日本人の半年に1度のお約束、それが古代から伝わる神道の儀式・大祓(おおはらえ)。
6月と12月の下旬になると、神社には茅の輪と呼ばれる大きな「輪っか」が設置され、それをくぐると半年分の穢れを祓い、心身を清めることができる。
大祓についての初めての記述は『古事記』にあり、 701年の大宝律令によって宮中の年中行事となった。
大祓の起源は、日本神話で黄泉の国から戻った伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が死の穢れを祓うためにおこなった禊(みそぎ)祓いといわれる。
日本人の半年に1度のお約束、それが神道の儀式・大祓(おおはらえ)である。
6月と12月の下旬になると、神社には茅の輪と呼ばれる「輪っか」が設置され、それをくぐることで半年分の穢れを祓い、心身を清めることができる。
大祓についての初めての記述は『古事記』にあり、701年の大宝律令によって宮中の年中行事となった。
大祓の起源は、イザナギが黄泉の国から戻った後、死の穢れを祓うためにおこなった禊(みそぎ)祓いにあるという。
この神話は古事記に書かれている。
この輪をくぐると悪病や厄災から免れ、幸せや長寿を得られるらしい。
メキシコ人の知人にそんな大祓の話をすると、
「日本には異民族に征服された歴史がありません。だから、昔からの伝統が今も残っていて、その点はとてもうらやましいです」
と彼はため息をつく。
メキシコの場合、かつてマヤ文明やアステカ文明が繁栄していたが、16世紀にやってきたスペイン人に滅ぼされ、その文化も消失してしまった。
彼は、スペインの征服者が来る前のメキシコの文化を知りたいと思っている。しかし、現在では資料が無くなって、永遠に知ることができなくなったものも多い。
それは歴史の中に消えていったという自然淘汰的なものだけでなく、厳格な一神教のスペイン人がキリスト教以外の宗教を認めず、先住民インディオの信仰を禁止し、文化を破壊したという人為的な原因もある。
たとえば、1562年のきょう7月12日、 スペイン人の司教ディエゴ・デ・ランダがキリスト教に反するという理由で、マヤの書物やマヤで崇拝の対象になっていた約 5000体の像が燃やされるという出来事があった。
ランダ本人の記録によると、その時に焼却されたマヤの書物は 27冊だが、実際にはそうではなく、何百、何千冊もの貴重なマヤの書物が焼却されたと推測する歴史家もいる。
ディエゴ・デ・ランダ(1524~1579)
ランダは異教の習慣を無くすことで、キリストの再臨が早く訪れると信じていた。
彼は先住民をキリスト教徒に改宗させるため、彼らに友好的に近づき、その文化を学んだ。
先住民たちが彼を信頼すると、神聖な書物を喜んで見せるようになる。
しかし、ランダやほかの修道士たちにとっては、それらは悪魔的な慣習の証拠になる。
ランダは、「私たちはこれらの文字(マヤ文字)で書かれた本を大量に発見し、その中には迷信や悪魔のうそと見なされるものがあったため、それらをすべて燃やした。すると、彼ら(マヤ族)は驚くほど後悔し、苦痛を引き起こした」と記述している。
We found a large number of books in these characters and, as they contained nothing in which were not to be seen as superstition and lies of the devil, we burned them all, which they (the Maya) regretted to an amazing degree, and which caused them much affliction.
ランダが作成したマヤ文字とアルファベットの対照表
こうして、貴重なマヤの文化や宗教を知る手掛かりは永遠に失われた。
スペイン人は先住民の信仰を否定し、文化を破壊してしまったから、現在のメキシコ人が「日本の歴史がうらやましいです」とため息をつくことになる。
たしかに、日本が一神教の異民族に征服されていたら、古事記や日本書紀などの書物が焼き払われて、きっと多くの日本の伝統文化が消失し、復元は不可能になっていた。
大祓をはじめ、千年以上前の伝統が現在でも息づいているのは、とても素晴らしいことだと思う。
ただ、ランダについて言えば、彼がマヤの信仰や文化について研究し、それを記録に残したことで、現代のメキシコ人がその時代の考え方や生活を知ることができるのも事実。
彼は伝統文化の破壊と保存を同時におこなった人物だから、単純に善か悪かに分けることができない。
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