ことし4月に台湾でマグニチュード7を超える地震(花蓮地震)が発生し、9階建てのビルが崩壊するなど大きな被害をだした。
ちなみに、これは1999年の「921大地震」以降、台湾で起きた最大の地震だ。
さて、バック・トゥ・ザ・フューチャーすると、日本は日清戦争に勝利してから終戦までの間(1895年〜1945年)、台湾を統治していて、この地震によって、この時代に注目があつまる出来事があった。
花蓮県の主要道路に架かっていた橋が崩落したが、統治時代に建設された隣の橋はふんばった。それで、すぐにその橋を補強し、小型車が通行できるようになったという。
台湾の交通相はSNSに開通した橋の動画を投稿し、「大先輩のお出まし」と書き込んだ。
このニュースに台湾のネット民はこう思った。
・日本の先輩に敬礼
・最近できた橋は壊れて、100年前の日本の橋は壊れなかったって😂
・当時の日本政府に感謝します。
いっぽう、日本のネット民はこう思った。
・やっぱり日本だ
100年経ってもダイジョウブ
・大先輩とか親しみを感じる
・首都高とかボロボロ
・日本すごい俺すごい
・自分もささやかながら応援の意味を込めて台湾産のパイナップルを買ってきました。
ちょうど同じころ、韓国の全国紙・中央日報にはこんな対象的なニュースがあった。(2024.04.06)
文化空間になった日帝収奪の象徴「東洋拓殖株式会社」…「痛みは忘れず未来の動力に」
韓国も台湾と同じように、日本の統治を受けていた時代(1910〜1945年)がある。しかし、現在の日本に対する見方はまったく違う。
現在の台湾では、当時の日本をそのまま「日本」と表現することが多いが、韓国では「日帝(大日本帝国、日本帝国主義の略)」という表現が一般的だ。
統治時代を台湾では「日治時代」、韓国では「日帝強占期」と表記する。
そして、上の記事に「朝鮮の領土と資源を収奪した」と書いてあるように、韓国では日帝強占期、「日本=加害者、韓国=被害者」の関係にあったと考えられていて、これに異論を唱えることは社会的に認められない。
たまにそんな人が現れると、すぐに十字砲火を受け、大抵の場合は降伏する。
これに対して台湾では、日治時代には悪いこともあったが、近代化に貢献したというポジティブな見方もある。
今回の2つのニュースには、そんな台湾と韓国の歴史や日本に対する認識の違いがよく表れている。
韓国の国民にとって、日帝強占期に建てられた橋は「収奪の象徴」だから、大臣がSNSに「大先輩」なんて、懐かしさや親しみを込めた書き方をしたら、国民の総攻撃を受けてすぐに謝罪&削除に追い込まれる。
国民もネットに、「日本の先輩に敬礼」とか「当時の日本政府に感謝します」なんて気軽に書き込むことはないし、それが多くの「いいね」を集めることもあり得ない。
日本の統治という同じ過去があっても、戦後の歴史教育によってまったく違う認識を持つようになることは、台湾と韓国が教えてくれている。
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