外国人の日本旅行の目的は?江戸明治と平成の違い。人から食へ。

 

江戸や明治時代に、日本を訪れた外国人は日本にどんな印象を持ったのか?

彼らの手記から拾ってみたい。
まずは日本人について。

オールコック(江戸時代)
「日本人はいろいろな欠点をもっているとはいえ、幸福で気さくな、不満のない国民であるように思われる」

ベルツ(明治時代)
「(花見を見て)入り乱れて行きかうすべてが、何という静粛で整然としていることだろう。乱暴な行為もなければ、酔漢の怒鳴り声もしないー行儀の良さが骨の髄までしみこんでいる国民だ」

チェンバレン(明治時代)
「日本がかくも多くの新思想と新制度をまるごと呑みこむ能力を、外国人たちはしばしば呆然として驚き眺めるのみであった。

 

日本の自然について。

シドモア(明治時代)
たとえ何でも陰鬱な冬に逆戻りしても、日本全国、白とピンクの花環で彩られるまで、じっと堪えます。栄光の四月、満開の花の雲、桜の爆発で帝の国は歓喜に包まれます。

ラフカディオ・ハーン(明治時代)
「いったい、日本の国では、どうしてこんなに樹木が美しいのだろう。西洋では、梅が咲いても、桜がほころんでも、かくべつ、なんら目を驚かすこともないのに、それが日本の国だと、まるで美の奇跡になる

 

世界的な科学者であるアインシュタインは大正時代に日本を訪れた。
そしてこう言っている。

「世界の文化はアジアに始まって、アジアに帰る。それには、アジアの高峰、日本に立ち戻らねばならない。我々は神に感謝する。我々に日本という尊い国をつくっておいてくれたことを」

以上の言葉はこの本から。

「逝きし日の面影 平凡社」
「日本賛辞の至言33撰 ごま書房」

 

江戸や明治時代のはじめごろ、日本はまだ世界にそれほど知られていなかった。
だから日本人に興味があって、日本人という民族を見たり知ったりすることを目的として、日本へ旅行に来る外国人は多かったと思う。

 

江戸や明治時代に日本に来た外国人の手記を読んでいて、感じたことがこれ。

「『日本の食を楽しんだ』というものがほとんどないぞ」

ここが今の来日外国人とちがう。
21世紀の今、日本人を見に来る外国人なんていないだろう。
「原宿にいる女の子は見ていて楽しい」と言っていたアメリカ人はいたけど。

日本へ旅行に来る外国人の大きな目的は日本の食だ。

日本の文化のなかでも日本料理はオリジナル性にあふれている。
評論家の山本七平氏の本の中で、ある中国人が日本の料理を見て、それが中国料理とまったく関係がないことに驚いたと書いてある。

豆腐や味噌は中国伝来ですが、料理そのものの基本は全く違うというのです。

「日本人とは何か (PHP文庫)」

日本料理には、中国から伝わった食材はある。
けれど、日本の料理のしかたは中国料理とまったく違うらしい。

 

これはロンリープラネットというガイドブック。

 

日本のガイドブックとしては、世界でもっとも有名。
日本に来る外国人の多くもこれを旅行の参考にしている。

このロンリープラネット・ジャパンの中で、「日本旅行の楽しみの半分は、日本の料理を食べること」と書いてある。
日本のいろいろなものを食べることが目的で、日本へ旅行に来る外国人はたくさんいるはず。

 

もし母国で日本料理を食べていたとしても、日本で食べる日本料理はちがう。
そのおいしさにあなたはきっと驚くだろう、といったことが書いてある。

韓国人の友人がまさにこれ。
大阪で食べたたこ焼きとソウルで食べたたこ焼きがあまりにちがって、驚いていた。

ロンリープラネットでは、スシや天ぷらといった伝統的な日本料理から、ココイチや吉野家といった日本のファストフードまで幅広く日本の食が紹介されている。

これらは言ってみたら定番。

最近ではこうした定番とはちがって、「中食」が外国人旅行者の間で流行っているらしい。

 

レストランなんかで食事をすることが「外食」。
デパートの惣菜やコンビニ弁当を買って自分の家で食べることが「中食」。

これは日本人がよくやっていること。
最近では日本を旅行している外国人がこれをするらしい。

news-postsevenの記事(2017.09.09 )の記事によると、コンビニで買ったものをホテルに持って帰って部屋で食べることが外国人の間で新しい定番になっているという。

この記事の中で、セブン&アイ・ホールディングス広報センターの担当者がこう言っている。

「コンビニには、おにぎりはもちろん、手巻き寿司やおでんなど、日本独自のフードが充実しています。これらを買って食べているところを写真に撮って、“これぞ、ジャパニーズスタイルだ!”と、インスタグラムに投稿する外国人観光客も多いですね」

コンビニ食が外国人観光客には「これぞ日本式」と人気

 

日本にいる外国人に話を聞くと、日本の食べものについて「当たり外れがほとんどない」と言う人が多い。
言い換えれば、どれでもおいしい。

値段が高いものがおいしいのは、世界のどこでも当たり前。
でも日本の場合、安いものでも質が高い。
コンビニのホットフードやスーパーの総菜でも、値段のわりにはすごくおいしいと言う。

「せっかく日本まで旅行に来ているのに、コンビニフードなんてもったいない」なんて思ってしまうかもしれけど、外国人の満足度はけっこう高いと思う。

 

あと、日本には変わった食べものもたくさんある。
金箔ソフトクリームを食べたオーストラリア人が、SNSに写真と一緒に「Soft serve with gold flakes!」(金箔のソフトクリーム!)と投稿していた。

これが金箔ソフトクリームを見た友だちの反応。
*訳は意訳。

Whats with the gold flakes? Taste like anything?
金箔で何をするの?味はどんな感じ?

waaaat? where d’you get that at?
「はあああああ?アンタ、それどこで買ったの?」

It was in Kanazawa City, Ishikawa Prefecture!
「石川県の金沢市!」

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。