるのは完全に予想外。
しかも、そのときはファミレスにいたから、よけい戸惑った。
ボクがそんな話をすると、彼はコピィを飲みながらこんなことを言う。
「韓国人らしい考え方と行動ですね。まず、基本的に日本人と韓国人では、友人に対する距離感が違うんです。日本人は“親しき仲にも礼儀あり”を大切にして、一定の距離を保ちますけど、韓国人の私からすると、それはヨソヨソしく感じて“ホントに友だち?”と不安になるんです」
彼の経験によれば、日本人は段取りや下準備を大切にするけど、韓国人はスピード重視で物事を進めようとする。
たとえば仕事でアポを取る場合、日本では会う日時を決めて、実際に相手と打ち合わせをするまでに1周間以上かかることが多い。
韓国では即断即決で、次の日に打ち合わせをすることもよくあって、だいたい3日以内には相手と会って話ができるから、彼の感覚では日本は2〜3倍遅い。
ただ、これは製造業で働く彼の経験だから、業種や会社によってこのへんの時間は違うと思う。
これは一つの例で、彼は日本にいて、仕事でもプライベートでも時間がかかってイライラすることが、最初のうちは多かった。
でも、日本の感覚に慣れてくると、考え方が変わった。
もともと彼は「パリ パリ」文化がすべてにおいて良いとは思っていなかったから、日本人の「ゆっくり丁寧」文化を取り入れることで、別の視点から物事を見ることができるようになった。
それに、自分の短気さは欠点だと感じていたから、それもコントロールできるようになって、人間として成長した気もする。
日本と韓国は隣の国なのに、価値観や考え方は大きく違う。
彼にとって最も大きな違いの一つが「パリ パリ」と「ゆっくり丁寧」の文化、つまりスピード感だった。
その違いにストレスを感じることもあるが、自分がそう感じる原因を冷静に考えて、新しい発見をしようとすると、日本の良さが見てきたり、韓国の良さを再確認することができる。
しかし、そんなことを語っていた彼は、このあと会社を辞めて韓国へ戻ってしまったから、やっぱり韓国の方が居心地が良かったらしい。
日本的な発想を身に着けた彼が活躍していることを願うが、すっかり「パリ パリ」文化に染まっていると思われる。
旅㉗アニメ好きのアメリカ人、日本のコンビニや学校で感動する。
日本と中国のコンビニの違いとは?社会主義らしさはそのままで。
外国人の日本旅行の目的は?江戸明治と平成の違い。人から食へ。
コメントを残す