インド人あるある:日本人を怒らせる無責任な“オアシス体質”

 

「インドへ行くと人生観が変わる」と聞いて、これまでに6回ほどインド旅行をしたことがある。
そしたら、たしかに人生に対する考え方が変わった! という実感は特になく、そう言う日本人と会ったのも本当に少ない。
でも、何度もブチギレ体験をして、「もう誰を信じたらいいか分からない!」と人間観が変わってしまった人にはよく会った。
日本人旅行者がそんな人間不信におちいる原因は、インド人の「オアシス」にある。
*以下の内容は、個人的な経験と独断による。

 

20年ほど前、インドでビンボー旅行をしていたとき、体調が少し悪くなったから、奮発してエアコン付きの部屋に泊まることにした。
といっても、一泊1000円ほどの安宿だ。
昼間は出かけ、夜に部屋に戻ってきて、久しぶりに文明の風にあたろうと、エアコンのスイッチを付けたのに涼しい風が出てこない。
何度スイッチを押しても、エアコンはまったく動かない。

フロントへ行って、「部屋のエアコンが故障しているようなんだが?」と伝えると、テレビを見ていたスタッフが面倒くさそうにため息をつく。
彼は何も言わず、フロントから出てスタスタ歩きだすから、「なんでコイツが不機嫌そうな顔をしているんだ?」と思いつつ彼について行った。
スタッフはエアコンをちょっといじった後、「これは故障している」と言って、部屋から出ていこうとする。
「そうか、なら仕方ない」で済むわけないだろオイ。

「じゃあ、別の部屋に案内してくれ」
「いまは満室だからそれは無理」
「は? なら、この部屋の料金は当然下がるよな?」
「それも無理だ。この部屋はエアコン付きの部屋だからな」

どうやら、このスタッフの頭も故障しているらしい。
そんな不毛なやり取りを15分ほど続けた後、やっとエアコン無しの料金を認めさせてバトルは終了。
翌日、チェックアウトすると、フロントにいたスタッフが変わっていて、「そんな話は聞いてない。おまえはエアコン付きの部屋に泊まったから、その料金を払わなければいけない」と言い出すから、ラウンド2がはじまった。

 

後日、インドで会った日本人旅行者にこの話をすると、彼は「ああ、“オアシス”ですね。インド人あるあるです」と笑う。

オ…俺じゃない
ア…あいつがやった
シ…知らない
ス…済んだこと

インド人のこんな無責任な態度を「オアシス」と呼ぶらしい。

言われてみると、インドで腹が立った出来事には、これが原因になっていることがとても多い。
「うまくいかない」という現象を認めるだけで、自分たちの過失はスルーし、責任を相手に丸投げしたうえで逆ギレする。
日本人がインドを個人旅行したら、「誤っても謝らない」という無責任な態度と何度も遭遇するから、きっとこの言葉に共感できるはず。
パック旅行ならそんなことは無いんだろうけど、ビンボー旅行なら、まさに「インド人あるある」だ。

 

これがその部屋

 

人口が世界一多いインドでは、人の価値観や行動は教育レベルによって大きく変わる。
ボクが日本で知り合うインド人は大卒のエリートで、完璧な英語を話す。
あの安宿のスタッフのような舐めたマネはしないし、理不尽なことで怒ったりすることも一切ない。
しかし、オアシス体質では共通している。

 

きょねん知り合いの外国人に、「ハイキングへ行かないか?」と声をかけてみた。
するとインド人の女性に、友人のインド人も一緒に行きたいと言うから、彼も加えてほしいと頼まれた。
彼が参加したことで、車の定員の7人に達したから、ほかにも来たいと言う外国人がいたけれど、残念ながら断った。
ハイキングの計画はボクが立てて、高速代とガス代は参加者で割り勘するにした。

すべての準備を整えて当日の朝を迎えると、朝6時に「一緒に行きたい」と言っていたインド人から、こんなメールが届いた。

「Good morning, I got stomach pain I cannot join you today.」
(おはよう。お腹が痛くなったから、今日はキャンセルする)

日本人なら、きっと小学生だって、もう少しマシな理由を考えだす。
このお手軽感が腹立つ。

8時に集まるようにしたかったから、集合時刻を7時45分に設定すると、8時10分ごろに全員が集まった。
すると、インド人女性が「あれ? 彼はいないの?」と聞いてくる。
どうやらヤツはコスパ重視で、必要最低限のことしかしないらしい。
「彼は今朝、とつぜん腹痛を訴えてキャンセルした」と伝えると、「え、そうなの! それはスミマセン。彼を紹介した私も責任を感じます…」としおれることはなく、「あ、そうなんだ」とまったく何も気にしない。
今から人を呼ぶわけにもいかず、1人欠けた分、みんなの出費が多くなるのだけど。
彼女からしたら、「知らない、私じゃない、済んだこと」で申し訳なく思う理由がなく、彼に言わせれば、「オレのせいじゃない。お腹が悪い」ということだろう。

 

この時は、「腹痛とか、絶対ウソに決まってる。問題は体じゃなくて、精神面にある」と勝手に思い込んでいた。そしたら後日、そのインド人がほか人と遊びに行っていたことが分かって、やっぱりウソだと判明した。
本当に腹痛で寝込んでいたらビックリするわ。

少し驚いたのは、別の機会で外国人と遊ぶ予定があったとき、彼から連絡がきて、この前のドタキャンはスルーで、「あなたは〇〇へ行くと聞いた。その日はわたしも空いているから、ぜひ一緒に行きたい」と言ってきたこと。
こういう図太いメンタルがあると、生きるのがラクになるから、うらやましさは感じる。
しかし、もう信頼は無いから、「すまないが、もう人はいっぱいなんだ」とウソをついて、人が集まらなかったときに呼ぶ「補欠」にした。
彼をスタメンで起用するのは危険だ。

 

インド人と付き合っていると、簡単に遅刻やドタキャンすることはよくあるが、その埋め合わせをするという発想はない。
安宿のスタッフから大卒のエリートまで、日本人と比べれば、インド人には共通して無責任なところがある。
かといって、日本人にそれを変えることはできないから、彼らとの付き合いをやめるか、「オアシス体質」に慣れて、それを前提に考えるしかない。

遅刻を想定して、時間に余裕をもった計画を立てれば、あわてなくて済む。
ドタキャンされることを覚悟していれば、当日に「I got stomach pain」というメールがきても、怒りを最小限に抑えることができる。
それでもストレスは感じるが、人間不信におちいるほどのダメージは受けない。
インド人の中にも、遅刻やドタキャンの傾向には個人差があって、時間や約束をキッチリ守る人もいる。
カルマ(過去の行い)に応じて、良質な人たちが残るようにすれば、こちらのイラ立ちも減っていく。

孫子の兵法で言う「敵を知り己を知れば百戦してあやうからず」で、相手の考え方や行動パターンを知って、対策を立てれば勝つる。
インド人の場合はオアシスだ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。